愛知県「地域協働促進事業」 「NPOと行政の協働促進セミナー」 (理解

協働(論)の経過
• ボランティア・市民活動への注目と評価
– 1995年阪神淡路大震災。-村山内閣。
• 特定非営利活動促進法(NPO法)成立
– 1998年3月。12月施行。-橋本内閣。
• 介護保険の開始(2000年)
• 小泉改革(2001年4月~)
– 行財政改革。官から民へ(民間にできることは民間で。
官は手を出さない。「小さな政府」論)
1
協働の必要性。-時代の背景
• 地球環境問題。-人類的な課題(深刻さ)
• わが国・わがまちの課題
– 少子高齢社会、人口減少
– 農山村と都市の格差
• 北設楽郡=平成12年(13305人・高齢化率38.6%)⇒27年(9633人・高齢化率47.1%)
– 低成長
• 行政にとっての必要性(合理化・ニーズ対応)
– 累積赤字、組織再編
• 市民の成熟・活躍(情報化社会)
– 「自助・共助・公助」(堀田力氏)や「補完性原理」の考え方の浸透。
2
行政だけで乗り切れるか。
• 「大きな政府」へは向かわない。向かえない。
• 赤字削減は至上命令。・・・財政問題。
• 行政の「限界・弱点」がある。
–
–
–
–
–
–
公平性・平等性原理。・・・・・多様性に対応できない。
地域(行政区)割り。・・・・・・・地域を越えた課題に弱い。
業務(部局)のタテ割・・・・・・・
単年度予算主義。・・・・・・・・・継承性への弱点
チャレンジがしにくい。
制度や施策は、地域にとって荒っぽい。「地域」は総合的・具体的。
• 本来、市民が主人公。行政は間接民主主義。
• 行政は社会のコーディネーター・ファシリテーター役へ転換を。
3
行政からの必要性。
ー行政だけで乗り切れるか。
•
•
•
•
「大きな政府」へは向かわない(補完性の原理型へ)。
赤字削減は至上命令。・・・財政問題。
行政原理(制度・議会による規制)は越えてはならない。
その他、「行政の限界・弱点」について
–
–
–
–
–
–
公平性・平等性原理。・・・・・多様性に対応できない。
地域(行政区)割り。・・・・・・・地域を越えた課題に弱い。
業務(部局)のタテ割・・・・・・・
単年度予算主義。・・・・・・・・・継承性への弱点
チャレンジがしにくい。
制度や施策は、地域にとって荒っぽい。「地域」は総合的・具体的。
• 行政は社会のコーディネーター・ファシリテーター役へ転
換を。課題は現場認識をどうできるか。
4
協働の定義
●「住民等と行政が、相互の立場や特性を認識・尊重
しながら、共通の目的を達成するために協力して活
動すること」(総務省H16)
●「NPOと行政が、対等の関係で、相互の立場や特
性を認識・尊重しながら、共通の目的を達成するた
めに協力して活動すること。さらに、その活動を通じ
て、相乗効果や住民自治力の向上が期待できるこ
と」(総務省H18年「地方自治体とNPO等との協働推進に関する調査)
【要点】「共通の目的」「相互の理解・尊重」「対等な関
係」「相乗効果」「住民自治力向上」「適切な役割分
担」「情報共有・透明性」 「コミュニケーション」 「評
価」
5
協働の原則(「あいちルールブック」より)
• 行政・NPO共通の姿勢
– 目的・目標の共有
– 透明性の確保
- 相互理解
- 評価の実施
- 対等の関係
• 行政の姿勢
– 組織横断的な連絡調整
– NPOに対する理解と配慮
• NPOの姿勢
– 守秘義務
– 公の資金を使う自覚と責任
6
協働の意義(「あいちルールブック」より)
① 自立型の住民自治の地域社会をつくる
② 市民の社会貢献や自己表現・自己実現
の意欲を活かす場の拡大
③ 新しい社会ニーズの発掘と課題解決
④ 公共サービスの発展・充実、質の向上
⑤ 公共サービスの担い手の多様化
・市民が、NPOという方法論を手に入れ、主体となって公共サービスをつくり出している。
・行政だけが、公共サービスや地域づくりをしなくてもよい。
・コーディネーターとなって、協働の仕組みをつくればいい。その方が、限られた資源を活かすことができる。
7
ルールブック策定経過とその後
●2003年6月「第1回NPOと行政の協働のあり方検討会議」(2004年3月まで7回開催)
■2004年3月「あいち協働ルールブック2004」策定。
■2004年8月「共同声明」署名式。(賛同団体499.2008年8月現在743団体)
●2005年1月「NPOと行政の協働に関する実務者会議」設置(第1期~07年3月、2年任期)
成果物「委託事業の積算に関する提言」、「協働事業評価・検証」。
■2005年8月「あいち協働ルールブック」推進フォーラム
■2007年2月「あいち協働ルールブック」推進フォーラム(以降、毎年開催)
●2007年3月「NPOと行政の協働に関する実務者会議」設置(第2期、~09年3月)
検討課題「協働事業の評価・検証」
■2009年3月「協働ロードマップ策定手順書」策定
■2013年1月「新しい公共フォーラム・あいち」
■同年8月「同研究集会」
【注】「NPOと行政の協働に関する実務者会議」
愛知県(NPOグループ)と市町村NPO担当、中間支援NPO代表などで構成。20名程度の委員。
8
協働の効果
• 資源を持ち寄ることで地域課題・難問が解決する。
– 行政は、経営効率があがる。地域情報を入手する。
– 市民は、目的が実現する。
– 地域は、地域課題が解決する。
• なぜ、協働するのか。できるのか。
– 地域のため、「非営利・公益」サービスを確立することで一致す
る。
• 協働の効果を高めるために。
– 「人格的な対等性」と「実際の資源力の格差」の認識を。
– 適切な役割分担を。それぞれのリソース・特性を活かす。
9
協働の構造。-独自性と一致点。
■それぞれ独自の思いの部分がある。
○そこは共有できないが、理解し合うことが必要。
市民側の思い
行政側の思い
共通協働の部分
10
協働の担い方 相互補完
強み
弱み
行政
・財源、権限、情報を持つ。
・社会的信用力
・施設、人材等の資源豊富
・法律、制度、計画に沿った実
施能力
・現場を知らない、当事者の実
状・ ニーズがわからない
・個別ニーズに対応できない
・縦割り、前例主義、単年度主義
などにより迅速に対応できない
・人事異動
N
P
O
・強い問題意識と志
・自発的、機動的な行動力
・現場に精通、専門知識
・ネットワーク力
・当事者に近い発想力、企画力
・新しい事への挑戦、バイタリ
ティ
・資金、場所、人材に乏しい
・組織力、マネジメント力の欠如
・活動を継続する基盤の弱さ
・社会的信用力が低い
・行政、企業とのパイプが弱い
・概して、文書作成は苦手
11
協働のパターン。ー事業の種類でー
テ民 N
ィ・ P
コO
ミ・
ュ市
ニ
家
庭
生
活
NPO/市民
/コミュニティ
行
政
行 政
自
己
活
動
コ消
ミ費
ュ者
ニ
テ活
ィ動
醸
成
公
園
づ
く
り
交福
通祉
安活
全動
学都
校市
教計
育画
税課
徴税
収
≪委託・共催・補助・後援・・・≫≪情報収集・政策形成・実践・評価≫
しかし、市民が主役・主体に
12
協働のパターン。ー事業プロセスでー
ー出来るだけ初めから協働をー
市民・住民・NPO
発案
意見交
換
計画の
決定
実践
反省・
点検・
教訓
化
行政
・初めから協働。広く公開して。市民自身が議論し意見まとめを。行政は情報公開。時間をかける。
・犬山市楽田の公民館建設事例。→5億円、住民公募のワークショップ、1万人の利用予想が10万人、24時間利用可能、
住民管理。
13
協働のパターン
種別
内容・効果
共催
・NPOと行政がともに事業主体となって,共同で短期間の取り組みを行う形態。
※十分協議のうえ対等な立場で役割分担を行い,責任の所在を明確にしておく必要があります
★企画段階から話し合いを重ね、計画・実施にあたって双方の特性や知識を活かす ことが
できます。市民ニーズにより近い事業の企画・実施が可能になります。
事業協
力
・NPOと行政が,共催や実行委員会等以外の手法で,たとえば協定書などに基づ
き役割分担を決めて,一定期間継続的な関係のもとで事業を協力して行うこと。
※一般的には,目的,役割分担,責任分担,経費分担,有効期限などの項目を取
り決めた協定書を締結します。 ★双方の特性や知識を活かすことができます。
実行委
員会
・NPOと行政で構成された「実行委員会」や「協議会」が事業主体となって,取
り組みを行う協働形態。
★企画段階から話し合いを重ね、計画・実施にあたって双方の特性や知識を活かす
ことができます。市民ニーズにより近い事業の企画・実施が可能になります。
事業委
託
・本来行政が責任を持って担うべき分野として考えられている領域において,NPOの 有する
専門性,柔軟性,先駆性などの特性を活用して,より効果的に取り組みを 進めるためNPO
に業務を委託する協働形態。
※「協働」による委託は、通常と業務委託と異なり、目的の共有や特性の活かし方を しっ
かり話し合うこと鍵になります。
★NPOが持つ特性が発揮されることで、市にはない創造性で先駆性が期待でき、
市民
14
のニーズにあったサービスが可能になります。
種別
内容・効果
・NPO・行政それぞれが持っている情報を提供しあい,情報の共有を図る。
情報提
供・交換
★地域のニーズや課題について、認識を共有し、お互いの事業に活かしたり、協 働の
可能性を検討することにつながります。
・NPOが主催する取り組みに対して行政が「後援」という形で名を連ねること。
逆に行政主体のイベント等にNPOが「後援」という形で名を連ねることも (NPOの 後援に
よって,地域社会との密着性や親しみが生まれる)。
後援
・主に金銭的支出を伴わない協働の形態。
★事業に関する関心や理解、社会的な信頼が増すことが期待できます。
補助
・NPOが行う事業で公益性を認められる事業に対して、申請に基づき、行政が経 費を一
部負担すること。
・補助金を受けた団体が実施主体であり、責任や成果も団体側に属します。
★NPOの自主性、柔軟性、先駆性などの特性を阻害することなく、経費を支える
で、サービスの質や量を高めることができます。
(参考)「あいち協働ルールブック2004」
ウェブもりおか「NPOとの協働を進めるためのガイドライン」
http://www.city.morioka.iwate.jp/04simin/sisei/guideline/guideline04.html
こと
15
ー避けられないこれからの時代のテーマー
協働による地域づくり
*様々な立場の人々が地域課題を共有し協働する
【三つの論点】
①人と人のきずな・助けあいの大切さ
②相互理解・コンセンサスづくりがポイント
③誰が実行するのか。人や資金・仕組みは
趣味や嗜好等の
様々な任意団体
営利法人
NPO法人
ボランティア
団体
公益団体(法人)
(公益社団、学校法人、
社会福祉法人等)
共益団体
地縁団体(自治会・町内会)
生協・農協・各種組合・・・
区政協力委員
株式会社、有限会社、
個人商店、ほか
市民事業
コミュニティビジネス
ソーシャルビジネス
一般社団・
一般財団法人
行政・議会(立法)
ー国・県・市町村ー
16
NPOへの事業委託の課題
■市町村アンケート結果
(平成17年9月~11月愛知県実施。68市町村中65回収。)
1、NPOへの委託事業実績。 ①53.8%(35/65)。65=市(28/32)+町村(7/33)。
2、課題認識(事業委託する場合の課題)。複数回答。
「各NPOの事業実施能力についての情報不足」(21)、
「受託事業を実施できるNPOが少ない」(21)
「NPOの事業実施能力が不足している(専門性、スケジュール管理、個人情報管理な
ど)」(20)
「委託実績がなく不安、NPOに対する信頼性がない」(16)、
「行政内部でNPOに対する理解が進んでいない」(20)、
「委託費の積算基準が定まっていない」(9)
「民間企業や既存の公社との競合(NPO選定の理由)」(6)、
「NPOへの委託が可能な事業分野がわからない」(6)
・・・。
17
協働経験者が挙げた課題
行政の意識・体制
*下請け的委託
*各課の調整
*仕事の評価・積算基準
NPOの力量・意識
*業務遂行能力
*組織体制
*行政への依存
技術的な課題
*支払い時期
*目的・役割分担の共有
*意見交換・評価の方法
18
協働の感想・評価
• 行政担当者の感想
–
–
–
–
市民の啓発・意識化が進んだ。
市民の主体的参加が進んだ。
地域のニーズがよくわかった。
市民と知り合いになり、地域の
人材がわかった。
– 市民のネットワーク力が事業
推進に役立った。
– 協働相手の専門性が事業に効
果的だった。
• NPO側の感想・評価
•
•
•
•
•
•
•
•
事業が広く展開できる
多くの公的資源が活用できる
事業成果が向上する
(行政の)NPO理解の良い機会となる
社会的な信用が高まる
ネットワークがひろがる
資金(補填)が役立つ。
勉強になる。(行政の理解が進む)
・課題に感じること
• NPOの意義が理解されない
• 試算額が低い・標準化が必要。
– 財政合理化を超えていない
19
「協働」成功のポイント
• 「非営利・公益」の共通基盤はある。
• 相手を信頼する。理解し合う。本音で話合う。情報・思
惑を全て話す。丁寧にコミュニケーションをとる。
• 指揮命令関係ではない。互いの人格を尊重する
• 人は変わる。状況も変化する。時折目標を確認しあう。
• 現場を訪ねる。試してみる。実践がすべて。聞く、見る、
知る。教訓はここから生れる。
• 最初から最後まで協働する。作業の役割分担をする。
協働の「働」の部分が互いに見えるようにする。
20