球の体積 筑波大学大学院 教育研究科 小林 真人 球の体積について 中学校で学習したときは・・・ 半径をrとして 4 3 (球の体積)= r 3 紀元前300年ごろのギリシア人も 球の体積について考ていた。 ギリシア時代の数学 長さ・面積・体積などの 決められた単位はなかった。 長さ・面積・体積などの 決められた単位はなかった。 ユークリッド(紀元前300年ごろ) ムセイオン(高等教育施 設)の、最初の教師の一人 で、最高の教師の一人。 「原論」 ユークリッド原論 『原論』は全部で13巻から構成され, 467もの命題を含みギリシア古典期 の初歩的な数学的知識をすべて見いだ すことができる。 エウドクソス、テアイテトス、ピュタゴラス などの業績を、総合し体系化した著作 である。 では、ユークリッド原論の中から、 当時の考え方を探ってみよう。 どちらが大きい? ユークリッド原論では、どのように 考えていたか? 原論 Ⅰ巻-命題44 与えられた線分上に与えられた三角形に 等しい平行四辺形を与えられた直線角に 等しい角のなかにつくること ? Ⅰ巻-命題45 与えられた直線角のなかに与えられた直 線図形に等しい平行四辺形をつくること Ⅱ巻-命題14 与えられた直線図形に等しい正方形をつ くること ? 図形の大小は,図形そのも のによって直接比較するの が基本であった。 求めたいものを分かりやす いものに帰着させて考えよ うとした。 円に等しい正方形もつくれるかな? ⅩⅡ-2 無 理 ! ! でも、 円は互いに直径上の正方形に比例する。 当時の面積,体積の考え方を 見てみよう。 同じ高さをもち、多角形を底面とする角 錐・は互いに底面に比例する。 同じ高さの円錐および円柱はそれぞれ 互いに底面に比例する。 すべての角錐・円錐はそれと同じ底面、 等しい高さをもつ角柱・円柱のそれぞれ3 分の1である。 ギリシャ時代の考え 面積、体積を、あるものとの比を 利用して考えていた。 球に関する命題 ⅩⅡ-18 球は互いにそれぞれの直径の3乗の比を もつ。 アルキメデス (紀元前287頃~212 頃) シチリアのシラクサ で生まれた。 数学だけではなく、 天文学 、 流体力学 など、幅広い分野に 関心をもっていた。 では、どのようにして発見しよう としたのだろうか。 アルキメデスは、「静力学的な 方法」に基づく発見法により、 発見したといっている。 静力学的な方法とは・・・ 「 「釣り合い」と「重心」 アルキメデスは、次のように考えていたと、推測 釣り合いとは 「天秤のさおが,どのように回転した としても,水平面に平行になる時, さおの上で互いに均衡を保っている 二つの重さの状態のことである。」 重心とは 「ある量の重心でその量を支えると、 その量は釣り合う。」 アルキメデス 「平面板の平衡について」 命題6「通約できる二量は重量に反比例する 距離において釣り合う。」 これは・・・ 「A,Bが通約できる量であり、点A,Bが それらの重心であるとし、DEはある長さの 直線で、点Cにおいて分割されて、A:B= DC:CEになるとする。証明しなければな らないことは、AとBの結合された量の重心 がCであるということである。」
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