3.1.A (1)~(4) 4402040 土金礼次郎 1 (1)意味ネットワーク 機械翻訳や自然言語処理の分野 文や会話の意味内容をコンピュータが取り扱い やすいように表現しなおす 文や言葉が持つ意味のモデリング ‘知識表現’と呼ばれる 知識表現の一つにグラフを用いた意味ネットワークがある。 2 例文で説明する (ア)『彼女はユタカが芦毛の馬に乗るのを 見る』 を例文とすれば、 (イ)『馬の毛は芦毛』 (ウ)『ユタカは(イ)の馬に乗る』 (エ)『彼女は(ウ)を見る』 の基本的な3つの命題から構成される。 3 命題の分析 命題を「実体」,実体の「性質」,実体間の「関係」 の3つで表現する。 例文(ア)では 「実体」 ・・・ 「彼女」、「ユタカ」、「馬」 「性質」 ・・・ 「芦毛」 「関係」 ・・・ 「乗る」、「見る」 となっている。 4 図の書き方のポイント 関係はある行為の述部になっている。 性質も述部として取り扱う。 述部によって結合つけられる各実体を項という。 一つの命題が項になることもある。 実体・性質・関係をノードでノード間の結合関係 をアーク(リンク)で表現したグラフを意味ネット ワークと呼ぶ。 5 意味ネットワークの図式化 図3.1 意味ネットワークとリスト 6 (2)リスト 情報プログラミングは一般にデータ構造とアルゴ リズムとの両方を考慮して行われる。 データ構造とはプログラム上での処理対象の表 現形式を言う。 データ構造をコンピュータのメモリに記憶させる 形式を記憶構造という 7 データ構造の表示 モデルがグラフで表現される場合,その データ構造として関係表示行列などの配 列がある。 →しかし,配列は大きなグラフになると効率的でなくなる。 一つの属性とそれに対応付けられた属性値との組を フィールドと呼び、複数のフィールドが1次元的に並んだ データ構造を線形リストと呼ぶ。 8 リストの記憶構造① リストに対する記憶構造として,単位節を用いる 方法がある。 単位節は識別符,頭部,尾部の3つのフィールド からなる。 単位節の頭部にはレコードまたはその単位節に 接続する。ほかの単位節の格納アドレスを示す ポインタが入る。 識別符は頭部の情報がレコードであるかポイン タであるかを表す。 9 リストの記憶構造② 尾部には他の単位節へのポインタ,または空レコード が入る。 図1のリストの記憶構造を図2に示す。 図3.2 リストの記憶構造 10 (3)微分方程式モデル 微分方程式による対象の状態の記述は理学や 工学で馴染み深いモデルである。 対象の状態変化に関係する諸要素間の相互関 係が表現されている。 11 1自由度線形システム 1自由度線形システムの運動方程式は mX´´+cX´+kX=R(t) ・・・ (3.1) ただし,Xは運動の変位,X’はXの時間微分であ り,m,c,kは係数,Rは時間についてのみの関 数。 式(3,1)は励振力を受けるばね系の運動のモデ ルである。 12 n自由度への応用 式(3,1)でXとRをn次元ベクトルに,m,c,kは (n×n)行列に拡張する。 ベクトル・行列を用いて X´=AX+BR ・・・ (3.2) ここで,X=(X,X’)Tであり,A,B、Rはそれぞ れ行列,ベクトル,スカラーに相当する。 式(3.2)を線形システムの状態方程式と呼ぶ 13 状態方程式の一般化 式(3.2)を一般化すると X´=F(X,R) ・・・ (3.3) ただし,X´=(X1,・・・,Xn)T,F=[F1,・・・,F n]Tである。 式(3.2)(3.3)の形式で状態のモデリングができ るものを力学系と呼ぶ。ベクトル関数Fの要素に 非線形関数が含まれる場合は,非線形力学系と 呼ばれる 14 (4)ニューラルネットワークのモデル 脳は非常に多くの神経細胞(ニューロン)が結合 したもの。 非線形力学系の例として,神経回路網(ニューラ ルネットワーク)のモデルを示す。 15 ニューロンのモデル① 各ニューロンの状態は0から1までの実数値をと る。 時刻tでのi番目のニューロンの状態Vi(t)は次の 方程式 (3.5) Vi (t ) Φ[ Ui(t )] dUi n TijVj (t ) Ii dt j 1 (3.6) 16 ニューロンのモデル② J番目のニューロンよりの入力 TijVj Tij:j番目のニュー ロンからi番目の ニューロンへのシ ナプス荷重 入力の 総和 Ui 状態 Vi 自己バイアス 出力 Vi 図3.5 ニューロンとそのモデル Ii •Uiは他のニューロンよりの入力の総和,Iiは自己バイアスと呼ばれる信号。 •係数Tijはj番目のニューロンからi番目のニューロンへ伝達される信号にか かる重みで,シナプス荷重と呼ばれる。 17 ニューロンの入出力関数 ニューロンの入出力関数Φは,0から1までの値をとる単調増加関 数であり 1 Φ(U )= 1 e U (3.7) のようなシグモイド型の関数が用いられる。 Φ (U) 1 図3.6 ニューロンの入出力関数 0 U このように入力が大きくなるにつれてニューロンの状態は1に近づき, 入力が小さくなるにつれて状態は0に近づく 18 ニューラルネットワークの状態方程式 式(3.5),(3.6),(3.7)から次式が導き出される N dVi dVi dUi Vi (1 Vi )[ TijVj Ii] dt dUi dt j 1 (3.8) 各ニューロンiについて式(3.8)を連立させたものが,非線形力 学系としての各ニューラルネットワークの状態方程式となる 19
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