経営情報学概論

経営組織論
経済学博士・工学博士
広島大学大学院工学研究院
特任教授 伊藤孝夫
第6章 アージリス理論
アージリス
• Chris Argyris (1923年7月16日ー2013年11月
16日)
• Newark, New Jersey生まれ
• ハーバード大学名誉教授,学習する組織・組
織開発を提唱
アージリスの理論
パーソナリティ
フォーマル組織
社会心理学
パーソナリティPersonality
人間の行動
欲求
パーソナリティ
エネルギー
能力
認知能力
活動能力
感覚能力
パーソナリティ
• 欲求:意識的・無意識的に持つもの
• エネルギー:生理的エネルギー・心理的エネ
ルギー
• 能力:認知(知能)・活動(肉体)・感覚(感情)
三者によって構成される相互作用の
システム
エネルギー
• 心理的エネルギー:psychological energies
• 生理的エネルギー:Physiological energies
重要:心理的エネルギーの増大
心理的エネルギーの増大
• 心理的成功:個人が主体的に自分の
能力と置かれた環境による影響を正し
く認識することによって、自ら積極的に
自分のもてる能力をフルに活用すると
同時に自己責任を持ち、自己統制を行
っていく状態
• 心理的失敗:自己意識と自尊心の喪失
自我(the self)
• 各構成部分の特殊な相互関係によって創り
出された独特なパーソナリティの全体
能力
欲求
エネルギー
外部との
相互作用
自己実現self actualization
能力
欲求
能力
欲求
能力 欲求
エネルギー
エネルギー
エネルギー
時間
適応・順応・統合
• 適応adjusted:内面的均衡
• 順応adapted:外部環境との均衡
• 統合integrated:適応かつ順応
能力
欲求
エネルギー
外部との
相互作用
歪んだ自我
• 各構成部分のアンバランスの状態
能力
エネルギー
能力
欲求
欲求
能力
欲求
エネルギー
エネルギー
個人の成長過程
受身的状態
能動的状態
他人への依存状態
独立状態
限定された行動
多様な行動
衝動的趣味
持続的趣味
短期的展望
長期的展望
従属的地位
同等的又は上位的地位
自己意識の欠如
自己意識の発達
自己成長のための防衛
• 自我を合致させる:原因を自分にとって好都
合に解釈
• 原因の否定
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問題解決の先延ばし、回避する
自ら納得しうる口実を探すことによって自己満足を図る
優柔不断の態度をとる
諦め的な気持ちになる
自己喪失
責任転嫁、他人に対する非難攻撃
攻撃されると、自暴自棄に陥る
管理原則とパーソナリティの矛盾
• 仕事の専門化:能力の特定分野の限定⇒自
己実現と対立
• 命令の統一:秩序のため必要、上司に依存さ
せ、能動的・従属的態度を強要
• 指揮の統一:能率の向上で必要、個人目標と
組織目標との乖離⇒心理的エネルギー減
• 統制の範囲:上司の監督に依存
結論
• フォーマル組織では、①個人の能力のうち、
ごくわずかしか生かされないような環境が形
成されている。また、②上司によって定められ
た目標は個人の欲求と無関係であるため、
彼らの強い動機を期待できない。したがって、
③こうした目標と個人との関連性は失われが
ちとなる。その結果、④組織内の各個人間の
相互作用も表面的なものに終わる。最終的に
は、効率の低下をもたらす。
このような矛盾の顕著化
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従業員の成熟
組織の諸原則が明確に実行される
従業員の命令系列の末端に下げる
仕事の機械化
第一線の従業員
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指先の器用さ、肉体的な能力の活用に限定
対策
現状:難しい
a、組織を去る
b、昇進して社長になるために懸命に働く
c、自己防衛のために順応する
d、無気力、無関心になる
インフォーマ
会社側:①より強力でダイ
ナミックなリーダーシップ②
より厳格な管理統制③恣意
的な人間関係管理
増大
ル組織の形
成、物的報酬
の重視
中間管理職
経営管理職
一部の情報
実施責任を要求
中間管理職
信頼されていない
従業員
実施できない:
板挟み状況
経営管理者
人間関係⇒組織目的の達成
矛盾!
合理的な組織規範の強調
組織の柔軟性の喪失
従業員心理的エネルギーの
減少⇒売上高・収益の減少
対策
指示的・独裁的組織
民主的・参加的組織
①情報の開示性と相互伝達の徹底
②組織の方針と活動の議論への参加
③仕事分担の決定参加
a)職務の細分化→範囲の拡大
b)単純労働→バラエティのある仕事の担当
混合モデル
一つの部分(または部分の集 全体はあらゆる部分の相互関係
団)が全体を統制する
を通して形成され、統制される
組織を諸部分の単純な集まり 組織を諸部分のまとまりある全体
として認識する
として認識する
諸部分に関連した目的の達成 全体に関連した目的の達成
内部志向的中核活動に対す 内部志向的中核活動に対する思
る影響が不可能
い通りの影響可能
外部志向的中核活動に対す 外部志向的中核活動に対する思
る影響が不可能
い通りの影響可能
中核活動の性質は現在によっ 中核活動の性質は過去、現在、未
てのみ影響を受ける
来によって影響される
ピラミッド組織
理想的な組織
ありがとうございました!