セラミックス

セラミックス
第11回 7月1日(水)
セラミックスの物性③
2009年度 材料工学科 2年生 前期 専門必修科目
『セラミックス』単位認定 について
(- レポート課題提出と前期末試験について -)
1.「レポート課題」 について
①レポート課題提示:7月1日(水)講義時およびホームページに掲載
②レポート課題提出:7月22日(水)2限 講義終了時(斉藤記念館)
1)履修者は必ずレポートを提出すること
※上記期日に未提出の場合は、単位は認定しない
2)4月以降、出席を計4回取ったが、遅刻ならびに欠席
が多い学生は、『レポート課題』に全力を注ぐこと)
レポートは必ずA4サイズの用紙を使用すること。
PCによる作成または手書きの場合は黒色万年筆、黒色ボールペン(鉛筆書きは不可)。
表紙(任意)を必ず付け、最後に『参考文献』を必ず明記すること。
図,表の貼付け可。
2.前期・期末試験 について
前期末試験の日程:7月29日(水)(前期講義最終日)
実施場所:斉藤記念館
試験時間:10時50分~12時00分(70分間)
(※10時40分には必ず着席していること)
(・・・前期末試験の日程、実施場所、時間等については、
後日学生課が掲示)
◎シラバスの成績評価欄に記載通り、レポート40%、
期末試験60%で成績を付け、これに出席点を加算し、
単位を認定する。
材料工学科 2年生 前期 水曜2限 必修科目「セラミックス」
2009年度 レポート課題
[課題1] 「セラミックス材料」に関する 下記(1)~(8)の8つの基礎的事項中、
4つを選択し詳細に説明せよ。
(1) クラシックセラミックス(窯業製品)とニューセラミックス材料の比較
(含、両者の定義、応用例など)
(2) ニューセラミックス材料の現状および今後の発展が期待される代表的分野・用途,
応用例(各4つずつ)
(3) ①『単結晶』と『多結晶』の定義・相違点、
②セラミックス多結晶体の一般的微細構造(図を用いて説明)
(4) ①単結晶体の代表的製造法:CZ法、
②半導体Siの二種類の機構(p型およびn型Si,図を用いて説明)
(5) 『材料の性質』を規定する3種類の化学結合(①金属、②イオン、③共有結合)の
定義・特徴および比較
(6) ①金属材料の諸性質と自由電子の関係、
②イオン結晶の熱伝導機構、③共有結合が示す安定スピン結合
(7) 『元素の分類:3種類』を記し、
『非金属無機固体材料:セラミックス材料の学術的名称』の定義・物質名
(8) 『ニューセラミックス材料の6種類の代表的機能』と
各機能に属する具体的機能および対応代表材料の関係
[課題2] 『酸化物系セラミックス』と『非酸化物セラミックス』について、
それぞれ代表材料を3種類づつ記し、各材料が示す
①特徴、②代表的機能、③用途・応用例について説明せよ。
[課題3] 『セラミックスの製造法』に関連する、下記(1)~(3)の3つの基礎事項中、
1つを選択し説明せよ。
(1) ①焼結法の定義、②焼成状態による分類、③焼結体の緻密化機構
(『固相拡散・界面拡散』の定義を記し、図を用いて説明)
(2) ①多結晶焼結体の一般的製造法(3種類)、
②セラミックスの特殊製造法(2種類)、③薄膜製造法(1つ)
(3) 人工原料粉末の①特徴(純度、形状、粒子径等)、
②製造法(『沈殿法』以外の手法1つを調べて記すこと)および
③『ニューセラミックス材料(セラミックス多結晶焼結体)の製造工程』
[課題4] 『セラミックスの材料物性』に関連する下記(1)~(5)の5つの基礎事項中、
2つを選択し説明せよ。
(1) 『セラミックス材料の熱的問題点』となる、『熱衝撃による脆性破壊現象』について、
①「熱衝撃」の定義,②「熱応力」の定義および式を記し
(※式中の各パラメータが有する意味も記すこと)、図を用いて説明せよ
(2) ①金属材料とセラミックス材料の室温における破壊機構の相違点
(『応力-ひずみ曲線』)、②『破壊靭性』の定義」および③構造特性(強度等)と諸因子
(温度、気孔率、純度、粒子径、微細構造、製造法等)の関係
(3) 『ニューセラミックスの電気・電子的機能』となる
①サーミスタ特性(定義・特徴、代表的用途・材料)、
②誘電体特性(誘電体,誘電率の定義、誘電分極、代表材料)、
③固体電解質(酸素イオン伝導機構とは何か)
(4) 実用磁性材料の中で最も重要となる、『強磁性体』の①磁化過程、
②3つの分類と用途・応用例を示し、代表的な鉄系酸化物強磁性材料の
基本となる『フェライト』の③一般式と用途・応用例・代表材料を記せ
(5) 情報・通信技術(IT産業)の基盤材料となる『光ファイバー(単結晶SiO2)』について、
①「光ファイバーの特徴」、②「光ファイバーの製造法」、
③「光信号伝播機構(内部構造を図示し説明)」
[課題5] 下記3つの事項は『セラミックス材料』は勿論、全ての物質(金属,無機,半導体,
有機材料など)に共通す『21世紀の新たな物質創製科学研究と今後の展開』に
密接に関連した主要かつ重要課題となる。
そこで、下記事項に興味があり、余力がある方は(1)~(3)中、
1つを選択し簡潔に説明せよ。
(1) 『ナノテクノロジー・材料』は、1.ライフサイエンス(生命科学)、2.IT(情報・通信技術)、
3.環境(エコロジー)と共に日本政府が2002年に制定した『21世紀の科学技術の
重点4分野』として今後の発展が大きく期待されている。そこで、『ナノテクノロジー』の
①定義、②代表物質およびセラミックス材料の今後の飛躍的発展と展開に関連する
③『ナノガラス』④『ナノセラミックス』について調べ、説明せよ。
(2) 全ての物質生成を支配する『核生成』は、結晶成長の前駆段階として
『物質創製科学研究』は勿論、宇宙・無重力環境を利用した『材料科学研究』としても
今後の飛躍的展開と理論の構築が必須となる。そこで、上記現象に密接に関連した
①無容器プロセス、②核生成、④過冷却、⑤宇宙環境を利用した材料科学研究に対する
無重力環境の利点・特徴について調べ、説明せよ。
(3) 『セラミックス材料』は次世代輸送機関となる自動車用構造材料、
宇宙・航空機用構造材料は勿論、原子力工学関連材料に代表される
次世代エネルギー材料および生命科学用材料として今後の発展が期待されている。
そこで、[課題1](2)とも関連するが、上記21世紀に各新領域分野における
ニューセラミックス材料の ①今後の飛躍的展開、②期待される用途・応用面、
③主要対象材料 等について調べ、説明せよ。
ナノテクノロジー
Nanotechnology
1.ナノテクノロジーの概要
1 nm = 1/10 億 m = 1/100万 mm ( = 10-9m )
1μm(10-6 m)
100 nm(10-7 m) LSIの最小素子寸法
ナノ領域
10 nm(10-8 m) ウィルス、カーボンナノチューブ
1 nm(10-9 m) タンパク質分子、DNA二重らせんの径
1Å(オングストローム,=10-10 m) 水素原子の直径
カーボンナノチューブ
・・・0.5~10 nmの直径と1μm程度の長さの円筒構造を有する炭素の結晶
(→ 1991年、NECシステムデバイス基礎研究本部 飯島澄男 主席研究員によって発見)
【特徴】
①立体構造の違いにより、半導体/金属の両方の性質をとる
→『究極の集積度を有する新たな半導体の創製』
②高い(金属をはるかに超える)電気伝導特性
③巨大磁気抵抗
④水素吸着特性→『水素燃料エンジン、燃料電池』など
『ナノ・テクノロジー』の21世紀における応用分野
①IT,②医療・バイオ,③環境・エネルギー
◎『新材料の創製(ex.ナノ結晶・ナノ粒子、ナノ粒子分散・析出・複合)』
2.日本政府における科学技術の重点4分野
(2002年度に発表)
1. ライフサイエンス(生命科学)
2. IT(Information Technology:情報・通信技術)
3. 環境
4. ナノテクノロジー・材料
(1)次世代情報通信システム用 ナノデバイス・材料
(2)基礎技術:ナノレベルでの計測・評価・加工など
(3)革新的な物性・機能を有する物質(材料)開発
※ 日本政府のナノテクノロジー分野に対する研究費
:558億円(2001年度)
9.代表的なナノ物質およびナノ材料
1. カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube)
2. フラーレン(Fullerenes)
3. ナノ粒子(Nanoparticles)
4. ナノ高分子(Nanopolymers)
5. デンドリマー(Dendrimers)・・・規則正しく枝分かれした樹脂状高分子化合物
6. ナノクリスタル(Nanocrystals)
→分子量の制御だけでなく、
7. ナノ結晶シリコン(Silicon Nanocrystals)
分枝のサイズや形状も予想で
8. ナノメタル(Nanometals)
きる規則正しい枝分かれ構造
9. ナノ結晶合金(Nanocrystalline Alloys)
を有する
1)
10. ナノセラミックス(Nanoceramics)
「単分散樹枝状高分子」
11. ナノダイヤモンド(Nanodiamonds)
12. ナノクラスター(Nanoclusters)
13. ナノコンポジット(Nanocomposites)
14. ナノポーラス材料(NanoporousMaterials)
15. ナノワイヤ(Nanowires)
16. ナノゼオライト(Nanozeolites)
17. ナノ触媒(Nanocatalysts)
18. 自己組織化材料(Self-Assembled Materials)
19. メゾスコピック材料(Mesoscopic Materials)
20. ナノ空間(Nanospaces)
21. ナノガラス(Nanoglasses)2)
物質創製科学
現状の材料のプロセスと既存核生成機構
○ 材料(物質)の製造(現状の材料プロセス)
(ex. 金属合金,半導体,無機,有機(含 医薬品)材料)
結晶成長(Crystal Growth)
気相プロセス(ex. 半導体,薄膜材料など)
液相プロセス(ex. 単結晶材料のMelt Growth)
固相プロセス(ex. メカニカルアロイング,粉末焼結)
核生成(Nucleation)
※ 全ての材料の結晶成長の前駆段階としての
統一的現象および理論
(固相法の場合は,界面 growth が支配)
既存・核生成理論(核生成機構)
1. 均一核生成(Homogeneous Necleation)
・・・理想状態下で生じる本来の核生成現象
2. 不均一核生成(Heterogeneous Necleation)
・・・通常の材料製造・作製時における核生成現象
(ex. 基板上への薄膜作製,液相からの結晶作製(←溶融・凝固)
※ 核生成理論の推移
1926年:Volmer, Weber (Z. Phys. Chem, 119 (1926) 277.
1950年:D. Turnbull (J. Chem. Phys., 18 (1950)198.
既存「核生成理論」(Nucleation Theory)
均一核生成,不均一核生成ともに;
安定(平衡)結晶の成長のみを仮定した統一的理論
21世紀の材料科学(物質科学:Materials Science)
における新たな展開
1. 従来の安定平衡物質(製造,材料物性)の延長でよいか?
2. 既存概念にない新たな構造と物性を発現する.
⇒ 新物質創製(≡非平衡相,非平衡物質)の探索
既存核生成理論に変わる
新たな『非平衡相の核生成理論』構築の必要性
材料科学研究に対する宇宙環境の利点・特徴
無対流
熱による対流が起きない
ため、物質のわずかな荷
電状態を利用した分離・
精製などが効率的に行え
ます。また、結晶成長で
も拡散特性のみによる良
質な結晶ができ、エレクト
ロニクスや医療品、バイ
オテクノロジーなどの分
野で応用が期待されます。
無浮力・無沈降
軽いものや重いものを均一
に混合することができ、軽く
て強い耐熱合金や複合材
料などの新材料などをつく
ることができます。
熱対流が起きないので、
効率的な分離・精製が
可能になる。
重い物質と軽い物質が
均一に混合する。
・電気泳動分離の向上
・拡散支配による良質な
結晶成長
・比重差を無視した
均一混合状態の形成
無静圧
無接触・浮遊
試料の自重によるひずみ
無容器プロセス
や電子配列の乱れが生
じないため、欠陥のない 超音波や電磁波・静電気を利
優れた大型結晶がつくれ、 用して、物体を空間に保持し
画期的な半導体やセンサ たまま溶解や凝固を行うこと
で容器との接触による不純
材料などの製造が可能
物の混入を防ぐことができ、
になります。
光学用の超高純度ガラスを
作ることができます。
格子欠陥のない単結
晶製造。
・欠陥のない単結晶作製
(材料の変形、歪みがない)
空間に浮いて真球となる。
・材料の浮遊現象に起因
した非接触溶解及び凝固
永山研究室の概要と研究紹介
-浮遊実験と宇宙環境を利用した材料科学研究の意義-
国際宇宙ステーション(ISS)
日本実験モジュール「きぼう」
電気・電子・磁気的特性
(1)サ-ミスタ(thermistor)*)[:図4.7参照]特性
[定義]:温度により材料の電気抵抗値が変化する性質
(温度調整、測定用の温度センサー用素子)
①CTRサ-ミスタ(critical temperature controler):臨界温度サ-ミスタ
②NTCサ-ミスタ(negative temperature controler)
③PTCサ-ミスタ(positive temperature control thermistor)
*) thermistor
(:thermally sensitive resistor)
電気抵抗の特異な温度依存性を利用して、
材料の電気抵抗を測定することにより温度
を検出するセンサー素子
図4.7 3種類の代表的サ-ミスタ
の電気抵抗の温度依存性
①CTRサ-ミスタ:結晶の構造変化が生じる相転移点で抵抗が急激に低下する材料
V2O5:80℃以下(単斜晶系)では抵抗が負の温度係数を持った半導体
80℃以上(ルチル構造:正方晶系)では電気伝導度が2ケタ以上増加
(抵抗が急激に減少)し、金属的挙動[温度の増加につれ抵抗は増加する
・・・抵抗:正の温度係数]を示す
応用:温度スイッチなどの各種センサ材料
②NTCサ-ミスタ:抵抗が温度上昇に伴って単調(指数関数的)に減少する材料
(CTRサ-ミスタとは異なり、相転移には無関係)
不純物注入型遷移金属酸化物(Fe2O3-Ti系,NiO-Li系),
ZrO2-Y2O3系,SiCなど
応用:ダイオ-ド,ヒュ-ズ,各種温度スイッチ類など
③PTCサ-ミスタ:相転移点で抵抗が急激に上昇する材料(NTCサ-ミスタとは
異なって、抵抗は温度上昇に伴って増加し、かつCTRサ-ミスタ同様,
結晶の相変化に起因する)
・・・正方晶-立方晶変態に伴う抵抗変化
応用:電圧異常と回路の短絡保護材料・・・大電流が流れると、サ-ミスタの温度
が上昇し,抵抗値が増加し電流量を低下させる
サーミスタ(Thermistor, Thermally sensitive
resistor)の種類
(1)NTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient)
:温度が上昇すると抵抗値が連続的に減少する
(2)PTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient)
:温度が上昇すると特定の温度以上で抵抗値が
急激に増加するサーミスタ
(3)CTRサーミスタ(Critical Temperature Thermistor)
:温度が上昇すると抵抗値が急激に減少する
※NTCサーミスタ(温度制御用センター素子として多用)の
温度と抵抗値の関係式
1 1
B(  )
T T0
R  R0 exp
R:温度Tにおける抵抗値
T:温度(K)
R0:基準温度T0における抵抗値
T0:基準温度(K) (一般に25℃(=298K)を使用)
B:定数
[身近な用途] 電子体温計、冷蔵庫、冷凍庫、エアコンの制御用温度センサー
(その他:OA機器、カーエアコン、自動車エンジン用温度計(センサー)
(2)バリスタ(variable resister)特性
[定義]:電流-電圧特性が非直線的なセラミックス半導体材料
※V=IRに従わない
(電圧が増加すると抵抗が急減し、非オ-ム則を示す材料)
[:図4.8,図4.9参照]
・・・低電圧ではバリスタは温度依存性が小
さいが、ある臨界降伏電圧VBで突然
抵抗値が消失し電流が急激に増加する
図4.8 ZnOバリスタの
典型的なI-V特性
(電流はVBで急速に増加)
図4.9 ZnOとSiCのバリスタ特性
用途:①整流器で発生する異常電圧から、回路素子を保護
②落雷,高電圧の流入による電気回路の破壊防止用
(3)誘電体特性[:図4.10参照]
:絶縁体と同等な挙動をとるが、電界を印加した場合に定常電流は流れないが、
電荷を蓄積できる特性(コンデンサー特性)を有する材料[:図4.11,図4.12参照]
①常誘電体:誘電率の低い物質[:BaTiO3の高温相(立方晶型)]
②強誘電体:外部電界によって双極子モ-メントが整列することによって自発分極が
発生し、かつ自発分極の方向が変化できる物質
[:BaTiO3の低温相(正方晶型)]
③反強誘電体:自発的な双極子の配列が結晶内で平行になるよりも、反平行になる方が
安定な物質[:ジルコン酸鉛(PbZrO3)]
図4.10 電界を印加した時の誘電体の分極モデル
A
C    F 
t
 :誘電率
A:電極面積
t :電極間距離(誘電体の厚さ)
図4.11 BaTiO3の結晶構造
図4.12 BaTiO3の誘電率の
温度依存性(εa:a軸方向の誘電率,
εc:c軸方向の誘電率)
補足: BaTiO3,SrTiO3セラミックス
高誘電率材料,強誘電体材料の代表・・・小型大容量のセラミックスコンデンサの開発
[:図1,図2,表1参照]
図1 BaTiO3,SrTiO3セラミックス材料の応用分野
図2 BaTiO3セラミックスの比誘電率ε/ε0と誘電損失tanδ
の温度特性
・・・コンデンサの静電容量C : C=ε・A/t[F]
εs:比誘電率(εs=ε/ε0,ε:誘電率)
ε0:真空中の誘電率(8.854×10-12[F/m])
A:電極面積[m2],
t:セラミックス素子の厚さ[m]
比誘電率が大きいほど、同一形状での大容量のコンデンサとなる
(→同一容量のコンデンサを小型化できる)
表1 アルミナ,ジルコニア,チタニア(TiO2)とBaTiO3,
SrTiO3セラミックスの結晶構造
(4) PZTセラミックス
Pb(Zr,Ti)O3セラミックス[:図4.13参照]
・・・圧電性セラミックスの代表的材料
基本機能(・・・電気-機械変換素子)[:図4.14,表4.4参照]
:①圧力→電気
②電気→振動・変位
③電気→振動→電気
図4.13 Pb(Zr,Ti)O3セラミックス
[:PZT]の応用例
図4.14 圧電セラミックスの3種類の基本的機能
表4.4 PZTとBaTiO3セラミックスの圧電特性の比較
B aTiO 3
材 質
P ZT
P ZT
材 料 名
M T-107*
67
71
2000
M T-18*
55
65
1400
1900
-213
-104
-79
450
300
191
g31
-12.7
-8.4
-4.7
g33
25
24
11.4
ヤング率
Y 11E
6.3
8.1
9.3
[1010N /m 2]
機械的品質係数
キュリー点
密 度
Y 33E
電気機械結合係数
圧
電
定
数
k p[%]
k t[%]
比誘電率 ε33T/ε0
d31
-12
[10 m /V ]
d33
-3
[10 V m /N ]
Qm
[℃]
[g/cm 3]
主 な 特 徴
主 な 用 途
35.4
4.7
6.3
9.2
100
1000
430
354
300
120
7.7
7.6
5.7
高い圧電特性 高い圧電特性
低いQ m
高いQ m
ソフトな材料
ハードな材料
ガス点火器
超音波振動子 魚探用振動子
表4.5 代表的な鉄酸化物系化合物
物 質
結晶系
系 性
色 相
α-Fe2O 3
γ-Fe2O 3
α-FeO O H
(α-Fe2O 3・
H 2O )
Fe3O 4 Fe(Fe2O4)
M nFe2O 4
C oFe2O 4
N iFe2O 4
ZnFe2O 4
六方晶
立方晶
直方晶
非磁性
強磁性
非磁性
赤褐色
茶 色
黄 色
X線密度
[g/cm 3]
5.29
5.07
4.28
立方晶
立方晶
立方晶
立方晶
立方晶
強磁性
強磁性
強磁性
強磁性
非磁性
黒 色
黒 色
黒 色
黒 色
赤褐色
5.24
5.00
5.29
5.38
5.33
六方晶
六方晶
強磁性
強磁性
黒 色
黒 色
5.28
5.15
特性良好
(永久磁石)
B aFe12O 19
SrFe12O 19
BaO・6Fe2O3
SrO・6Fe2O3
鉱物名
備 考
Hα-Hematite
eam atite
Mγ-Hematite
aghem ite
G oethite
赤鉄鉱,ベンガラ
ガンマ
針鉄鉱,黄鉄
M agnetite
(Jacobisite)
磁鉄鉱,黒鉄
磁鉄鉱,鉄黒
マンガンフェライト
コバルトフェライト
ニッケルフェライト
亜鉛フェライト,タン
(顔料)
バリウムフェライト
ストロンチウムフェライト
(Trevorite)
(Flanklinite)
フェライトの一般式:M・Fe2O4・・・M:2価の金属イオン
(M = Mn, Ni, Zn, Ba, Sr,・・・)
**酸化鉄、(磁性体酸化鉄)・・・Fe3O4:マグネタイト
「主な用途」: ①ビデオテープ用磁性体
磁気記録用磁性体粉末
②音声録音(カセットテープ)用磁性体
③モータ回転用マグネット(ex.PC用ハードディスクドライブモーター)
④スピーカー用マグネット
現在:CD,MO,MD(光磁気記録用メディア材料
(※ ビデオテープ、フロッピーディスクは全てγ-Fe2O3粉末を使用)
【磁性の基礎】
(1)磁性の分類[:表3参照]
:原子固有の不対電子*)のスピン(電子の自転)による磁気モ-メントの配列の
仕方で、磁性は分類される
*)不対電子を有する原子・・・遷移金属[:表4参照]
↓
『磁性現象を示す原子』
①常磁性 :不対電子による磁気モ-メントがバラバラの方向をとるもの
②反強磁性 :2つの磁気モ-メントが、完全に正・負を打消すように配列
③フェリ磁性:反強磁性と同じ配列をするが、2つの磁気モ-メント間に大きさの
差があり、ある方向に強い磁性を示す
④強磁性 :全ての磁気モ-メントが外部磁場によって完全に1つの方向に揃い、
強い磁性を示す(→“実用的な磁性”)
表3
磁性の分類
常磁性
強磁性
常磁性
反強磁性
フェリ磁性
負(磁場よりは 磁場にかられる 常磁性の一種 常磁性の一種 強く磁場にひ
特
強磁性に似る きつけられる
じき出される) 温度係数負
性
温度係数負
温度変化なし
物質のもつ電子不対電子のもつ 磁気モーメント 磁気モーメント 物質の中に磁
の軌道運動の 磁気モーメント が相互に打ち消 が反平行に配向気モーメントを
外部磁場による の磁場による配 し合う形で配向 しているがその そろえた磁区が
起
歳差運動
向および自由電 している
モーメントに差 あり、それが磁
因
子の磁気モーメ
があり強い常磁 場で一方向に
ントの配向
性を示す
配向する
(Pauli 常磁性)
分類
モ
デ
ル
反磁性
(2)強磁性体の特徴
:外部磁場に対し、特有の磁化挙動を呈する
↓
“磁化曲線=ヒステリシス曲線”[:図5参照]
・・・強磁性体の単位体積当りの磁化の大きさMの外部磁場Hによる変化を示す
磁化M:原子の孤立電子(不対電子)によって発生する磁気モ-メントの総和
(結晶を構成する不対電子を有する全原子の和)
磁場H:外部より印加する磁場
◎強磁性体の磁化過程
①:最初の状態(H=0,M=0)
②:初磁化過程
(χr:磁化率,MS:飽和磁化)
③:外部磁場を取りさった状態
(Mr:残留磁化(H=0))
④:-HCの磁場でで強磁性体の磁化
は完全にゼロになる(Hc:保磁
力)
⑤:②とは反対方向に飽和磁化した状
態
⑥:③とは反対方向に生じた残留磁化
⑦:④とは反対方向のHc
⑧:②と同一方向への飽和磁化状態
図5 ヒステリシス曲線(M-H曲線) [・・・ヒステリシス曲線は閉じる]
注)χr:強磁性体に磁場を印加した時の最初の傾き[・・・磁化率χr=M/H]
MS:強磁性体内の全ての磁気モ-メントが印加磁場(外部磁場)方向に配列し
た時に生じる磁化[・・・飽和磁化]
Mr:飽和磁化状態にある強磁性体に逆方向の磁場を印加し、H=0で強磁性中
に残存する磁化[・・・残留磁化]
Hc:強磁性体中に残存したMrを消すために必要な過剰な磁場
(2)磁性材料(強磁性体材料)の実用的分類[:図6参照]
①軟磁性材料(ソフト磁性材料)
・・・保磁力Hcが小さく、磁化率χrが大きい(:M/Hが大きい)材料
ex.磁気ヘッド,トランス用磁芯材料
②硬磁性材料(ハ-ド磁性材料)
・・・保磁力Hcが大きく、かつ飽和磁化MS,残留磁化Mrが共に大きい材料
ex.永久磁石材料
③半硬磁性材料(セミ・ハ-ド磁性材料)
・・・①と②の中間的性質を示す磁性材料
ex.磁気記録用材料:磁気テ-プ材料,磁気ディスク材料,垂直磁気
記録材料,光磁気記録材料
B:磁束密度[単位:Gauss]
(強磁性体中の磁化の大きさMと
外部磁場Hの両者を合せた物理量)
図6 磁性材料とB-Hヒステリシス曲線
①磁芯材料,②永久磁石材料,③磁気記録材料