労働災害の書類送検事例 2014年3月~4月 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/5 送検先 佐賀地検 対象 水産加工会社と汚水処理施設管理担当の男性部長 状況 2013年9月18日、同社工場の汚水タンク内で男性従業員2人が発見され、 搬送先の病院で急性硫化水素中毒のため死亡した。2人が汚水タンクに 入って作業する予定はなく、入った理由は不明という。 同社らは、通常作業において、タンク開口部付近で硫化水素などの濃度 測定などを行う際の転落防止など、必要な措置を怠った疑い。 2 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/7 送検先 大阪地検 対象 トナミ運輸の大阪中央支店と関連会社及び支店長(49歳)ら7人 2012年4月~2013年9月、支店長らは、講習時間が短縮される運転経験を持 たない社員3人について、虚偽の「経験証明書」を作成するなどして必要な講習 を受けさせず、正規に資格を得ていない状態で大型フォークリフトを支店の敷地 内などで運転させるなどした疑い。 状況 監督署は、会社ぐるみの可能性があるとみて、全国の状況調査をトナミ運輸に指 示した。 大型フォークリフトを運転するには、民間教習機関で35時間の技能講習を受ける 必要があるが、支店長らは、資格が不要な1トン未満のフォークリフトを3か月以上 操作した経験があれば講習時間が24時間短縮される制度を悪用したとされる。 3 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/7 送検先 神戸地検 対象 日本テクノスチールと同社社長(70歳) 状況 2013年12月19日、同社工場で、男性従業員が重さ0.9トンと1.3トンの角 形鋼管2本を移動させるためクレーンを操縦し、掛け外しを行おうとした際、 2本の鋼管に左足を挟まれ、骨折する重傷を負った。 同社らは、クレーンの操縦資格を持たない従業員に、荷重1トン以上の物 体をクレーンに掛け外しする「玉掛け」の作業をさせた疑い。 4 業務上過失致傷罪 送検日 2014/3/10 送検先 前橋地検 対象 現場責任者だった男性会社員(47歳) 2013年1月31日、群馬県中之条町の鉄塔工事現場でダイナマイトが爆 発し、作業員2人が重傷を負った。 状況 現場責任者は、爆発事故を防ぐための注意や指示をせず、作業員2人に 爆発によるやけどや骨折などの重傷を負わせた疑い。 作業員2人は削岩機で掘削作業中、前日の作業で不発のまま土中に 残っていたダイナマイトに接触し、爆発させたとみられる。 5 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/14 送検先 唐津地検 対象 緑化土木工事業者(唐津市)と同社社長(74歳) 2012年9月、神埼市の土木工事現場で、60代の男性従業員が草刈り刃 で左足の親指に数針縫うけがをして、約2週間休業した。 状況 また、2013年7月には、70代の女性従業員が送迎バスに乗る際、足を滑 らせ転落し、鎖骨などを折って数カ月休業した。 同社らは、4日以上の休業に義務付けられた報告書を労基署に提出しな かった疑い。 6 業務上過失致死罪 送検日 2014/3/17 送検先 福島地検 対象 状況 発注元の市の担当職員2人 工事を請け負った建設会社(本宮市)の現場責任者ら6人 2013年9月19日、本宮市の市道に埋まっている農業用水路の補修工事 で、水路に沿って掘られた溝で配管を掘り起こしていた男性作業員2人が、 のり面から崩落した土に埋まって死亡した。 他の現場にはある崩落を防ぐ側壁が事故現場にはなかったことなどから、設 計図通りに工事が行われておらず、崩落が予想できたのに対応しなかっ た疑い。 7 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/17 送検先 神戸地検 対象 警備会社の代表者(52歳)と元請会社の係長(32歳) 状況 2013年10月28日、トンネル点検業務に伴う交通規制看板の撤去作業 中、警備会社の男性従業員(65歳)がトラック荷台から転落し、右手首 を骨折した。 2人は、休業4日以上の労災事故が起きたのにもかかわらず、共謀して災 害の報告書を提出しなかった疑い。 8 業務上過失致傷罪 送検日 2014/3/18 送検先 大津地検 対象 東近江市消防団の団員(50歳)と分団長(54歳)ら団員計5人 2013年8月4日、グラウンドでの消火訓練中、団員が炎が残るオイルパンに アルコールの一種のエタノールをつぎ足して引火させ、男女計8人が重軽傷 を負った。 状況 引火させた団員は、鉄製オイルパン内に試験的に付けた火が消えたかどう かの確認を怠り、分団長と班長は、事故防止の具体的な方法を指導せ ず、現場にいた団員2人は、傍観して事故防止措置をとらず、それぞれ事 故を引き起こした疑い。 9 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/17 送検先 静岡地検 対象 清掃作業の請負会社と現場責任者だった食品加工会社社員(56歳) 状況 2013年4月18日、食品加工会社の円筒状の貯蔵倉庫内を清掃作業員 2人が清掃中、上部からトウモロコシの粒が大量に落下し、生き埋めになっ た1人(当時32歳)が窒息死したほか、別の1人(同17歳)も軽傷を 負った。 両者は、2人に安全ロープを付けさせるなどの危険防止措置を怠った疑い。 10 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/18 送検先 神戸地検 対象 日本触媒、当時の製造所副所長兼化成品製造部長(55歳)と同部 製造第2課長(58歳) 状況 2012年9月29日、紙おむつ用樹脂の原料となるアクリル酸の貯蔵タンクが 爆発し、消火活動に当たった消防隊員が全身やけどで死亡し、従業員ら 36人が負傷した。 同社らは、危険物のアクリル酸の製造作業で操作マニュアルなどを定めず に作業させた疑い。 11 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/20 送検先 岐阜地検 対象 木材加工会社、同社社長(62歳)と最高顧問(67歳) 状況 2013年3月12日、工場と集じん機をつなぐダクトから出火し、鎮火確認の ため同機内に入った社員3人が酸欠のため死亡した。集じん機は、炭酸ガ スを充満させて消火する設備を備えていたという。 同社らは、火災時は消火設備の作動で集じん機内が酸欠状態になること を知りながら、立ち入りを禁止せず、危険性を知らせる看板の設置なども 怠った疑い。 12 業務上過失致死傷罪 送検日 2014/3/20 送検先 福岡地検 対象 運送会社の営業所長(53歳) 状況 2012年6月15日、コンテナ(重さ約90キロ)2個が落下し、隣接する歩 道を歩いていた女性が死亡し、別の女性が胸の骨を折る重傷を負った。 営業所長は、運送会社の敷地内に積み上げていたコンテナが強風で歩道 側に倒れないよう、適切な保管措置を怠った疑い。 13 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/25 送検先 奈良地検 対象 町営クリーンセンターと同課長(59歳) 状況 2013年11月15日、圧縮したプラスチック容器を袋詰めしてこん包する機械 を清掃していた男性(69歳)が頭を挟まれ、意識不明の重体になった。 町と課長は、機械の運転を停止しないまま清掃させ、必要な措置を講じ なかった疑い。 14 労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/25 送検先 奈良地検 対象 建設会社(奈良市)と同社の現場責任者(39歳) 状況 2014年1月29日、建設工事現場で地中の配水管を入れ替える作業中、 同社の男性従業員(当時62歳)が作業していた穴の側壁が崩落し、男 性は崩土の直撃を受け死亡した。 同社らは、穴の側壁に板をつけるなどの措置を講じなかった疑い。 15 業務上過失致死罪、労働安全衛生法違反 送検日 2014/3/27 送検先 前橋地検 対象 建設会社 解体工事主任技術者(62歳)と解体作業責任者(37歳) 2012年8月、桐生市の工事現場でアルバイトで作業中の中学校3年生 (当時14歳)が崩れた壁の下敷きとなり死亡した。 状況 主任技術者と作業責任者は、壁が倒壊する危険を知りながら未然に防ぐ 業務上の注意義務を怠った疑い。 また、現場に派遣した少年ら中学生2人に対し、担当業務などに関して必 要な教育をしなかった疑いで、建設会社を労働安全衛生法違反容疑で 書類送検した。 16 労働安全衛生法違反 送検日 2014/4/14 送検先 大阪地検 対象 解体業者(茨木市) 状況 2013年11月13日、高槻市内の工場の解体作業で、派遣労働者の男性 (50歳)が屋根材を取り外していた際、天窓を踏み抜き約6メートル下の 床に転落して死亡した。 同社は、幅30センチ以上の歩み板を置くなどの危険防止措置を怠った 疑い。 17
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