化学概論

化学概論 第11回
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先週のまとめ
気体の性質 :ボイル・シャルルの法則、理想気体の法則、
ドルトンの分圧の法則
エンタルピー: H = U + PV
内部エネルギーとの関係、具体的な計算
反応熱 :定容反応熱、定圧反応熱
定圧反応熱は反応系と生成系のエンタルピー差
反応エンタルピー(符号に注意)
標準反応エンタルピー
標準生成エンタルピー ⇒ 反応エンタルピーの計算
反応エンタルピーの温度変化
先週の内容で特に印象に残った事項は?
1. エンタルピーの計算
2. 反応熱と内部エネルギ
ー、エンタルピー
3. 反応エンタルピー
4. 標準生成エンタルピー
5. あまり記憶にない
36%
28%
22%
12%
反
標
憶
に
な
い
ー
ピ
記
タ
ル
あ
ま
り
準
生
応
成
エ
ン
エ
ン
タ
ル
...
反
部
熱
と
内
応
エ
ン
タ
ル
ピ
エ
ネ
ル
ー
の
計
ピ
ー
算
2%
エンタルピーの定義は?
H=U-PV
H=U+P
H=U+PV
H=U+V
いずれも間違い
80%
12%
4%
い
ず
れ
も
間
違
い
H=
U+
V
V
0%
H=
U+
P
H=
U+
P
V
4%
H=
UP
1.
2.
3.
4.
5.
発熱反応の反応エンタルピーは?
正の値
負の値
正と負どちらもある
わからない
71%
27%
ら
ど
ち
と
負
正
ら
な
い
0%
わ
か
も
あ
る
の
値
負
の
値
2%
正
1.
2.
3.
4.
可逆変化と不可逆変化
自然界で起こる現象は、その方向を逆にして元の状態に戻
すことはできない。
例1 高温の物体と低温の物体間での熱の移動
例2 気体の自由膨張、気体の混合
例3 ジュールの実験(おもりの落下と熱の発生)の逆向
きに、水温を下げておもりを持ち上げる。
不可逆過程:完全に元に戻せず、どこかに変化(影響)が
残る。自発的に変化が進み、熱平衡状態に向かう。
可逆過程:その系や外界に何らの変化も残さず、前の状態
に戻ることができる。(仮想的には可逆的な変化を考えられる
が、現実的には平衡状態となっていて、見た目の変化がない)
自然に進む変化の方向は、熱力学第1法則では規定でき
ない。→熱力学第2法則
熱力学第2法則の例
「均一な温度にある物体から奪った熱のすべてを、外部に
何らの影響を与えないで仕事に変えることはできない。」
(トムソンの原理)
「仕事→熱」の変化は100%の効率で起こり、不可逆
である。「熱→仕事」の変化は常に100%の効率で起
こるわけではない。
「低温の物体から高温の物体へ何の影響も残さずに熱を
移動することはできない」(クラウジウスの原理)
「高温物体」から「低温物体」への熱の移動は自然に
起こり、不可逆で、逆向きの熱移動は勝手には起こ
りえない。
気体の等温体積変化
理想気体を状態1から状態2へ温度T一定下で変化させる。
変化させる過程によって、気体が外へなす仕事を考える。
p外
p外
状態1
T, p1, V1
状態2
T, p2, V2
T
T
①外界の圧力を一定とした過程(不可逆過程)
外圧をp1から瞬間的にp2へ減少させ、p2一定のままで体
積をV1からV2に変化させる
気体のなす仕事は
V2
 W1   p2 dV  p2 (V2  V1 )
V1
状態1
p1
p=nRT/V
(等温線)
p
状態2
p2
W1
V1
V
V2
②外界の圧力を一定とした過程(2段階で膨張)(不可逆)
(1)外圧をp1からにp’へ減少させ、圧力一定で膨張
(2)次にp2にして一定のままでV2に膨張させる
気体のなす仕事は
– W = (– W1) + (–W2)
状態1
p1
p=nRT/V
(等温線)
p
状態2
W1
p2
V1
W2
V
V2
③外界の圧力を一定とした過程(多段階で膨張)(不可逆)
外圧を内圧よりわずかに小さくして、一定圧力で膨張
仕事はpV曲線の下の面積よりわずかに小さい
状態1
p1
p=nRT/V
(等温線)
p
状態2
p2
V1
V
V2
④外圧を系の内圧より常に無限小だけ小さく保ちながら、
無限大の段階で膨張させると、p外は実際上系の圧力と等
しいと近似できて、仕事はpV曲線の下の面積となる
V2
V2
V1
V1
 W   pdV  nRT 
状態1
p1
p=nRT/V
(等温線)
p
状態2
p2
V1
V
V2
 V2 
1
dV  nRT ln 
V
 V1 
この過程を「準静的過程」とい
い、系がいつでも外界と平衡
状態にある「可逆変化過程」
の一種として考える。
(無限の時間がかかるので、
実現することは不可能。仮想
的な変化過程)
①から③は不可逆過程、④の準静的過程は可逆過程
④の仕事が最大値となる
一般に系が外界に対してなす仕事は、可逆変化において
最大となる
– W (可逆) > – W(不可逆)
理想気体の等温体積変化では内部エネルギーの変化が
なく、熱力学第1法則から
Q=–W
等温可逆膨張のときは、系が吸収する熱は最大値となり、
熱はすべて仕事に変換される
気体の断熱体積変化
系と外界との間に熱の出入りがない(断熱的)条件で、理
想気体 n mol の状態1(T1, V1)→状態2( T2, V2 )の可逆膨
張を考える
断熱変化ではdQ=0であるので
dU = dW
理想気体ではUは温度のみの関数で
dU/dT = CV = nCV,m
したがって
dW = dU = CVdT
CVを一定として、温度T1からT2の間で積分すると、断熱体
積変化による仕事は
W = DU = CV(T2 – T1)
一方、
dW = – pdV = –(nRT/V)dV
より
dT
nR
CV

dV
T
V
これを状態1から状態2の間で、CV一定として積分すると
 T2 
 V2 
CV ln   nR ln 
 T1 
 V1 
n molの理想気体ではCp – CV = nR、また Cp/CV = g とおくと
nR C p  CV

 g 1
CV
CV
T2  V1 
  
T1  V2 
g 1
一般に g > 1 なので
V2>V1 (膨張) : T2<T1 (温度低下)
外への仕事⇒Uの減少(温度低下)
V1 , V2のときの圧力をそれぞれp1 , p2とすると
nRT1  p1V1
nRT2  p2V2
を代入して、
g
p2  V1 
  
p1  V2 
 p1V1g  p2V2g
すなわち
pV g = 一定 となる
(ポアッソンの式)
g > 1のため、等温線(pV=一定)より、断熱線( pV g=一定)
のほうが傾きが大きい。
カルノーサイクルー熱エンジンの効率
高温熱源(TH)から熱(QH)を吸収し、外部にWの仕事をし
て、低温熱源(TL)に熱(QL)を放出して、元の状態に戻る
熱機関(エンジン)の効率を考える
高温熱源 TH
QH
等温膨張TH
断熱圧縮
TL →TH
断熱膨張
TH →TL
等温圧縮TL
p123 図7.4の類似図
W
E
 QL
低温熱源 TL
今日のまとめ
熱力学第2法則:不可逆変化と可逆変化
理想気体の準静的等温体積変化
準静的断熱体積変化
熱機関の効率:カルノーの定理
熱力学的温度
温度計
ミニクイズ
レスポンスカードを用意
次のうち不可逆変化はどれ?
1. 同じ温度の物体間の
熱移動
2. 高温物体から低温物
体への熱移動
3. 準静的等温膨張
4. どれも正しくない
80%
12%
膨
ど
れ
も
正
等
温
準
物
温
低
ら
か
物
体
温
高
静
的
...
...
間
体
物
の
同
じ
温
度
0%
し
くな
い
張
8%
今日の講義はどうでしたか
1. 興味がわかなかった
2. 少し興味が持てた
3. 興味を持って聞けた
73%
22%
持
を
味
興
少
し
興
味
っ
が
持
て
聞
て
た
た
っ
な
か
わ
か
が
味
興
け
た
5%