PowerPoint プレゼンテーション

2009.2.26
岡山県手をつなぐ育成会
第32回平成20年度行動障害療育研修会
発達障害のある人たちへの
理解と支援
おかやま発達障害者支援センター
土岐 淑子
発達障害をもつ子ども
発達障害って何?
脳機能の障害であって、通常、低年齢で発現するもの。
見ただけでは周囲にその困難さがわかりにくい。
理解と支援が得られにくい。
知的な遅れを合併しない場合は、発見が遅れ、適切な
対応の遅れが不適応に繋がり、それをきっかけに専門
機関を利用し診断に至る場合もある。
理解が不十分なまま、名前が一人歩き?
子どもの発達上の問題
行動に関すること
社会性とコミュニケーションに関すること
学習に関すること
運動に関すること
知的能力に関すること
発達障害の診断のある
子ども
診断はないが気になる
子ども
発達障害者支援法による定義
(DSMを参考に図式化)
広汎性発達障害
自閉症
アスペルガー症候群
高機能自閉症
注意欠陥
多動性障害
(ADHD)
学習障害(LD)
広汎性障害と注意欠陥多動性障害では知的障害を合併することがある。
かさなる部分がある。
法律に基づく発達障害の定義
脳性麻痺(CP)
身体障害者福祉法
知的障害(MR)
知的障害者福祉法
広汎性発達障害(PDD)
学習障害(LD)
注意欠陥多動性障害(ADHD)
発達障害者支援法
広汎性発達障害は、自閉症を中心とした
自閉症の特徴のある状態の総称
全体像 (2008 宮本)
重
い
従来の自閉症
対人関係の障害
知
的
発
達
の
障
害
な
し
高機能自閉症
重い
アスペルガー障害
話ことばの発達の障害
なし
広汎性発達障害の基本症状
・社会性の発達の障害(社会的対人関係)
対人感情(共感や同情、尊敬)を交えた関わり
・コミュニケーション行動の障害
ことば、ジェスチャー、表情、視線
・関心・行動の融通性,想像力の障害
こだわり、偏った興味 変化への抵抗
その他の個人差があり、配慮が必要となる特性
・感覚異常
睡眠障害・覚醒亢進
・能力のアンバランスさ
・運動・動作の不器用さ
・並存障害:MR ADHD、LD
自閉症の子ども
わかりやすい:目にみえること、構造が単純なこと
いつも同じこと
わかりにくい:聞きことば、人間関係、他人の考え
場の状況
2008 清水
期待されることがわからないと自己判断で動く
何をしたらいいか、どこへ行けばいいかなど、
園生活で暗黙に了解されていることがわからない
自閉症の特性
1.視覚に強い(視覚的な手がかりで伝えることが有効)
2.シングルフォーカス(2つ以上のことを同時にできない)
3.時間や空間の組織化が難しい(だんどり、優先順位
が決められない→スケジュールや手順表が有効)
4.感覚刺激への対応が困難(過敏性への保護が必要)
5.想像力の問題(イメージする力・思い巡らす力が乏しい)
心の理論の発達
自分と同じように人にもまた別の心の動き
があることを知っていること。
(他者の視点に立てること)
「心の理論」
自分と同じように人にもまた別の心の動きがあることを知っていること。
(他者の視点に立てること)
本人たちが困っていること
・言われただけではわかりにくい
・わからないことがわからない
・2つことが同時にできない
・どうすればいいか、やりかたがわからない
・なにを先にするのか、段取りができない
・順をおった説明ができない
・こだわりからくる止められなさ
・自分ではブレーキがかけられない
・音や匂いや見たものにとらわれてしまう
・相手の考えを察することが難しい
・ともだちが考えていることが??
○
知的に遅れのない発達障害のこども
こどもがもつ困難性に気づきにくい
(努力不足・しつけ・わがままという誤解)
↓
子ども自身の過剰適応
周囲の非難・否定的評価
↓
周囲の期待に応えられない自分
社会的状況でうまくふるまえない自分
↓
ストレス!
自尊感情の傷つき
↓
二次障害
予後の良い人に学ぶ
○
■ 診断の時期が早く、時間をかけて本人、家族の
障害理解がすすんできた人
■ 安定した相談関係をもっている人
(早期からの継続的なサポートがあった
人)
■ 大集団で不適応がなかった人
(集団が嫌悪刺激になっていない)
■ 自分必要な配慮が具体的に表現できる人
■ 家族、兄弟関係が良好な人
(対人関係の失敗の補完)
■ 学校時代に得意科目、決め球があった
■ 無理のない進学先の選択があった
見通しをもつための工夫
― 構造化 ―
いつ どこで
なにを
どのように (順番・やり方)
どれくらいするのか(量・時間)
どうなったら終わりか(終了概念)
終わったら何があるのか(次の見通し)
構造化することによって
・期待されていること、 しなければならないことが
わかる
・やり方、手順がわかる
・終わり、出来上がりがわかる
↓
見通しをもって取り組める、安心して取り組める、う
まくやれる、自立的に取り組めることが自信・プライド
に繋がる。
構造化はパーソナルなもので、本人の認知のレベル
に沿ったものでないと役に立たない。
○
対応の際にはずせないこと
・本人にとってわかりやすい環境(安心)
・視覚支援(わかる)
・ほめられること (うまくいっている)
・モデル(どうすればいいか)を示しとOKサインを
こまめに出すこと
・人や集団が嫌悪刺激にならないこと (よい経験)
○
コミュニケーションへの配慮
・「だめ」ではなく、してほしいことをセットで
・おだやかで、かつ疑いようのない直接的な表現
・どう伝えたかではなく、相手がどう聞いたか
・<わかるはず>から<わからないかもしれない>
から、関わりをはじめること
好ましい対応
安心できる雰囲気
わかりやすい伝達
視覚的に伝える工夫
主語と目的語、キーワードを意識的に使う
穏やかな言い方
相手を不安にさせる対応
大きな声、音、過剰なスキンシップ
ことばだけの説明、やりとり
否定的なことばかけ
突然の予定変更
終わりがわからない活動
難しい人に共通する幼児期のエピソード
・育児上、困難な睡眠の問題がある。
・IQの伸びが見られない。
・マイペース
・こだわり、多動、衝動、自傷、他傷等が複数重なって
みられたこと。
・物(玩具)を使った遊びがなかったこと。
・やり取りが成立せず、「泣き」が強くおさまらない、
周りの働きかけで気分を変えることができない。
・場面に合わず、笑ったり、はしゃいだりする。
・再会反応が希薄でありながら、母への後追いが強い。
・表出語があってもコミュニケーションに使われない。
・知覚過敏が認められた。(聴覚、触覚)
混乱させない、ていねいな取り組みが必要です
行動問題の変化(全体:105人)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
泣き
P<.05
興奮
P<.05
かんしゃく
P<.05
多動
P<.01
衝動
過敏
こだわり
他傷
自傷
あり
軽減
なし
(中島・土岐)
子どもの育ちを支えるために必要なこと
■発達促進の視点
のばす
了解可能な環境の中で
「わかる・できる」を積み重ねる
(自立の視点)
■行動障害の予防の視点
混乱させない
構造化された環境の整備
いただいた質問から…