平成26年度先端科学技術セミナープログラム 木村研究室 強相関電子系における多彩な固体電子物性開拓 鈴木研究室 スピントロニクスとナノスピン新物質の創製 強相関電子物性 多田研究室 分子エレクトロニクス、界面エンジニアリング 電子物理科学科物性物理科学コース 北岡研究室 木村 剛 8 多元極限環境下でのNMR法を用いた物質科学の先端研究 超巨大磁気抵抗効果 & マルチフェロイック物質 電気磁気効果 関山研究室 -強相関電子を持つ遷移金属酸化物における巨大な磁気応答物性- 量子光学・レー ザー科学技術 角度分解光電子分光 SPring- 放射光分光 バ(ルク敏感・ 強相関電子系における 多彩な電子物性 芦田研究室 2015年10月8日 先端科学技術セミナー レーザー光と物質の相互作用の基礎及び応用研究 計算理論科学 井元研究室 量子情報処理および量子光学の研究 1月6日 1月13日 藤本研究室 量子凝縮相の理論研究 12月16日 吉田研究室 コンピューテイショナルマテリアルデザイン 1月27日 2月3日 (担当:小口) 12月9日 凝縮系物質の量子シミュレーション法とその手法開発 14 第一原理計算の現状と展望 15 物質科学の未来に向けて 11月11日 11月18日 11月25日 12月2日 草部研究室 1月20日 10月28日 ) 13 極限環境下の物質科学―金属水素は室温超伝導になるか― (担当:清水) 10月21日 超高圧 極/低温 強/磁場下の極限物性研究 10月7日 10月14日 松本、田中、小口各研究室 1 はじめに; 強相関電子系における多彩な固体電子物性 (担当:木村) 2 超伝導のフロンティア (担当:椋田) レーザーによる物質科学の最前線-光物性から物質の操作ま 3 (担当:芦田) で- 高エネルギー固体電子分光の最先端 -シンクロトロン放射光 (担当:関山) 4 とレーザーによるバルク敏感光電子分光- 5 分子エレクトロニクスの現状と将来展望 (担当:多田) 6 計算物理の物質科学への応用 (担当:草部) 7 スピントロニクスの現状と次世代デバイスへの展望 (担当:鈴木) 8 量子情報科学―物理と情報のエンタングルメント― (担当:井元) 量子多体論の最前線 ― 強相関電子系からトポロジカル絶縁 9 (担当:藤本) 体・超伝導まで ― カーボンナノサイエンス・ナノテクノロジ-の現状と次世代デバ 10 (担当:松本) イスへの展望 11 計算機による物質設計の現状とフロンティア (担当:吉田) (担当:田中) 12 強相関電子系物性の次世代ナノデバイス展開 清水研究室 基(礎工学研究科附属・極限科学センター 物性物理科学コースのHPからリンクあり 産業科学研究所 講義ノート:http://www.mp.es.osaka-u.ac.jp/front.html 物質機能科学 「物性物理」とは? 物理学を基礎に「物質中のミクロな原子の世界」と「マクロ な性質や現象」との関連を明らかにし、モノの性質(物性) を理解し、デザインし、これまでにない可能性を実現する 先端科学 「物質の電気的、磁気的、光学的性質の理解」 「物質における未知の現象の探求」 「物質の性質を調べるための新しい測定方法の開発」 「新物質の創成」 [関連するキーワード] 超伝導、ナノサイエンス、半導体、レーザー、 磁性、分子エレクトロニクス、量子情報など 基礎工学研究科 北岡良雄特別教授 研究室ホームページより 超伝導と磁性。 固体物理学において主要なこの2つの研究分野は、これまで長い研究の歴史をもち、 多くの重要な研究がなされてきました。 ただし、この2つの分野はどちらかといえばむしろ相反する性質 のものと見られ、それぞれの専門家によって独自の発展を遂げていたのです。 しかし 1979年に、 いわゆる「重い電子系」とよばれる物質群のひとつCeCu2Si2 において超伝導が報告されてから、 この流れは大きく変わることになります ... 強相関電子とは? 一般的な金属や半導体では 動き回る(遍歴する)電子は電荷の特徴のみを色濃く持ち、 電子の持つその他の自由度の特徴をあまり示さない。 従来のエレクトロニクスでは、電子の持つ電荷のみが重要な役割を担っていた。 固体中の動き回れる電子の密度が上がって、 互いに相互作用し始めると、 電子の「有効質量」はどんどん重くなり、電子はもともと属していた原子上にとどまる(局在する)ようになる。 電子の持つ電荷以外の自由度(スピン、軌道)があらわになってくる。 強相関電子 相互に強く排斥し合う電子集団を指し、電子はまだかろうじて動けるが、 ほどんど局在しかけて、磁性も色濃く帯びる状態を表す。 遷移金属や希土類を含む系、電子の運動が特定の軌道に制限されるなどによって、局在性が高まる 重い電子系、高温超伝導、超巨大磁気抵抗効果などの、新物理現象・新機能の宝庫 スピントロニクス _ 固体中の電子の自由度のうち電荷( )の自由度だけでなくスピン( )の自由度も利用 して、これまでのエレクトロニクスでは実現できなかった機能や性能を持つデバイスが実 現する分野。主にスピンの配列を磁場で変化させることによって電荷の動きを制御する ことを利用する。 (代表的な例: 1988年に発見された巨大磁気抵抗効果を利用した、ハードディスクドライブのヘッダなど) スピントロニクス素子の例 2007年のノーベル物理学賞受賞者 授賞理由: for the discovery of Giant Magnetoresistance" (巨大磁気抵抗の発見) Albert Fert Peter Grünberg アルベール・フェール ペーター・グリュンベルク パリ南大(仏) ユーリヒ固体物理研究所(独) [Wolf et al., Science 294, 1488 (2001)] Phys. Rev. Lett. 61, 2472 (1988) Phys. Rev. B 39, 4828 (1989) 縦軸:電気抵抗 スピンバルブ構造 強磁性トンネル接合構造 主ににスピンの配列を磁場で変化させることによって電荷の動きを制御することを利用する。 動きまわることのできる電荷が必要 横軸: 磁場 (a) (b) 昨年度の鈴木先生の講義スライドより ハーフメタル(half metal)の電子状態 ペロブスカイト関連構造を持つ遷移金属酸化物における多彩な物性 層状マンガン酸化物La1.4Sr1.6Mn2O7におけるトンネル磁気抵抗 エネルギー spin band EFermi 状態密度 強磁性金属 2nm 非磁性絶縁体 Mn 電気抵抗率の磁場による変化 % スピン分極に依存したトンネル効果 spin band MnO2 bilayer La2O2 layer 4000 magnetic moment spin-polarized electron La1.4Sr1.6Mn2O 7 2000 7kbar 0kbar 0 domain wall -5 0 5 印加磁場 (キロエルステッド) マンガン酸化物RE1-xAExMnO3における超巨大磁気抵抗(CMR) ぺロブスカイト関連構造を持つ遷移金属酸化物 CMR effect 絶縁体-金属転移、高温超伝導、 電荷秩序、超巨大磁気抵抗、etc. O 抵抗率 キャリアドープ A B 軌道の自由度の諸物性に対する役割 電気抵抗率 モット絶縁体 d 電子軌道 e.g. 陰イオン八面体配位の遷移金属イオンでは z eg 10Dq y M x Ti3+ ぺロブスカイト構造 ABO3 x2-y2 t2g Mn3+ 3z2-r2 温度 Perovskite structure 磁化 O 磁場 マンガン酸化物における多彩な磁場誘起現象に関連するキーワード Ni3+ Cu2+ xy yz zx Double-exchange mechanism [C. Zener, Phys. Rev. 82, 403 (1951)] LaMnO3 (d4, AFM insulator) ・2重交換相互作用 ⇒ 強磁性金属状態 ・電子-格子相互作用 (e.g. Jahn-Teller 効果) ・軌道の自由度 ・電荷秩序 ・ 軌道秩序 ・ハーフメタリック ⇒ ~100%スピン偏極 Phase Diagram of Perovskite Manganites (by Y. Tomioka et al. ) Transfer integral tij Mn3+ eg Mn4+ tij t2g hole-doping ij La1-xSrxMnO3 (d4-x, FM metal) tij=t cos(ij/2) (T≪TC) increasing T≧TC FM ⇒ tij max. AFM ⇒ tij min. Mn O Applying 0H Large Ionic radius of A-site On-electron band width Small ハーフメタル2重整列ペロブスカイトにおける室温トンネル磁気抵抗 Sr2FeMoO6 (TC~415K) Sr2FeReO6 (TC~401K) spin band spin band 多結晶試料 磁気モーメント グレイン 磁場H 磁化 (B/f.u.) 抵抗率 (10-2/cm) エネルギー Sr2FeMoO6 4.2K 印加磁場 (T) 300K 状態密度 マルチフェロイクス 電気磁気効果 -固体中の電気と磁気の不思議な関係- 印加磁場 (T) 動き回ることのない電荷を利用したデバイス フラッシュメモリ 強誘電体を使ったデバイス *赤外線センサー (焦電性) *コンデンサ、トランスデューサ(高誘電率) *インク噴霧素子(圧電性) *強誘電メモリ (強誘電性) 携帯電話 プリンタ 磁性と強誘電の融合に関する物質・物性開拓 動きまわることのない電荷とスピンを絡めた(とくに電場で直接スピンを 制御するといった)デバイスはこれまであまり研究されてきていない。 常誘電体と強誘電体の違いとは? 強誘電体とは? 通常の誘電体(常誘電体)に電圧を印加したとき 強誘電体に電圧を印加したとき 電気分極 P チタン酸バリウム 電極 + ロッシェル塩(1921年)KNaC4H4O6・4H2O チタン酸バリウム BaTiO3 チタン酸鉛 PbTiO3 チタン酸ジルコン鉛 Pb(Zr,Ti)O3 ニオブ酸リチウム LiNbO3 ビスマス系酸化物 Bi4Ti3O12, SrBi2Ta2O9 電気 分極 + + 誘電体 -電極- ① 電源 0 電圧 E ③ Ti4+ Ba2+ 常誘電体と強誘電体の違いとは? ② 自発分極 代表的な強誘電体 O2- - イオン性結晶の場合 - 強誘電体では電場を与えなくても分極を示す(自発分極)。 また強誘電体ではこの自発分極の向きは電場により反転することが可能。 強誘電体の役に立つ性質 P 強誘電体 常誘電体 電場 が ゼロのとき 電場印加 されたとき 電気分極の外部電場による制御性 0 電場が ゼロでも E 不揮発性強誘電メモリー(FeRAM) 圧電性; 応力を加えることにより分極(および電圧)が生じる性質。 また逆に電圧を印加することで応力および変形が生じる。 電場 電子ライター、ガスレンジ、インクジェット式プリンタ、超音波洗浄器 陽イオン 1880年 ピエール・キューリー、ジャック・キューリー兄弟 陰イオン 陽イオンと陰イオン の重心が一致。 無極性結晶 電場 陽イオンと陰イオン の重心がずれる。 有限の電気分極 が誘起される。 陽イオンと 陰イオンの 重心が既に ずれている。 焦電性; 温度変化に応じて電気分極(およびそれによる起電力)が生じる性質。 赤外線センサー チタン酸バリウム 高誘電率特性; 一般に強誘電体には誘電率が大きなものが多い。 コンデンサー 極性結晶 電気 分極 (誘電率; 電場に対する電気分極の応答のし易さ) Ba2+ Ti4+ O2- ∝傾き 0 電場 電気磁気効果(Magnetoelectric effect) 相容れない2つの秩序(磁気秩序と強誘電秩序)の共存 強磁性体(ferro-magnets) 強誘電体(ferro-electrics) 電極 磁化 電気分極 P を 磁場 H で誘起 磁化 M を 電場 E で誘起 電気磁気効果 (ME効果) 導線 + 電気分極 方位 磁針 0 N 0 0 電圧計 電場 MEH 効果 MEE 効果 電場 N A 電流計 マルチフェロイクス 電場 S N 磁場 N V 磁石 0 電池 _ [電圧印加による磁化の誘起] [磁場印加による電気分極(電圧)の誘起] 電気磁気効果黎明期の歴史 人名 [年] 磁場 S 磁性強誘電体 陽イオン 陰イオン マルチフェロイクス(Multi-ferroics) 磁性と強誘電性の相互作用が期待できる。 大阪大学における電気磁気効果黎明期に関する研究 伊達宗行先生、金森順次郎先生、立木昌先生 P. Curie [1894] Debye [1926] Van Vleck [1932] Landau & Lifshitz [1957] Dzyaloshinskii [1959] Astrov [1960] 最初にME効果というものがあってもいいのではと想像した。 そのような効果は不可能であると提案した。 なぜME効果が存在しないかを本の1節を使って説明した。 磁気結晶ではME効果が存在すべきことを示した。 Cr2O3 の磁気対称性ならME効果が存在可能なことを理論的に予測。 Pierre Curie (左) ME効果をCr2O3 結晶を使って最初に実験的に観測した。 期待される応用例 : 多値メモリ材料、磁場制御による光学素子、磁場変調型圧電素子など ただし、既存の電気磁気効果は効果の小ささや物質的な制約のため、実際の応用例はない。 Multiferroicsの制約 ―空間反転対称性と時間反転対称性の破れ― 陽イオン 空間反転 陰イオン 磁気モーメント 環状電流 時間反転 例: 強誘電体 例: 強磁性体 喜多英治先生、田崎明先生、白鳥紀一先生 Multiferroics 強誘電体および強磁性体中の遷移金属サイトの電子状態 どうやってマルチフェロイクス(磁性強誘電体)をつくるか? 1. 強磁性体と強誘電体を混合する。 強磁性体円柱の強誘電体への埋め込み 強磁性体/強誘電体の積層構造の作製 [S. Dong et al., APL (2003)] [H. Zeng et al., Science (2004)] CoFe2O4(強磁性) BaTiO3(強誘電) 2. 一化合物の各構成元素に役割分担させる。 A B O ペロブスカイト型酸化物 強誘電体 BaTiO3, Pb(Ti,Zr)O3, LiNbO3 Ti4+, Zr4+, Nb5+ 強磁性体 YFeO3, (La,Sr)MnO3, CrO2 Fe3+ (d 5), Mn4+ (d 3), Cr4+, (d 2) Pb(Fe,W)O3, Pb(Fe,W)O3, BiFeO3 , BiMnO3 すべて閉殻構造 (d 電子ゼロ) A・・・強誘電性を誘起しする格子歪み ABO3 B・・・磁気特性 強誘電体 ⇒ e.g. PbTiO3, PbZrO3, Bi 層状酸化物, etc. (d 電子ゼロでない) 強磁性体 ⇒ e.g. YFeO3, (La,Sr)MnO3, etc. 従来までに知られていたマルチフェロイクス 磁性と強誘電性の研究領域の推移 G. A. Smolenskii and E. Chupis, Sov. Phys. Usp. 25, 475 (1982). ペロブスカイト型酸化物 Pb(A,B)O3 (A=Fe, Mn, Co…; B=W, Nb…) [TC(誘電)~300~400K TN(磁性)~100~200K] BiFeO3 [TC(誘電)~1123K TN(磁性)~650K] BiMnO3 [TC(誘電)~773K TC(磁性)~110K] A,B M3B7O13X (M=Cr, Mn, Fe, Co, Ni; X=Cl, Br, I) [TC(誘電)~400~600K TN(磁性)~20~90K] フッ化物 BaMF4 (M=Mn, Fe, Co, Ni) [TC(誘電)~1100~1500K TN(磁性)~20~70K] O Y 磁気秩序と強誘電秩序の転移温度が大きく異なる。 従来知られていたマルチフェロイクスでは両秩序の出現機構に関連性がない。 2001年 N. A. HillのReview発行 Why are there so few magnetic ferroelectrics? “「電気磁気」という語を含む論文 「マルチフェロイクス」いう語を含む論文 磁性 どちらか一方の語を含む論文 500 研 究 領 域 ボラサイト Mn 1000 発表論文の数 O 六方晶マンガン酸化物 RMnO3 (R=Y, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Sc) [TC(誘電)~900K TN(磁性)~80~120K] 「電気磁気」&「マルチフェロイクス」研究の推移 Pb 1960 1894年 Curie の憶測 電気磁気(ME)効果 マルチフェロイクス 強誘電 1970 1980 年 1920年頃 ロッシェル塩 強誘電 の発見 1990 2000 2010 1959年 1960年 Landau‐Lifshitz Cr2O3 Dzyaloshinskii での による対称性 ME効果 の議論 の発見 年代の推移 2003年 BiFeO3薄膜における巨大強誘電分極の発見 TbMnO3における強誘電性・巨大ME効果の発見 らせん磁性体における反転対称の破れ ー 磁性誘起の強誘電性 - TbMnO3の磁気秩序と共に現れる強誘電性及び巨大電気磁気効果 T. Kimura et al., Nature 426, 55 (2003). [ISI被引用回数1960回] O Specific heatI/T (J/mol K2) ペロブスカイト構造 Tb 0.6 反時計 回り 中性子線回折によるTbMnO3の磁気構造 M. Kenzelmann et al. PRL 95, 087206 (2005). TN c T << TTC<(E) at Tat TN(M) C(E) TC b 磁気モーメント 空間反転操作 0.4 Mn c a 磁場の 印加 P//a P//c 電気分極の方向変化 Electric Polarization P (C/m2) 800 時計 回り P//c 0T 9T 400 らせん磁性体では空間反転操作が対称操作とならない。 0 500 P//a 0 正弦波的磁気構造 強誘電体における反転対称の破れとの類似性 0T 9T 250 対称性等を考慮した理論的計算 10 20 30 40 50 Temperature (K) らせん磁気構造 ある種のらせん磁気構造で 有限の電気分極が出現 磁場による電気分極の方向制御 ⇒ 巨大電気磁気効果 スピン配列が誘起する電気分極 - Vector spin chirality - Si Si Sj • らせん磁気秩序が誘起する強誘電性 Spin CW CCW 電気分極 P 競合する磁気的相互作用の利用 Katsura et al., PRL 95, 057205 (2005). Sj eij ij ≡ Si ×Sj マルチフェロイクス材料の設計 どうやって螺旋(らせん)磁気秩序を生み出すか? 逆ジャロジンスキー-守谷相互作用 pij Spin Vector spin chirality Spin pij∝eij×ij 通常の反強磁性 スピン 世界最初の スピン配列が生み出す らせん磁気秩序の提案 電荷 対掌性(キラリティ-) 磁気 モーメント P ij ij P キラリティ ij 例えば四角格子 において無理なく 反強磁性構造を 配置可能 元基礎工物性 (1976-1991) 吉森昭夫先生 左手 右手 A. Yoshimori, JPSJ 14, 807 (1959). Cl Cl C H Br CH3 CH3 C H Br 幾何学的 磁気フラストレーション ? 電子 q 1. “Spin current and magnetoelectric effect in non-collinear magnets” Katsura, Nagaosa, & Balatsky, PRL 95, 057205 (2005) 2. “Magnetically driven ferroelectric order in Ni3V2O8” Harris et al., PRL 95, 087205 (2005) 3. “Key Role of D-M interaction in the multiferroic phenomena” Sergienko and Dagotto, PRB 73, 094434 (2006) 4. “Ferroelectricity in spiral magnets” Mostovoy, PRL 96, 067601 (2006) 磁気フラストレーション の適宜な緩和 複雑な超周期構造を持つ磁気秩序 最低温度まで 磁気秩序起こらない 例 三角格子 カゴメ格子 正四面体格子 ... Sinusoidal Spiral 適宜な磁気フラストレーションを有する系 Helical Conical らせん磁性に起因するマルチフェロイクス一覧 らせん磁気秩序に関連したマルチフェロイクスの結晶構造 - 競合する磁気的相互作用 - 化合物 RMnO3 (R=Tb,Dy) CuFeO2 Tb O Cu O Fe Mn J2 J 次近接 2 相互作用 b J1 a 最近接 相互作用 Ni3V2O8 O 集光加熱炉により 育成中の単結晶 J1 c CuO Ni 白金るつぼ V O J1 b J2 a c 基本結晶構造 磁気変調ベクトル 動作温度 赤外線集光加熱型単結晶育成炉 Cu 146° Cr2BeO4 斜方晶(mmm) (0,0,l) ZnCr2Se4 立方晶(m3m) (h,0,0) RMn2O5(R=Tb,Dy...) 斜方晶(mmm) (1/2,0,1/n) RMnO3 ( R=Tb,Dy…) 斜方晶(mmm) (0,k,1) k=0.2~0.4 Ni3V2O8 斜方晶(mmm) (BaSr)2Zn2Fe12O22 <28K 電気分極 2 (C/m ) 文献 ~3 Newnham et al. JAP (1979) <20K ~20 Siratori et al. JPSJ (1980) <38K <~1500 Saito et al. J.Phys. (1995) <28K <~2000 Goto et al. PRL (2004) (0.28,0,0) <6.3K ~100 Lawes et al. PRL (2005) 三方晶(-3m) (0,0,3d) 0<d<=1/2 <~110K ~150 Kimura et al. PRL (2005) CuFeO2 三方晶(-3m) (h,h,0) h=0.2~0.25 <11K ~300 Kimura et al. PRB (2006) CoCr2O4 立方晶(m3m) (h,h,0) h~0.63 <26K ~2 Yamasaki et al. PRL (2006) MnWO4 単斜晶(2/m) (-0.21,1/2,0.46) <12K ~60 Taniguchi et al. PRL (2006) RbFe(MoO4)2 三方晶(-3m) (1/3,1/3,0.458) <3.8K ~5 Kenzelmann et al.PRL (2007) LiCu2O2 斜方晶(mmm) (1/2, 0.17,0) <23K ~8 Park et al. PRL (2007) LiCuVO4 斜方晶(mmm) (0,0.532,0) <2.4K ~40 Naito et al. JPSJ (2007) (Li,Na)(Fe,Cr)Si2O6 単斜晶(2/m) ? <18K <15 Jodlauk et al. J.Phys.(2007) CuO 単斜晶(2/m) (0.506,0,-0.483) <230K ~150 Kimura et al. Nat. Mater. (2008) ACrO2 (A=Ag, Cu) 三方晶(-3m) (~1/3,~1/3,0) <24K ~100 Seki et al. PRL (2008) AgCrS2 三方晶(-3m) ? <45K ~20 Singh, Chem. Mater. 21, 5007 (2009) Ba2CuGe2O7 正方晶(-42m) (0.027, 0.027,0) <~3K ~0.3 Murakawa et al. PRL (2009) FVO4 三斜晶(-1) (0.222,-0.089,0.012) <~16K ~10 Daoud-Aladine et al. PRB (2009) CuCl2 単斜晶(2/m) (1,0.226,0.5) <~24K ~30 Seki et al, PRB (2010) ほとんどのらせん磁性起因マルチフェロイクスは40ケルビン以下でしかしなかった。 らせん磁性に起因するマルチフェロイクス一覧 化合物 基本結晶構造 磁気変調ベクトル Cr2BeO4 斜方晶(mmm) (0,0,l) ZnCr2Se4 立方晶(m3m) (h,0,0) RMn2O5(R=Tb,Dy...) 斜方晶(mmm) (1/2,0,1/n) RMnO3 ( R=Tb,Dy…) 斜方晶(mmm) (0,k,1) k=0.2~0.4 Ni3V2O8 斜方晶(mmm) (BaSr)2Zn2Fe12O22 動作温度 <28K 電気分極 2 (C/m ) 文献 ~3 Newnham et al. JAP (1979) <20K ~20 Siratori et al. JPSJ (1980) <38K <~1500 Saito et al. J.Phys. (1995) <28K <~2000 Goto et al. PRL (2004) (0.28,0,0) <6.3K ~100 Lawes et al. PRL (2005) 三方晶(-3m) (0,0,3d) 0<d<=1/2 <~110K ~150 Kimura et al. PRL (2005) CuFeO2 三方晶(-3m) (h,h,0) h=0.2~0.25 <11K ~300 Kimura et al. PRB (2006) CoCr2O4 立方晶(m3m) (h,h,0) h~0.63 <26K ~2 Yamasaki et al. PRL (2006) MnWO4 単斜晶(2/m) (-0.21,1/2,0.46) <12K ~60 Taniguchi et al. PRL (2006) RbFe(MoO4)2 三方晶(-3m) (1/3,1/3,0.458) <3.8K ~5 Kenzelmann et al.PRL (2007) LiCu2O2 斜方晶(mmm) (1/2, 0.17,0) <23K ~8 Park et al. PRL (2007) LiCuVO4 斜方晶(mmm) (0,0.532,0) <2.4K ~40 Naito et al. JPSJ (2007) (Li,Na)(Fe,Cr)Si2O6 単斜晶(2/m) ? <18K <15 Jodlauk et al. J.Phys.(2007) CuO 単斜晶(2/m) (0.506,0,-0.483) <230K ~150 Kimura et al. Nat. Mater. (2008) ACrO2 (A=Ag, Cu) 三方晶(-3m) (~1/3,~1/3,0) <24K ~100 Seki et al. PRL (2008) AgCrS2 三方晶(-3m) ? <45K ~20 Singh, Chem. Mater. 21, 5007 (2009) Ba2CuGe2O7 正方晶(-42m) (0.027, 0.027,0) <~3K ~0.3 Murakawa et al. PRL (2009) FVO4 三斜晶(-1) (0.222,-0.089,0.012) <~16K ~10 Daoud-Aladine et al. PRB (2009) CuCl2 単斜晶(2/m) (1,0.226,0.5) <~24K ~30 Seki et al, PRB (2010) 室温での電気磁気効果実現に向けて Ba R 型 T* S* M [BaFe6O11]2- R* unit cell m S-ブロック (Spinel) S S 1 z=_ 2 T W (Ba,Sr)M2Fe16O27 Y (Ba,Sr)2M2Fe12O22 Z m 52.3 P63/mmc X S * S* ) (RSR 3 84.11 R-3/m U (Ba,Sr)4Mm2Fe36O60 (RSR R *S*TS*) 3 113 R-3/m T-ブロック 00z a Ba2Fe8O14 Z型(M=Co) E (MV/m) O 1 200 300 S 2 室温で電場および磁場でスイッチ可能、 電場および磁場を切ってもその情報が保持 時計回りらせん (1) (b) 5 0 鉄酸化物 フェライト (Sr3Co2Fe24O41) 動作温度 プラス127℃以下 2010年8月10日 日刊工業新聞 Q 300K -1.2mT a b (d) N + S ‐ AF1(commensurate collinear) 63 c AF2(incommensurate spiral) -5 600 0 時間 T ime (s) 室温における電圧による 不揮発性の磁化反転 6 6 63 T* Y1/3 S* 0 1000 2000 T ime (s) N -3 0 磁場 (T) 酸化銅(CuO) 動作温度 マイナス43℃以下 -1 S M (10 B/f.u.) 100 時間 (秒) -1 木村研で見つかった高温で動作する新しいマルチフェロイクス Cu ‐ 電圧 -10 E and/or H 0 -1.2mT -3 (c) 400 +++++ N ‐‐‐‐‐ 0 1 -2 200 プラス電場 10 0 0 -2 Okumura et al., Appl. Phys. Lett. 103, 032906 (2013) 0 (a) マイナス電場 -10 +‐+‐+‐ ‐+‐+‐+ ~30K以下でME動作 + 磁化 Sr 10 0 Tokunaga et al. PRL (2010). 300K 2 0 10 1 100K 200K 300K Kitagawa et al. Nature Mater. (2010). M型 らせん状に配 b 列するスピン 特願2013‐051557 「電気磁気効果材料及びそれを用いたデバイス」 -5 0 300K 300K 0.25 反時計回りらせん(0) 室温・弱磁場でのME動作を観測 c (株)村田製作所との共同研究 5 200K Ba3Co 2Fe 24O41 ( x1.07) Sr3Co 2Fe 24O41 ~110K以下でME動作 Z型六方晶フェライト Sr3Co2Fe24O41 における室温電場誘起磁化制御 -2 100K -20 10 300K 室温を含めた広い温度範囲で 弱磁場動作の電気磁気効果が実現 Kimura et al. PRL (2005). T 2_ 2z 1 _ _1 _z 33 33 Y型(M = Zn) 20 0 20 S* 主な特徴 Sr3Co2Fe24 O41 0 • 複数のブロックからなる多層構造 • 高温での磁気秩序 S* 11z O (TS)3 フェライト磁石 43.56 R-3/m R* (Ba,Sr)2M2Fe28O46 R T* P63/mmc マグネトプランバイト RS2R*S*2 32.84 P63/mmc S* (Ba,Sr)3M2Fe24O41 M22+Fe4O8 z=0 23.19 空間群 RSTSR*S*T*S* S m Fe(一部はM) c(Å) 化学式 M型 積層 (Ba,Sr)Fe O (Ba,Sr)Fe O RSR*S* 12 19 12 19 Fe or Co -2 R-ブロック 20 磁場 (T) J. Smit & H.P.J. Wijn, Ferrite (Philips’ Technical Library, 1959) 63 Kitagawa et al. Nature Mater. 9, 797 (2010). 特願2010-138467「電気磁気効果材料及びその製造方法」 電気分極 (C m ) 6 Fe 磁化(B per formula unit) 6 63 O 電気分極 (C m-2) Z型 [Ba3M2Fe24O41 Z型六方晶フェライトSr3Co2Fe24O41の室温・弱磁場電気磁気効果 新たなマルチフェロイクスの創出 -多彩な構造を持つ六方晶フェライトー ] m S 3000 室温における電圧による 磁化状態の多段階制御 R* M1/2 1 z=_ 2 2008年2月25日 日本経済新聞 T Y1/3 S m R M1/2 総括 将来展望 マルチフェロイクス 磁性と強誘電性が共存し、電気磁気相関が強く働く物質 スピントロニクス研究の潮流 発表論文の数 800 スピン・トランスファー・トルク “「電気磁気」という語を含む論文 「マルチフェロイクス」いう語を含む論文 どちらか一方の語を含む論文 600 Slonczewski, JMMM (1996) 左手 400 1970 1980 1990 2000 2010 年 H C 12 ∝ I s12×(s1×s2) 右手 Cl 200 0 1960 - 電流・電場による磁性制御 ― 鉄超薄膜での磁気異方性制御 Maruyama et al., Nature Nano. (2009) 磁壁 Cl CH3 CH3 Br s2 s1 C H Br 「らせん磁性体」では有限の電気分極(強誘電性)及び顕著な電気磁気効果が出現 六方晶フェライトでは、電気磁気効果が室温でも実現! 電気的に検出および制御可能な不揮発性メモリ等の適用の可能性 反時計回りらせん(0) 電流誘起による磁壁移動 Yamaguchi, Ono et al., PRL (2004) 時計回りらせん (1) 電子の流れ 強磁性 非磁性 フリー層 金属層 強磁性 固定層 電流によって磁化の再配置が可能。 パーマアロイ J > ~1.2×1012A/m2 *電場というエネルギー散逸の少ない電気的刺激による磁性の直接制御への異なるアプローチを提供 *電場と磁場といった複数の外場で操作可能な従来にないRAMの実現 (*テラヘルツ領域の光の磁場を使った制御) E and/or H 低電力消費・高密度記録などの次世代に向けた新規電子デバイス原理の構築
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