宇部興産(株)宇部研究所の 安全衛生活動 総務部長 境 昭二 総務部主席 森 義勝 1.UBEグループの環境安全基本理念 2.宇部研究所の安全活動の推進状況 研究所の概要・特徴、安全管理組織、 安全衛生管理計画、安全実績 3.事例紹介 試作合成チームの活動とその意義 1 1 1.UBEグループの環境安全基本理念 ・環境保全、安全・健康の確保に責任 ・グループ連結経営の中核として、 基本理念を具現化・実践 グループの環境安全クオリティーを向上 安全確保 ; 全ての活動で優先 環境保全 ; 積極的な対応が社会的責任 製品安全 ; 安全製品の供給が責務 健康保持・増進 ; 活力の基本 1 2 2.安全活動の推進状況 2-1.宇部研究所の概要 ・操業 ; 1952年 ・業務 ; 試験研究 ・従業員数 ; 217名(av. 40.2才) ・規模 ; 敷地7.7万㎡(4ヶ所) ・高圧ガス、危険物、毒劇物取り扱い 1 3 2-2.宇部研究所の特徴 ・業務分野 ; 有機合成、生物系、無機系、 プロセス ・業務規模 ; ビーカー~ミニプラント ・作業環境 ; 実験室、開放建屋、ほ場 ・構成人員 ; 他部署員が混在 ・立地 ; 工場群の周辺、住宅地隣接 1 4 2-3.環境安全管理組織 最高責任者(所長) 安全衛生委員会 環境安全衛生スタッフ 放射線安全委員会 産業医、衛生管理者 DNA安全委員会 各種自主委員会 実験室/研究室 パイロット/実験ヤード 防災責任者(部長) 火元責任者(主席研) 火気取扱責任者 1 5 2-4.安全管理計画 1) 基本方針 ・職場安全会議 ・守るべき決め事の明確化 ・災害ゼロから危険ゼロへの意識改革 ・先取りの積極姿勢 2) 安全活動 ・委員会、部会の開催 ・職場安全パトロール ・調査 ・届出 1 6 3)設備保全管理活動 ・点検強化月間の設定 回転機器、チェーンブロック・巻上げ機、電気設備、 局所排気設備、圧力容器、冷却水設備 ・法定検査 防消火設備、第1種圧力容器 4) 教育訓練活動 ・安全教育 新入社員、転入者の職場導入教育 ・訓練 自衛消防隊の防災訓練、消火器取扱 緊急時対応、消火操作競技への参加 1 7 5)健康管理活動 ・健康診断 ・血圧を知ろう-運動 ・健康講話、健康相談 ・分煙強化 6) 交通事故防止活動 ・春-全国交通安全運動 ・夏-交通安全健民運動 ・秋-全国交通安全運動 ・冬-年末年始交通事故防止運動 1 8 7)ISO 14001の着実な運用 ・廃棄物の削減 ・フロン内蔵機器の適性処置 ・排水中の有害物質のチェック 8) 化学品の安全対策の推進 ・有害薬品の代替促進 ・薬品購入量の削減 ・薬品管理ノートの利用 1 9 9)他部署、協力事業者の安全管理 ・他部署 188名 ・業者数 3社(20名) ・所定マニュアルに沿った依頼書 ・工事検討会 ・委員会へのオブザーバー出席 1 10 2-5.安全実績 1992年度より10年間無災害を継続中 平成 4 7 10 11 12 13年 延労働時間(万Hr) 90 71 53 休業件数 0 0 0 不休業件数 1 2 0 交通災害 0 0 0 42 0 0 0 42 0 0 0 41 0 1 0 不休災害;休業2日以内 1 11 3 事例紹介 試作合成チームの活動とその意義 チーム発足 ; 1983年(昭和58年)~19年間 チーム員 ; 3名 (無事故・無災害継続中) 原体化合物合成数=270件(反応件数=1,500件) 反応スケール;20リットル(ガラス/SUS製) 試作合成依頼品目 ①自社医・農薬②医薬中間体③香料④他社医薬 業 務 1、企業化を想定した実験データ収集(事業部FS用) スケールアップ時のデータ収集、基礎研究の~10倍 2、サンプル製造(Kgオーダー)/公的試験、基礎研究進捗 1 12 3-1 コストパフォーマンスにあう製法 工 業 的 製 法 ① 原料入手が可能であり安価であること。 ② 反応操作が簡単で工程管理がやさしいこと。 ③ 反応混合物より目的物が単離できること。 ④ 目的物の精製が可能であること。 ⑤ 総ての工程に安全性が確保されていること。 摩擦、衝撃、光,熱,静電気,酸素,水等 1 13 3-2 爆発防止の基本的考え方 ① 化学物質の危険性評価 不純物の影響,特にリサイクル等による特殊な変化に留意。 ② プロセスの危険性評価 反応方式(気/液、バッチ/連続),反応条件,温度,圧力,濃度など。 ③ 取り扱い操作の危険性評価 操作ミスの影響;手順,計量、操作ミスなど ④ 設備・機器の危険性評価 構造,冷却能力、制御方法,緊急処置設備 1 14 3-3 試作合成依頼提出書類 提 出 書 類 試作合成依頼申込書 内 容 安 全 対 策 依頼個所、化合物名、構造式 依頼受付時のミーティング結 物性、安全性、特記事項等 果によっては合成再検討 合成マニュアル 各工程の合成マニュアル 小スケール実験時の詳細 (必要試薬全て記入) 説明を参考に対策実施 原材料・中間体・製品等の 化 学 式 、 分 子 量 、 引 火 点 マニュアル・物性表をもとに試 物理化学的性質及び人体 SG,mp、bp、 作スケジュールを策定・実施 に及ぼす影響 エームス試験結果等 S 災害情報調査表 他社での事故事例 安全対策として参照 装置名、状況・原因・対策 MSDS データ値 安全衛生対策案作成実施 消防法SC-DSCデータ データ値 (示差走査熱量測定、密閉) (危険性有無判断) エームス試験 (変異原性) データ値 消防法による値を超える 化合物合成は別途協議 陽性化合物は特に慎重に 取り扱う 消防法SC-DSC ; 1 2,4-DNT/BPO を標準物質とする第5類熱分析試験(危険性有無判断) 15 3-4 安全衛生対策の各種ミーティング ミーティング 資 料 合成依頼受付時 所定の書類一式 (全工程詳細検討) 合成開始前 所定の書類一式 (直前工程詳細検討) 合成実施時(就業前) 合成マニュアル 出席者 依頼者/合成担当 依頼者/合成担当 合成担当 (当日のスケジュール確認) 合成実施時(就業後) 合成マニュアル 合成担当 (翌日のスケジュール確認) トラブル発生時 合成マニュアル (発熱,収率低下等) (合成時条件検証) データ整理 合成データ (温度変化等詳細検討) (作成データ検証) 1 依頼者/合成担当 合成担当 16 3-5 危険項目と安全衛生対策例 危 険 項 目 危 険 因 子 安 全 対 策 合成依頼受付 安全確保はどうか 合成の可否を判断する 合成反応・蒸留・単離工程 反応全般(有機溶剤使用) ドラフト/専用装置で行う 異常反応が予測される反応 爆発・発火・熱分解 ドラフト内+防爆対策 危険予測反応工程 基礎実験データ参照 スケールアップ 危険反応(爆発、発熱等) B-1 目依頼担当者立会いを要 求 段階を追って(10倍) 大型ガラス反応器取扱① サーマルショック 温度差60℃以内で扱う 大型ガラス反応器取扱② 反応液の移液方法(容器持上)デカンテーション、ホースポンプ 大型ガラス反応器取扱③ 高温反応相への低温液滴下反 相内に確実に滴下誘導する 応(液飛沫によるサーマルショック) (誘導管装着) 禁水物質・空気接触禁止物質 クローズドシステム/不活性ガス置 換 失透・引っかき傷等 目視確認不適格品は廃棄 大型ガラス反応器取扱④ 老朽ガラス器具 1 17 マントルヒーター加熱反応 局部加熱(400℃以上) 2系列/複数バッチの合成時 担当者/ドラフトを決める 使用全面禁止→オイルバス 極力避ける 一人合成実験 危険!(事故が発生したら) 極力避ける(危険度合い考慮) 午後からの合成開始 危険!(夜間に及ぶ場合) 極力避ける(危険度合い考慮) 単離操作/ 蒸留 蒸留時の熱分解(不純物) 消防法 SC-DSC データ参照 単離操作/ 分液 溶剤暴露 単離操作/ 濃縮 単離操作/ 濾過 単離操作/ 乾燥 単離操作/ 粉砕 各工程での分析 局排/専用装置(送液エアー ポンプ装備)で対処 溶剤暴露 局排/専用装置で対処(薄膜 蒸留器・ロータリエバポレーター) 溶剤暴露/静電気 局排/磁性ヌッチェ/加圧濾過器 防爆遠心濾過器 有機化合物固体 減圧乾燥/減圧装置水エジェクタ (原材料・中間体・原体)乾 ー/オイル・ダイアフラムポンプ/トラッ 燥 プ 粉じん暴露/静電気 ドラフト/防塵マスク/静電 作業服・靴着用 ガスクロ、液クロ他 分析結果の解析→反応条件検 討 1 18 3-6 安全衛生対策を考慮した試作合成依頼システム 合 成 依 頼 者 改良要請 ← 合成サンプル 受渡確認書 合成データ 問題点の指摘 中間報告 試 作 合 成 チ ー ム 安 全 対 策 合 成 合 成 実 施 終 了 合 成 報 告 ● 就業前・後ミーティング ・当日のマニュアル検討会議 ・原材料確認 ・役割分担 等 ● トラブル発生時ミーティング 対依頼者との緊急対策会議 1 19 3-7 試作合成チームの意義 ① 問題点をフィードバックする。 (反応条件,温度,圧力,濃度) ② 取り扱い操作の危険性評価。 (操作ミスの影響;手順,計量、操作ミスなど) ③ 安全衛生に対する指導的役割を果たす。 (探索研究段階から企業化を想定した合成設計) ④ 事業部FSに耐えるデータ収集。 (FS第1ステージ立上げの基礎データ) 研究所 探索研 究 試作合成 事業所開発研究 研究所/事業所との間でキャッチボール しながら安全に企業化してきた。 1 20
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