高齢者の褥瘡・皮膚潰瘍

特 集
高齢者の褥瘡・皮膚潰瘍
包括的な観点からみた
8
A 測定用プローブの貼付部位
6
褥瘡を有する高齢者のポジショニング
B プローブ貼付の実際
1
Ch.1: 6
Ch.2: 7
Ch.3: 8
Ch.4: 9
7
2
3
8
5
10
9
小枕法
2
1
4
C ずれ量の測定結果
(%)
3
3
Ch.1
Ch.2
Ch.3
Ch.4
2
1
5
ずれ量
6
4
ー1
ー2
小枕変法
3
6
0
1
仰臥位から左肩への小枕の移動
左肩へ小枕を挿入した後の左肩の状態
ー3
750
760
770
780
790
800
810
820
830
経過時間
図9
840
850
(秒)
小枕法によるずれの影響:ひずみ測定から
小枕を左肩に挿入すると,左肩付近の皮膚は左右方向に約 1%のずれ量が生じ,わずかに引っ張られていることがわかる。他の部位はほとんど皮膚の変形が認め
られない
5
図8
小枕を用いた体位変換(文献
4
2
を参考にして筆者作成)
2, 5)
小枕をマットレス(布団)の下に出し入れする方法。わずかな傾斜がつくことで,肺理学療法的効果と筋肉への緊張・弛緩を刺激し,褥瘡予防に効果
が期待できる
62 の利用で,身体の自然な動きを模倣して褥瘡を
や半側臥位などを積極的に計画できない場合,
つくる危険性を減少させる』 効果があるとい
このような小枕法も有効です。 小枕を入れ替
われています。 マットレスの下に小枕を挿入す
えする時間には,決まりがありません。 状態に
ることで,身体に直接圧迫部分を生じさせるこ
よっては 2 時間,もしくはそれ以上間隔を空け
ても褥瘡発生などへの影響がない場合には,看
3)
と,小枕の移動は『患者の身体かマットレスの
きる』とされ,
『身体が圧迫されると脳細胞に
とを回避できるばかりでなく,ずれ力も生じな
下に,小枕をテコ代わりに置いて褥瘡を予防で
信号が入り寝返りを打つのだ。「小枕の移動」
いことが確認できました(
2015/7 Vol.3 No.7
図9
)。 頭側挙上
護師の訪室の際などとします。
2015/7 Vol.3 No.7 63