宣教学通論 -聖書と宣教- 中央聖書神学校 2008年度前期 1 「聖書と宣教」で問われていること 1.「宣教」という概念は何処に生まれたのであ ろうか。 2.どのような宣教のモチーフを旧約聖書に見 出すか。 3.旧約聖書の預言と新約聖書の宣教はどう結 びつくか。 4.主キリストは何故宣教を強調したのか。 5.聖霊のバプテスマと宣教とはどういう関わり があるか。 2 宣教の神 宣教の起源 失われた人間を、捜し求めて救おうとな さった神 3 それで人とその妻は、神である 主の御顔を避けて園の木の間に 身を隠した。神である主は、人に 呼びかけ、彼に仰せられた。「あ なたは、どこにいるのか。」(創3:89) 4 宣教の神 宣教の起源 失われた人間を、捜し求めて救おうとなさった神 人間が神を捜し求めて救われたのではない 人間の思想や哲学や探求心によってはじめら れたのではない 人間の聖書理解から始まった運動でもない 5 神は、実に、そのひとり子をお与え になったほどに、世を愛された。そ れは御子を信じる者が、ひとりとして 滅びることなく、永遠のいのちを持 つためである。 神が御子を世に遣 わされたのは、世をさばくためでは なく、御子によって世が救われるた めである。(ヨハ3:16-17) 6 宣教の神 宣教の動機 人間を愛して止まない神に発する宣教 世界の始まる前から計画された業 人間愛に見出されたのではない宣教 人間が人間を憐れむ動機からの宣教では ない。 本質的に憐れみの神のみ業 神の熱心による宣教 必ず遂行される宣教 7 宣教の書 宣教の書である聖書 人類の救いを願う神のみ業の記録 救いを求める人間の業の記録ではない その救いのみ心と方法を啓示した聖書 聖書の中に宣教が教えられているので はない 聖書が宣教の書そのもの 8 旧約時代の宣教(『世界宣教の展望』p.69ff) 旧約における宣教のモチーフ 普遍的モチーフ(創12:1-3、18:18、2:18、26:4、 28:14) 全世界的広がりを持つ神の言葉 民族宗教ではないユダヤ教 ヨエルの預言の普遍性(ヨエ2:28-32) 契約的モチーフ(創12:1-3、エレ31:31-34) 神と神の民の契約関係の設立 9 旧約時代の宣教(『世界宣教の展望』p.69ff) 旧約における宣教のモチーフ 神の国のモチーフ(ダニ7:18) イスラエルを通して神の国を設立 新約に限定されていない宣教 対立的モチーフ(ヨナ1:2,4:10-11) 裁きの宣言と救い 10 旧約時代の宣教(『世界宣教の展望』p.69ff) 旧約における宣教のモチーフ 救済と解放のモチーフ(申9:26, 13:5, 15:15, 24:18) イスラエルを救い、解放する神への信仰告白 イスラエルを解放し、選ばれた一つの共同体と する神 宣教的モチーフ(イザ49:6) 選民の特権を占有するのでなく、諸国民への 証として召し出されているイスラエル 求心的モチーフ(佐々木、p.15) 宣教の胚芽期にあった旧約の宣教 11 新約時代の宣教(『宣教論講義ノート』p.16ff) 宣教使命の移行 イスラエル(民族共同体)からキリストの教会(キ リストの血によって贖われた共同体)への移行 キリストの使命と教会 福音の完成(十字架の死と復活) 御国の到来の宣言 弟子訓練 贖いのみ業継承のため 弟子達による教会設立の準備 12 新約時代の宣教(『世界宣教の展望』p.83) 新約聖書は初めから終わりまで宣教 の書物である。福音書はいわば、宣教 的説教の「生きた記録」であり、書簡は、 ある意味で宣教の業のために真正で実 際的な胴部としての宣教的弁証のもの である。…旧約聖書のすべての宣教モ チーフは、ナザレのイエスのご人格とみ 業にに収斂 する。 しゅうれん 13 新約時代の宣教(『宣教論講義ノート』p.16ff) 教会に委託された宣教使命(ヨハ17:18) 教会にだけ与えられた宣教活動 贖いの愛を主観的に体験している教会 遠心的宣教 全世界に出て行く宣教(マコ16:15) あらゆる国の人々を弟子にする宣教(マタ 28:19) 14 新約時代の宣教(『宣教ハンドブック』p.44ff) 聖霊と宣教 地の果てに証人となる宣教(使1:8) ペンテコステの聖霊降臨と福音の拡大 宣教教会に変えられたユダヤ社会のシナゴグ 共同体 預言と宣教 ヨエルの預言とその成就 歴史を縦断する聖霊の働き 15 20世紀の宣教 ヨ エ ル の 預 言 エ ル サ レ ム 教 会 の 設 立 五 旬 節 の 聖 霊 降 臨 ア ズ サ 街 リ バ イ バ ル 教ア 団ッ のセ 設ン ブ 立リ ー 16 20世紀の宣教 語られた預言-ヨエル(BC600年代) 成就した預言-ペンテコスト(AD30年) 引用された預言-ペテロ(使2:16-21) 更に成就した預言-アズサ(1906-09) 成就しつつある預言-ペンテコステ教会の誕 生とカリスマ運動の発展 米国AG (1914~)、日本AG(1949~) 17 世界の五大宗教 26% 32% 0% 7% クリスチャン 14% イスラム教徒 21% ヒンドゥ教徒 仏教徒 ユダヤ教徒 その他 18 世界の教派 6% 25% 48% 21% ペンテコステ・カリスマ 福音派 カトリック その他 19 世界( 211カ国)のアッセンブリー教会 1993年 信徒数 2,300万人 5,100万人 236,022 231,329 教会数 2003年 139,119 教職者 48,271 20 新約時代の宣教(『宣教ハンドブック』p.44ff) 聖霊と宣教 聖霊の働きとその結果 教会の成長 宣教の拡大 聖霊の働きの記録 使4:8,31, 6:10, 7:55, 8:17,39, 9:31, 10:44, 13:2,4 21 新約時代の宣教(『宣教論講義ノート』p.21ff) 旧約時代の神の臨在 新約時代の受肉のキリストの臨在 イスラエルの民に限定された臨在(cf.幕屋) 人として人の間に住まわれた臨在 使徒時代の聖霊の臨在 人(教会)の内に住んで下さり、人を導く聖霊の臨在 聖霊と共同の働きである宣教 22 教会と宣教(『宣教論講義ノート』p.21ff) 聖霊バプテスマと宣教 伝統的ペンテコスト信仰による宣教の力の賦与(ル カ24:49, 使1:8) 聖霊のバプテスマと宣教の力の関係 福音宣教のためには重要な経験 「神との交わりの特別な体験」の結果として持つ宣 教への情熱と賜物の効果的な活用 福音宣教のために遣わされる教会 神に召し出されたエクレシア(教会)を「世」に派遣す るキリスト(ヨハ17:18、20:21) 23 「わたしは、わたしの父の約束して くださったものをあなたがたに送 ります。あなたがたは、いと高き 所から力を着せられるまでは、 都にとどまっていなさい。」(ルカ 24:49) 24 教会と宣教(『宣教論講義ノート』p.21ff) 福音宣教のために遣わされる教会 神に召し出されたエクレシア(教会)を「世」に派遣す るキリスト(ヨハ17:18、20:21) 宣教が聖職者と呼ばれる人々にだけ課せられた活 動ではないこと 教会全体が宣教に召されていること 救われた者すべてが宣教のために召されていること 25 「聖書と宣教」で問われていること 1.「宣教」という概念は何処に生まれたのであ ろうか。 2.どのような宣教のモチーフを旧約聖書に見 出すか。 3.旧約聖書の預言と新約聖書の宣教はどう結 びつくか。 4.主キリストは何故宣教を強調したのか。 5.聖霊のバプテスマと宣教とはどういう関わり があるか。 26 27
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