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観測的宇宙論ジャーナルクラブ 2006年5月22日
成田 憲保
1
Origin of the obliquities of the giant planets in
mutual interactions in the early Solar System
A. Brunini
Nature, vol.
440, pp. 1163,
(2006)
2
A Determination of the Spin-Orbit Alignment of
the Anomalously Dense Planet Orbiting HD
149026
A. Wolf et al.
ApJ, accepted
3
Detectability of Planetary Characteristics in
Disk-Averaged Spectra. I: The Earth Model
Vegetation signature in the observed globallyintegrated spectrum of Earth: Modeling the red4
edge strength using simultaneous cloud data
and application for extrasolar planets
Astrobiology,
G. Tinetti et al. vol. 6, No. 1,
pp. 34, (2006)
P. MontanesRodriguez, E.
Palle, P.
Goode
astroph/0604420
5
An extrasolar planetary system with three
Neptune-mass planets
C. Lovis et al.
Nature, vol.
441, pp. 305,
(2006)
6
A Transiting Planet of a Sun-like Star
P. McCullough
et al.
astroph/0605414
3つの海王星型惑星を持つ惑星系の発見
要点
• 800日にわたる超高精度の視線速度観測から、
3つの海王星型惑星(10~20地球質量)を持つ
惑星系が発見された
• その最も外側の惑星はハビタブルゾーン(親星
からの輻射により液体の水が存在・維持できる
領域)に存在していた
背景
• 南米チリのLa Silla天文台にあるHARPSという観
測装置では恒星の視線速度を1m/sの精度で測
定できる
• 最初の系外惑星発見者であるMayor博士らは、
この望遠鏡とフランス・OHPにある望遠鏡で多く
の恒星の視線速度をモニターし続けている
• 今回はその中で見つかったHD69830という惑星
系の報告
今回の結果
←800日に渡る精度~1m/sの視線速度サンプル
周期で折り畳んだ3つの惑星の視線速度曲線↓
今回の結果
それぞれの惑星のパラメータ
主星がやや軽いK型星(太陽光度の60%)であるため
0.63AUのこの位置はハビタブルゾーンにあたる
議論
それぞれの惑星の形成と組成について
• コアアクリーションモデルによる惑星形成のシミュ
レーションでこの配置を再現した
• 内側の2つは氷が凝結する距離(snow line)より
内側で生まれ、もうひとつの惑星は外側で生まれ、
現在の位置まで内側に移動してきた
• 外側の2つは地球質量の数倍のガスの大気を獲
得した
議論
この系は安定か?
• この系と同様に惑星を配置し、時間進化をシミュ
レーションした
• Inclination(→惑星の真の質量)を変えてもこの系
は安定であることがわかった
議論
この系はどんな環境か?
• もちろんこれはわからない
• しかし、ハビタブルゾーンにある惑星の発見は、
地球外生命探査への新しい一歩である