請求と情報フロー

請求と情報フロー
田宮治雄
請求
販
売
計
画
セ
|
ル
ス
活
動
受
注
出
荷
請
求
回
収
請求書の役割
• 法律的な債権は出荷により成立している
• 請求書は、顧客に債務の存在と支払時期
を確認してもらう手段
• わが国では、請求書を発行する慣行が広
く行き渡っており、請求書なしには支払手
続に入ることができない顧客も多い
請求方法
• 納品の都度請求を行なう方式
– 出荷時点で納品請求書(INVOICE)を発行
– 請求という独立した業務はない
• 一定期間の出荷分をまとめて請求する方式
– 請求期間を定めて請求書を作成する
• わが国ではまとめて請求書を発行する方式が
一般的
請求業務(1)
• 請求内容確認
• 締日までの納品実績を再確認する
– 締日 : 得意先と取り決めた請求対象期間の末日
– 慣習的にゴトウ日(末尾が5か0の日)が多い
• 前回請求を留保した取引について今回請求の
是非を判断する
• 今回請求を留保する取引の登録をする
– 「翌月回し」の取り扱い
翌月回しの例
本来の回収期間
支払遅延
実際の回収期間
5/20
6/15
5/18
5/21
実
際
の
出
荷
日
請
求
書
上
の
出
荷
日
本
来
の
締
日
本
来
の
支
払
日
6/20
7/15
遅
延
さ
れ
た
締
日
遅
延
さ
れ
た
支
払
日
請求業務(2)
• 請求書の発行
• 正式な支払の要請
– 誤りのない請求内容(請求漏れ、二重請求)
– 当方の主張は明確に表現する
• 内部牽制 目的
– 当該得意先担当の営業マン以外が請求業務を行な
うことが望ましい
請求業務(3)
• 未請求残高管理
– トラブルなどの理由で請求を留保したままの売掛金の
管理
• 未請求売掛金は回収期間が長くなる最大の原因
• 放っておくと回収不能になるおそれが強い
• 債権額が不明確になると、不正の温床になる
請求に対応する情報システム(1)
• 請求準備
• 請求予定リストの作成
– 請求を留保している取引をすべて含む
• 請求すべき取引の詳細検索
• 請求を留保する取引の登録
– 留保理由を文字情報として登録しておく
請求に対応する情報システム(2)
• 請求書の発行
• 請求書の自動発行/送付
• 請求一覧の作成
• EDIを利用した請求書の電子化が進む
– 得意先の照合業務の合理化に貢献する
請求に対応する情報システム(3)
• 未請求残高の一覧
– 例外管理:条件に該当する取引をもれなくリ
ストする
• 原因の把握と迅速な対応に役に立つ機能
– 受注、出荷業務中にその取引について入力
した文字情報の表示
– その取引の履歴の詳細な検索
回収と情報フロー
田宮治雄
回収
販
売
計
画
セ
|
ル
ス
活
動
受
注
出
荷
請
求
回
収
回収業務(1)
• 回収スケジュール管理
• 下記の入金予定について事前に入金の
見込みを確認しておく
–
–
–
–
既に支払期日を過ぎている請求額
得意先の検収が大きく遅れた請求額
支払方法が変更された請求額
過去に入金遅延がよく発生した得意先への請求額
回収業務(2)
• 回収
• 得意先の支払日にあらかじめ定められた方法
で回収する
• 手形もしくは小切手
– 得意先に出向いて回収する
• 銀行振込
– 銀行の入金通知に基き処理する
• 電子記録債権(電子手形)の利用が始まった
– 債権発生から回収までネットワークで管理される
回収業務(3)
• 売掛金の消し込み
– 回収額に基き当該得意先に対する売掛金を減額す
る業務
• (1)残高繰越方式
– 得意先に対する未回収残高の総額から差し引くだけ
で詳細を管理しない方式
• (2)個別消込方式
– 売掛金を出荷時の納品書を単位に管理し、入金額を
消し込む方式
売掛金の消し込み
(1)残高繰越方式
(1)残高繰越方式
売掛金残高
回収額
売掛金残高
回収額
(2)個別消込方式
(2)個別消込方式
回収額
売掛金残高
売掛金残高
回収額
no.1001
no.1004
no.1004
no.1006
no.1005
no.1006
回収業務(4)
• 未回収残高管理
• 下記請求について漏れなくチェックし、理由と回
収見通しを明らかにする
– 予定通り回収されなかった請求
– 入金額が請求額に満たなかった請求
• 督促するか否かを決定し、迅速に対応する
• 債権管理の質を左右する鍵となる
回収業務(5)
• 回収期間管理
– 出荷から回収までに要した期間の管理
• 売掛金は金利を生まないうえに貸し倒れの危険
にさらされているリスク資産
• 回収期間が伸びた分の資金手当が必要になる
• 売れればよいのではなく、売掛金の早期回収も
経営上重要な課題
回収期間管理の対象
手形回収
回収
出荷
出荷
本来の
(1)
回収期間
一般的な
(2)
回収期間
サービス業の
(3)
回収期間
請求
請求
手形受取
手形受取
満期回収
手形決済
回収業務(6)
• 会計処理
• (借)当座預金100 / (貸)売掛金100
• (借)受取手形100 / (貸)売掛金100
• 入金後迅速な処理が求められる
回収に対応する情報システム
(1)
• 回収スケジュール管理
– 回収スケジュールのリスト(日別)
• 回収見込みを確認すべき取引のハイライト
• 過去の対応や経過などについて文字情報を表
示
回収に対応する情報システム
(2)
• 回収通知の電子化
– ファームバンキング(企業と銀行の間のEDI)
• 当座預金に入金した場合には入金先を判断す
るために名寄せを行なう
– 名寄せ機能の自動化(入金先はカタカナ名のみ)
– 消込機能との一体化
• 電子記録債権(電子手形)に対応したシステム
が必要になっている
• 手形入金については入力が必要となる
回収に対応する情報システム(3)
• 入金遅れの管理/回収期間管理
– 例外報告
• 支払期限を過ぎた未回収売掛金を残らずリスト
する
• 回収期間が基準を超えた取引をリストする
• 経過日数に応じてランク分けすると効果的
• 個別消込方式を採用していることが必要
回収に対応する情報システム(4)
• 会計処理の自動化
• 入金を確認してから名寄せ・消込処理を終了す
るまでは貸方を仮受勘定で処理する場合もある