Supersymmetry, strings and blackholes

Supersymmetry, strings and
blackholes
西村
淳
(KEK)
KEK大型シミュレーション研究シンポジウム
「KEK大型シミュレーション研究の5年間と今後」
2011年1月31日、KEK小林ホールにて
目次
1.素粒子の標準模型を超えて
超対称性、力の統一、超弦理論
2.超弦理論の数値シミュレーション
ブラックホールの内部構造の解明
3.今後の展望
宇宙の起源に迫れるか?
4.まとめ
超対称性、力の統一、超弦理論
素粒子の標準模型の成功と課題
ヒッグス粒子の正体は何か?
重力をどう扱うのか?
高エネルギー加速器実験からの示唆

細かいスケールを見るには、
高いエネルギーが必要。
相互作用の強さ
強
弱
超対称性を示唆
点粒子による記述では破綻
力の統一を示唆
電
重
エネルギー
超対称性(Supersymmetry)
• 時空の対称性(並進、回転)の自然な拡張
• ボゾンとフェルミオンを入れ替えるような変換
電弱相互作用のスケール(数百GeV)
とプランクスケール(1019GeV)の間
のギャップを安定化
LHCで新しい粒子(スーパー・パートナー)は見つかるか?
超対称性の破れのメカニズムを理解できるか?
力の統一に対する理論的アプローチ
• 大統一理論
電弱相互作用
強い相互作用
ゲージ対称性
SU(2)×U(1)
SU(3)
SU(5)など
陽子をπ中間子と陽電子に変えるような
ゲージ相互作用が現れる
陽子崩壊を予言
(cf. カミオカンデ)
• 超弦理論
点粒子描像を捨てることにより力を統一
自然に重力を含む「究極の統一理論」
超弦理論の基本的な考え方
電
光子
弱
強
グルオン
重
グラビトン
• 弦の振動の仕方で様々な粒子を表す
• 点粒子ではなく、広がりを持った弦
力の統一
量子重力理論の困難を克服
ブラックホールの内部構造の解明
Ref.) Hanada-J.N.-Takeuchi,
Anagnostopoulos-Hanada- J.N.-Takeuchi,
Hanada-Miwa-J.N.-Takeuchi,
Hanada-Hyakutake-J.N.-Takeuchi,
Hanada-J.N.-Sekino-Yoneya,
PRL 99 (’07) 161602
PRL 100 (’08) 021601
PRL 102 (’09) 181602
PRL 102 (’09) 191602
PRL 104 (’10) 151601
ブラックホールの``熱力学’’
• ホーキング輻射(1974年)
何もない真空中でも・・・
?
?
対生成
温度を持った‘物体’に見える
対消滅
ブラックホールの``熱力学’’の
微視的理解は、量子重力理論の試金石
• ブラックホール中心
:
時空の曲率が発散!
一般相対性理論が破綻
曲率半径がプランク長
程度になると
量子効果が無視できなくなる
重力の量子効果を正しく記述できる理論が必要
超弦理論の数値シミュレーション
花田-百武-西村-竹内 (’08)
この弦のゆらぎを
量子統計力学的に
計算。
ホーキングの理論
超弦理論によるブラックホール熱力学の微視的理解
重力(時空)の量子論としての正しさ、有用性を強く示唆
↑毎日(08.1.20)
そのほか日経、朝日、読売、産経、
日刊工業、茨城、CERN Courierなどに掲載
計算に用いたKEKのスパコン(Hitachi SR11000)
超弦理論の数値的研究の大きな成果
数値シミュレーションの意義
• ブラックホールの内部を記述する超弦理論
1d gauge theory
p.b.c.
anti p.b.c.
最大の超対称性を持つゲージ理論の数値シミュレーションに初めて成功
(「格子」を使わず、有限個のフーリエモードを扱う新しい手法)
ゲージ・重力対応の検証という側面
(’97)
マルダセナ予想
ブレーン
次元の広がりを持つ
開弦/閉弦双対性
グラビトンを放出
ゲージ粒子が伝播
N枚
次元 ゲージ理論
低エネルギー極限
曲がった10次元時空
15
数値シミュレーションにより、ゲージ・重力対応を第一原理から検証
宇宙の起源に迫れるか?
超弦理論の非摂動的定式化
(QCDにおける格子ゲージ理論に相当する定式化)
「IKKT行列模型」
10個の
石橋、川合、北澤、土屋 (’97)
エルミート行列
4D
もともと弦の伝播しうる10次元の世界に
我々の住む4次元の世界が現れるか?
10D
IKKT行列模型における自由エネルギー
の計算 (ガウス展開法に基づく)
西村ー大久保ー杉野(進行中)
自由エネルギー
3次元時空?!
次元
数値シミュレーションで探る
宇宙の起源
• IKKT行列模型の数値シミュレーション
ガウス展開法の結果を再検討
(Anagnostopoulos-東-西村、進行中)
• IKKT行列模型は何を記述しているのか?
時間は純虚数として扱われている
初期宇宙
(Hartle-Hawking的描像)
(格子ゲージ理論でも同様)
• 時間発展する宇宙を記述する行列模型の考案
時間を実数として扱う
底なしポテンシャル
(宇宙は膨張しているからよいのか?)
4.まとめ
• 超対称性を持ったゲージ理論の数値シミュレー
ションに初めて成功
• 超弦理論から予想されるゲージ・重力対応を第
一原理から検証
• ブラックホールの熱力学に対する微視的理解
“Supersymmetry, strings and blackholes”
素粒子理論の今後の発展においてカギとなるアイディアが、
計算機シミュレーションで調べられるようになってきた!