輪読3班 「5章、6章」 ~貧困の罠~ 坂下琢磨 高谷早紀 中沢圭代 蛭間崇正 松尾香奈 金子晃子 第5章 貧困層の賃金はなぜ低いままか 1. 2. 3. 労働供給の基本モデル 賃金の決定要因:労働生産性 労働生産性の決定要因としての賃金 1.労働供給の基本モデル 消費者・労働者の労働供給決定モデル *余暇・労働と消費支出のトレード・オフ *予算制約 労働供給関数 *賃金が上がったときに労働供給が どう変化するか →途上国では労働供給が増える傾向 2.賃金の決定要因:労働生産性 労働生産性は何に依存するのか 労働者の能力 労働時間 投入物の使用量 児童労働と人的投資 低所得 ↓ 児童労働 ↓ 人的資本の少ない(教育水準の低い)成人 ↓ 低所得 || 貧困の悪循環 3.労働生産性の決定要因:賃 金 効率賃金仮説 賃金水準が労働効率に影響を与えると する仮説 *下方硬直性 *長期的な失業の存在 悪循環の背景とその抜け道 低所得・児童労働ありの低位均衡と、高所 得・児童労働なしの高位均衡との複数均衡が 存在する 低位均衡から抜け出すためには、成人労働 者賃金の引き上げを行う 児童労働の必要性がなくなり、人的投資(教 育投資)への余裕ができる 児童労働の解決策 ただ児童労働を禁止すると家族の所得をさら に低下させるので根本的な解決にはならない 児童労働を禁止するだけでなく、彼らの就学 を促進する措置が採られなければならない 新古典派経済成長理論 先進国においても、途上国においても経済成長に は限界があるというのが新古典派経済成長理論 ↓ 戦後の世界経済において、日本や東アジアの諸国 をはじめとして、長期間にわたって高率で経済成長 を挙げる国が現れたことが説明できない ↓ 説明できるのが内生経済成長理論 内生経済成長理論 物的資本は蓄積が進むにつれて物的資本の生産性 は低下するが、人的資本が同時に成長すれば、2 つの資本の生産効果相まってそれぞれ生産性低下 を免れる ↓ つまり人的資本の蓄積が継続すると長期の経済成 長が望める ↓ 戦後世界各国で起こった経済成長が説明できる まとめ 1. 児童労働は具体的な政策なしではなくなる ことはなく貧困が悪循環する 2. 人的資本の貯蓄率が異なれば、労働者の 能力の向上にも違いが生じ、経済成長率も 違ってくる →人的資本蓄積は重要な鍵 6-1~3 貧困の悪循環から成長局面へとジャンプする ※この“ジャンプ”は、Rostowが経済発展段階説で説明した、 離陸(Take-off)と類似している。 ⇒低位均衡から高位均衡への移行 ※一つの経済に関して複数均衡が存在しうる。どこに均衡点 が生まれるかは、その国の経済状況、発展段階による。 ⇒収穫一定技術から収穫逓増技術への移行 ※規模の経済が成り立つので、持続的成長が可能になる。 収穫一定技術とは 1. 2. 3. 努力と成果の関係が比例的 線形技術 規模の経済がない ⇒持続的な経済成長 が不可能 ※規模の経済とは… 生産量の増大につれて平均費用が減少する結果、利 益率が高まる傾向をいう。収穫逓増、費用低減と同義。 収穫逓増技術とは 1. 2. 3. 努力と成果の関係が比例的でない 非線形技術 規模の経済がある ⇒持続可能な経済成長が可能 総需要と生産量の関係(1) -貧困の罠:低位均衡- 生産量が少ない ↓ 所得が低い ↓ 総需要も小さい ↓ 収穫一定技術を用いる ↓ 生産性は低いまま 総需要と生産量の関係(2) -離陸(テイクオフ)後:高位均衡- 生産量が多い ↓ 所得が高い ↓ 総需要も大きい ↓ 収穫逓増技術を用いる ↓ 持続的成長経路に乗る 規模の経済(=収穫逓増)が成り立つ例 初期投資として、固定費用が必要な場合 鉄鋼業・・・高炉 造船業・・・ドッグ etc 補完性(マーシャル外部性)が働く場合 石油化学コンビナート、パイプライン 自動車の燃費改良(技術伝播) 生産性はどんどん向上⇒「規模の経済」が成り立つ パレート最適性とは 効率化が進んだ段階=このままでは、これ以上効率化できない 「むだ」 があってはならない 外部性・市場支配力がなければ、完全競争市場均衡がパレート 最適性を満たす = 厚生経済学の第1基本原理 「むだ」の有用性 「むだ」とは? =成長の余地 (誰かの効用を一定にしたまま他の誰かの効用を増加させる) 外部性均衡の場合 …社会的限界費用と私的限界費用の差 不完全競争均衡の場合 …価格と限界費用の差 「むだ」がない = 低位均衡から高位均衡へ移れない 人口転換でもあてはまる(途上国) 教育 低位均衡 (子沢山、低教育水準) 所得水準が低い 教育の収益率も低い 教育による人的資本蓄積が 少ない ↓↓↓ (即戦力になりうる)手間暇を かけて、子供をたくさん育て る 高位均衡 (小産小死、高教育水 準) 所得水準が高い 人的資本の生産性、教育の 収益率が上昇する ↓↓↓ 少数の子供に金をかけて教 育を受けさせる (親も教育を受けている) 貧困の罠(poverty trap) から脱出するには… 「小さい総需要 =少ない生産量 =収穫一定技術」 「大きい総需要 =多い生産量 =収穫逓増技術」 ビッグ・プッシュ(低位均衡から高位均衡へ移す体系外からの刺 激) ・政府が経済体系の外から政府支出を増やす ・総需要を増やす 現実に、途上国政府 主導のビッグ・プッ シュは有効か? ある業種に対する産業政策の支援が、経済全 体に補完性(より効率的な高位均衡にジャンプさ せる)を持っているのか 特定の産業を利することになりかねず、他の産 業の人から不満がでるといった政治的問題 自国産業が十分補完性を発揮できるかどうか は海外の競争相手の出方によって変わる 以上の要因から… 政府が与える「ビッグ・プッシュ」は、見極めが難しい 現在でも、開発戦略としては、あらゆる産業に対して 一律の支援策が採用されることが多い ⇒ どこから補完性が発生するのか? ⇒ 思い切ったビッグ・プッシュがとれていない? そして論点・・・
© Copyright 2024 ExpyDoc