平成22年 京都府総合教育センター専門研修(大学研修) 8月3日 立命館大学 末川記念館 特別支援教育: 子どもの『できる』を支える 分析・評価と情報移行 立命館大学 大阪人間科学大学 立命館大学 望月 昭 谷 晋二 中鹿 直樹 Powered by 立命館大学教職教育課 本日の講義内容 講義1 対人援助学からみた学校と地域での 支援の方法: 「支援」、「自立と自律」、「キャリア・アップ」 講義2 障がいのある子どもとの「フェア」な コミュニケーション 「コミュニケーション」、「フェアネス」 講義3 学生ジョブコーチの実践から考える 「援助つきの自立」 「学生ジョブコーチ」、「援助つき就労」 講義1 「対人援助学」からみた学校 と地域での「支援」の方法 望月 昭 HP:「望月昭のホームページ」 blog:「対人援助学のすすめ」 講義1(望月)の内容 Ⅰ.「対人援助学」:10年間のミニ歴史 「測る」「教える」「治す」ではなく「助ける」 Ⅱ. 特別支援でいう「支援」とは? 「できる」とは? 他律的他立から他立的自律まで Ⅲ.「できる」を、見つける、創る先生の仕事 Ⅳ.キャリア・アップという発想: 情報移行の重要性 Ⅰ.「対人援助学」 Science for Human Services 「対人援助=たすける」という社会機能に 特化した諸学・諸職制の連携と融合のロジッ クである『対人援助学』の創造と、そのもとで の実践・研究を、援助職に就く職業人や関係 研究者、企業、行政などのセクターと協働し て展開するためのプラットフォームを目指す (「対人援助学会」第一回準備委員会) 5 「助ける=援助」のキモ Service 御主人(当事者)が、好きな方向(自己決定)へ打 つために最適なボールをあげる。 「対人援助」(Human Services)における 3つの作業 1.援助 assist 行動成立のための 「新たな」環境設定 advocate 2.援護 援助設定の定着のため の運用(表現・要請) 望月昭(2007)編 「対人援助の心理学」(朝倉書店) instruct 3.教授 個人の行動(反応)形成 既存の学問との違い • 心理学など:個人属性に注目して 「測る」、「知る」、「教える」、「治す」 • 社会福祉学:マクロな環境に注目して 組織・制度を「変える」 ・ 対人援助学(あるいは応用行動分析学) 個別の個人にとって、好ましい「行動」(環境との関 わり:functioning)の成立 を助け、その選択肢を増やす。 分析と評価の対象は、個人属性ではなく、 制度でもなく、当事者(生徒)と周囲の人間 の「やりとり」である 立命館大学での「対人援助」教育と研究の展開 1990 2000 教 育 科1 学9 研9 究0 所年 設 置 2000年 2005 2009 人間科学研究所設置 学フロ推進事業 (2000-2004) 対人援助のための 人間環境デザイン に関する総合究 対人援助現場での実践知の集約 と新しい枠組みの展開 オープンリサーチセンター整備 事業(2005~2009) 対人援助学という 新しい学範の構築 2010 臨床人間科学構築:対人援助 のための人間環境研究』 戦略的研究基盤形 成事業;2010~ 大学を模擬社会空間 とした自立支援の ための持続的対人 援助モデルの構築 2009 第1回 対人援助学会 2001年 応用人間科学研究科: Graduate School of Science for Human Services Ⅱ.特別支援でいう「支援」とは? 「支援」という概念 ●「教育」と異なるのか? ●ノーマリゼーションやインクルージョンと いった理念は、どう反映されるか・・・・ ちなみに京都の総合支援学校のIEPは 「個別の包括支援プラン」と呼ばれる 従来の考え方 ●障害別(インペアメント)中心のグルーピングと 対処 ●個人的単独能力(アビリティ)をボトムアップし て、障 害の克服をはかる(障害のない状態に近づけ る) 総合支援 ●地域社会の中で「他ならぬ一人」の人として ●学校・地域を含めた環境設定との関係や、その環境変 更も伴う「行動の成立」を対象とする 最近の少し心配な状況 「発達障害」といった括りで、 個人属性による障害性の再クローズアップ? 自閉症、学習障害、アスベルガー、ADHD 特別支援:あたかも「新しい障害」についての対応策? 本来、障害(インペアメント)によらず、ひとりひ とりの生徒を支援するのはなかったか? Ⅲ.「できる」を見つける・創る 先生(支援者)の仕事 • 欠陥や「問題行動」に注目するのではなく、 ・ 個別の生徒において、 「今できること」を設定したり、「今」に続く 将来の「できる」を見出し、伝えること 「できる」とは? 山本淳一 池田聡子 「できる」とは、何ができる? • 通信簿の点数? 発達年齢? IQ? (個人属性や状態) ・“トータルな”人格的成長? 当事者(個別の個人)にとって、 「今、やりたい行動」ができる 「できる」は発見されるもの? • ある条件(支援)があれば(正の強化で維持 される行動が)「できる」 ↓ 「できる」は、援助つき(これがあれば=支援 こみ)でかまわない つまり「できる」は 創造することができる 「これ」 (こんな条件)であれば 「できる」行動の表現方法 反応補助 先行事象 反応 結果事象 今、持っているレパート リーと揺らぎ この3つ(+反応補助)で 「できる」を表現 例:台本があれば、読み上げて、仕事完了 「援助」の内容 1) 他の生徒と異なった形態を認める 「挨拶」ができない → 「靴をそろえる」 (いずれも社会的評価という結果を生み出す) 2) 現状では、完成基準を緩める(行動形成) 3) 必要な身体的・物理的な援助を加える(身体的プロンプ ト・支援ツール・AAC) 4) 当事者自身の「選択」を認める 「放任」とは異なる(谷:フェアなコミュニケーション参照) 「援助」の設定: 機械的に論理的に決まるものではない。 先生の創意が必要。 「できる」を成立させ、進展する連環作業 assist 1.援助 行動成立のための 「新たな」環境設定 advocate 2.援護 援助設定の定着のため の運用(表現・要請) instruct 3.教授 個人の行動(反応)形成 「情報移行」(重要) 望月昭(2007)編 「対人援助の心理学」(朝倉書店) 「できる」は単独能力ではない autonomy 自己決定 他者の指示 単独遂行 自立的自律 自立的他律 援助つき遂行 他立的自律 他立的他律 alone? これが ゴールか? われわれ自身は、 どのように過ごしているか? 他立的他律から他立的自律へ 事例1:進行性の障害のある生徒に、電動車椅 子での移動によるridingの楽しみを実現したい Lim Hyunjong・坂明恵・丹生卓也・中鹿直樹・望月昭(2009) 「重複障害児における電動車椅子の操作スキル獲得による QOLの向上に関する考察」. 日本対人援助学会第1回大会 発表ポスターセッションWEB論文.15. http://humanservices.jp/pdf/15imu.pdf 記録者 課題提示者 ぬ い ぐ る み 参加者 訓練者 机 図 1-1.前進と停止の訓練のセッティング。ぬいぐるみを取りに行く課題を設定した。 「自動車教習所」のように電動車椅子運転を教える 記録者 机 ぬ い ぐ る み 障 害 物 課題提示者 参加者 訓練者 図 2-1.障害物を置いてぬいぐるみを取りに行く課題のセッティング。 表1.訓練1の課題分析ステップ ステップ 課題 1 ジョイスティックをつかむ。 2 ジョイスティックを倒す。 3 ぬいぐるみの前に行く。 4 ジョイスティックを戻す。 5 ジョイスティックを離す。 6 ぬいぐるみをとる。 7 ジョイスティックをつかむ。 8 ジョイスティックを倒す。 9 課題提示者の前に行く。 10 ジョイスティックを戻す。 11 ジョイスティックを離す。 12 ぬいぐるみを渡す。 成果報告会でのエピソード ●校長: 「この子が、ひとりで電動車椅子を使え るようになったら、どこへ行ってしまうか。そんな 危ないことの指導を依頼した覚えはない」 ●学生: 「え!!」 自立=自律 という先入観(一般論?) 援助つきの自律(他立的自律)による QOLの拡大(楽しみの拡がり)を。 必要なのは緊急停止用のキルスイッチ 「できる」は表現してナンボ • 「できる」は皆が認めなければ意味がない 先の例:(安全確保の援助があれば)「自由」に ライディングができる。 ・ どうやって、どれくらいの教授で、できたか? • (これまでにない)創造的な「できる」状況 定着のためには、関係者のコンセンサスと 申し送りが必要。 要請活動=「援護」が不可欠 ●学校での表現手段の例: 個別の教育支援計画(IEP) 「自律」(当事者の選択)を前提にした 個別的な「問題行動」への対処 • 事例2: 金山好美・望月昭(2003) ADHD児における選択機会を用いた集団遊び参加の 支援.日本行動分析学会第23回大会発表論文集,76. • 事例3: 金山好美・望月昭(2005) ADHD児における選択機会を伴う受容的環境の検討 -逸脱行動に対する「行ってきますカード」手続きの効 果-.日本行動分析学会第23回大会発表論文集,87. 事例2: 金山(2003)の研究 本研究の目的 人間関係や社会性において問題を抱える ADHD児に対して、集団遊びを逸脱せずに継 続して参加が行えることを目的とした。その手 法として、 第一段階:シェイピングによる行動形成 (当初は「教授中心」) 第二段階:「参加する/見学する」を選択する 機会を与える(「援助設定」導入) 対象生徒 • WISC-Ⅲ • 小学4年生 男児 • ADHD(混合型) 全検査IQ 91 • 学校では、普通学級と障害 言語性IQ 79 有意差 児学級に所属している。 動作性IQ 107 あり • 学力は、算数・理科が得意 であるが、国語は苦手。 • S-M社会生活能力検査 • 時々癇癪を起こしたり、キ 生活年齢 9歳6ヶ月 レたりする。 社会生活年齢 6歳4ヶ月 • 体育は好きだが、ドッジ 身辺自立 7:0 ボールなど、集団での活動 移 動 6:6 は積極的に参加しない。 作 業 8:0 • こだわりが強い。 意志交換 6:2 集団参加 自己統制 4:9 6:10 支援(教授)の流れ ゲームのルール理解訓練 ベースライン 訓練Ⅰ-A: 勝率優先による継続的なゲーム参加 訓練Ⅰ-B: 同等の勝率においての継続的なゲーム参加 訓練Ⅱ: 「します/見学します」の選択訓練 ※ → 「 所途参見 属中加学 しですし て参るま い加。す るしそ」 チたのを ーく後選 ムな、択 し へっコ 入たーた るらト場 。、外合 のは 「 やベ、 りンジ まチャ ン すに 座ケ 」 とっン いてに っおは てく 。 ② ① 訓 選 対【練 「 象野B 見択を し児球 学し た、 】 し種勝と を 活 ま目っ 種 す た動目 に順パ 」 のつ番ーの 選いでト中 ナ 択て 対種ーに カ象目 導 ー をが入 ド児選、 をは ジす 択ャ 提「 しすンる 示ま ケ。 すするン る」。 。 種目決定ボード 決める人 Y ○さん △さん □さん 種目 Y君は? 野球 ドッジボール 風船バレー サッカー 見学します。 結果 ベースライン 訓練Ⅰ‐ A 訓練Ⅰ‐ B 訓練Ⅱ ド 360 ッ 300 ジ 240 ボ 180 ー ル 120 ・ 60 秒 0 種目別反応時間 ベースライン期 勝った直後のゲームは参加。 負けた直後のゲームは、参 加までに時間がかかった。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 360 風 300 船 バ 240 レ 180 ー 120 ・ 60 秒 訓練Ⅰ‐A 5試行とも、60秒以内に参加。 訓練Ⅰ‐B 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 360 サ 300 ッ 240 カ 180 ー 120 ・ 秒 60 ゲーム途中、負点になった時 点で逸脱行動があった。 訓練Ⅱ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 360 300 野 240 球 180 ・ 120 秒 60 0 ※360秒以上の逸脱は、360秒のラインで表記 ○ 勝 ● 負 ▲ 負・途中逸脱 * 勝敗なし □ 見学・勝 ■ 見学・負 ◇ 途中参加・勝 ◆ 途中参加・負 図3 . 対象児の種目別反応潜時 「野球」以外は、「見学します」 を選択。逸脱行動は見られ なかった。 サッカー29試行 目に途中参加。 32試行目か らは、自発的参加が見られ た。 事例3:金山・望月(2005)の研究 問題行動を抑えてから、自律的な行動の成立へ 向かうのではなく、自律的(選択)行動を 認めることで、問題行動を減らしていく。 ●研究1:行動を丹念に記録することで、本人属 性だけの問題ではないことを確認。 ●研究2:当事者の選択を認めるという 「援助設定」を導入することで状況打開 研究1 行動的アセスメントと教室環境での薬物療法ついて 【目的】 通常学級に所属するADHD児の実態・経過を 行動観察し、問題行動の機能分析を行うこと を目的とした。 【方法】 週3回、3名が教員補助として観察を行った。 対象児 A児(7歳 男児) 入学時から多動な行動が見られた。 ・教室から逸脱する。 ・すぐに上半身裸になる。 ・水道の水を体にかける。 逸脱時は「保健室」に行く。 行き先は告げていかない。 「国語」「算数」はできる。 10月に医療機関で「ADHD傾向の疑い」と受 診される。 授業内容によって差がある 図2 時間帯による授業参加 (重要な分析) 朝の会 1時間目 2時間目 3時間目 4時間目 給食 5時間目 終りの会 薬 服 用 薬 服 用 9月16日 9月18日 9月19日 9月25日 9月26日 9月30日 10月2日 10月3日 10月7日 10月10日 10月14日 10月16日 10月21日 10月23日 10月24日 10月28日 10月30日 10月31日 11月11日 11月10日 11月13日 11月14日 11月18日 11月20日 11月27日 12月2日 国語 図書 生活 図書 体育 国語 図書 生活 自習 国語 国語 見学 音楽 音楽 国語 音楽 音楽 音楽 国語 算数 図書 生活 国語 図書 図書 国語 体育 国語 体育 国語 国語 体育 国語 国語 体育 音楽 体育 見学 体育 学級会 音楽 体育 算数 国語 生活 国語 国語 国語 体育 生活 生活 国語 算数 算数 算数 算数 算数 算数 算数 音楽 算数 算数 算数 音楽 算数 算数 国語 算数 図書 算数 生活 体育 算数 算数 生活 自習 生活 体育 国語 生活 国語 生活 国語 国語 国語 算数 国語 生活 国語 音楽 国語 国語 算数 国語 体育 国語 生活 国語 生活 国語 生活 国語 国語 算数 100 道徳 80 音楽 学級会 体育 参 加 60 率 ( % 40 ) 20 学級会 0 国語 図書 算数 体育 音楽 図工 生活 生活 図3 教科別授業参加率 は、授業に15分以上参加 「個人属性」ではない → 対処可能性を示す 給食 16 9月 日 18 9月 日 19 9月 日 25 9月 日 26 9月 日 30 10 日 月 2 10 日 月 3 10 日 月 10 7日 月 1 1 0 0日 月 1 1 0 4日 月 1 1 0 6日 月 2 1 0 1日 月 2 1 0 3日 月 2 1 0 4日 月 2 1 0 8日 月 3 1 0 0日 月 3 1 1 1日 月 1 1 1 0日 月 1 1 1 1日 月 1 1 1 3日 月 1 1 1 4日 月 1 1 1 8日 月 2 1 1 0日 月 27 12 日 月 2日 9月 【結果】 薬投与期① 図1 教室在室率 薬投与期② 100 授 業 80 開 始 時 60 の 参 加 40 率 ( % 20 ) 0 研究2 逸脱行動に対しての「いってきますカード」導入の効果 【目的】 薬物療法で参加率を上げる事が難しくなった対象児に対して、 対象児に行動の選択機会をあたえ、教室での参加・行動変 容の検証を行った。 【方法】 リタリンの処方で授業参加が可能になっていたが、2年時2 学期から教室からの逸脱行動が頻繁になった。 そこで,教室を出る場合は,「行き先カード」を残し,タイマー を持って出かける.定時に帰室し「記録」を書く. レクチャー 【結果】 ベースライン期 100 教 室 滞 在 率 ( % ) 介入期① 介入期② 80 60 40 20 9 11 月 10 11 12 15 16 18 19 24 25 26 29 30 12 /9 12 /1 0 12 /1 3 2 12 /8 1 12 /7 12 /1 11 /9 11 /1 0 11 /1 1 11 /1 2 11 /1 5 11 /1 6 11 /1 8 11 /1 9 11 /2 4 11 /2 5 11 /2 6 11 /2 9 11 /3 0 5 12 /6 4 12 /2 10 月 28 29 1 11 /5 11 /4 11 /1 10 /2 8 10 /2 9 0 12 月 6 7 8 9 10 13 一方的に話す 爪を噛む ス着 ト席 レ ス と教 思室 わ内 れ る 行逸 動脱 時 適 応 的 な 行 動 小物で遊ぶ 刃物で遊ぶ ボーとしている 体調の訴え 黒板に落書 裸になる 教室内立ち歩く ケ ンカ ・ハ ゚ニ ック 校内(1階) 運動場 保健室 なかよしル ーム 校長室 校外に出る 友達と関わる 集団(学級)活動 音 H先生の話を聞く 先生の約束・関り 先生の手伝い 先生に要求 給食を食べる 学習に取り組む パ ル ル ル ル ル ル パ パ パ 電 音 音 体 朝 ゲ 保 保 挨 保 保 図5 教室滞在率と行動観察結果 掃 2つの事例を通じて 1)いずれも、周囲も認めることのできる、 「今」できる援助設定を設定 2)当事者の「選択機会」を導入する それには、周囲の協力が不可欠 「援護活動」(情報移行)が前提となる 情報共有のための「援助設定」必要 IEPは、そのためにある。 Ⅳ.キャリアアップという発想 企業からの意見 ●「100%就労を目指すのか、当事者のQOL拡大を 目指すのか?」 ●「完成された生徒を期待しているわけではない」 ●「もっと先生の『御苦労』を知りたい」 • (一点突破の)「就職試験支援」ではなく、 「継続的就労支援」へ ・在校中の「できる」の支援過程を、どのように継続 的に「情報移行」していけるか 就学 「 で き る 」 の 変 遷 今 就労・進学 キャリアアップ: 実践 移行支援 「行動選択肢の拡大」は、 年齢に関わらず、シームレスで、 実現しうる。 実践からの確認 時間(年月) 学生ジョブコーチ第一号(at 立命館生協店舗) 大学生協(書籍部バックヤード)における SJCの様子:2004年度の実践から IEPの更新作業 • 支援プランの書き換え(更新): ○学校でどれほど生徒の「できる」を丁寧に辿って きたかの証明である。 ○支援者自身、保護者、そして移行先の関係者 (就労先関係者)が、当該生徒に対して、 さらなるキャリア・アップのための行動をすることを 勇気づけるものでなくてはならない。 従来の支援内容(情報移行)の問題 • 目標(ノルマ)があり、それに不足した部分を 「課題」として残す(「引き算」の支援評価) • 「何ができるか」は記録しても、 ・何があったら(援助)、 ・どうやったら(教授)それができるようになったか、と いう記録がない • 「できやすくする」ように、自分で環境を変えるスキル (セルフ・マネジメント)を教えない • 「生徒を伸ばす」ことが担任の個人的で職人的技術 に任されている • 情報を蓄積し、移項する方法(伝統)がない? FA宣言とキャリア・アップ • 生徒は、FA宣言をした野球選手のようなものであ る。 • 選手のキャリアアップをはかる作業である • IEPとは、「選手」を高く売り込むための、そして異 動後のキャリア・アップを促進する「売り込み書類」 である 参考文献 • 望月昭(編著)2007 「対人援助の心理学」(朝倉書店) • 望月昭・中村正・サトウタツヤ(編) 2009 「対人援助学キーワード集」(晃洋書房) • 望月昭・サトウタツヤ・中村正・武藤崇(編) 2010 「対人援助学の可能性:『助ける科学』の創造と 展開」 福村出版
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