医療介護つき高齢者賃貸住宅の建設にあたって

港医療生協における医療活動
20年のあゆみ
倉沢高志
みなと生協診療所の医療活動
20年のあゆみ
•
外来医療
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
•
在宅医療
–
–
–
–
•
支部が主役の地域健診
メタボリック健診
共同研究・共同調査への参加
–
–
–
–
–
–
•
•
老人デイケアー
訪問看護ステーション
在宅での肺炎
グループホーム・デイサービス
健診
–
–
•
生活習慣と合併症・中断
運動療法
外来でのパス
電子カルテの導入
外来での癌告知
中装備の検査機器
「私の療養記録」
プライバシー重視の問診室
もの忘れ外来
働くもののメンタルヘルス
民医連高血圧追跡調査(第一次、第二次)
民医連糖尿病追跡調査
医療生協24時間蓄尿塩分調査
医療生協健康宣言家族モニター調査
大阪府保険医協会在宅患者調査(第一次、第二次、第三次)
大阪府保険医協会「訪問介護の医療行為について」
高齢者住宅
精神鑑定
「生活習慣病」のとりくみ
生活習慣病は死因の6割です
がん
34%
その他
38%
糖尿病
1%
脳卒中
11%
心疾患
16%
高脂血症
高血圧
骨粗鬆症
糖尿病
生活習慣の乱れ
認知症
一部の癌
虚血性心疾患
脳卒中
(大腸癌、乳癌、
胃癌など)
「生活習慣病」とは?
食習慣・運動・休養・起点・飲酒などの生活習慣が
その発症、進行に関与する疾患群である。
生活習慣以外に遺伝要因、外部環境要因(ウイル
ス、有害物質、労働条件、ストレスなど)、など個人
の責任に帰する事ができない多くの要因が関与して
いる。
具体的には、癌・心疾患・脳血管障害・2型糖尿病・
高血圧症・高脂血症・慢性気管支炎・アルコール性
肝障害など
眞野喜洋 「公衆衛生学」文光堂2003
日本人の動脈硬化の原因
高血圧
喫煙
肥満
修正可能
高脂血症
糖尿病
生活習慣(食事や運動など)や働き方
遺伝と加齢と男性
女性の閉経
心血管疾患・全死因の国別比較
日本は世界一動脈硬化による
死亡が少ない国
伝統的な日本食・勤勉な生活習慣・
皆保険制度が有力な要因
閉経後の血清コレステロール値の変動
300
総
コ
レ
ス
テ
ロ
ー
ル
閉経
250
200
150
100
47才
48才
49才
50才
51才
52才
53才
生活習慣は高脂血症の原因の一部
•
•
•
•
•
•
遺伝(体質)(家族性高コレステロール血症など)
食事の偏り
肥満
運動不足
閉経
特別な病気(甲状腺機能低下症など)
高齢者では肥満よりやせが問題
2006 大櫛
肥満度別脳心事故発症率
7
‰
*
(高血圧追跡調査)
6
*;<24-25群に対する有意差検定 p=0.017
5
4
3
2
1
0
15-19
2.5
20-21
22-23
24-25
26-27
28-
BMI
2
1.5
男性
女性
1
肥満度別死亡 0.5
率(津金2002) 0
14-1 19-2 21-2 23-2 25-2 27-2 30-3
8.9
0.9
2.9
4.9
6.9
9.9
9.9
特定健診・特定保健指導の問題点
• 「生活習慣病」対策を肥満者に限定し、やせに伴
う癌・慢性気管支炎などを軽視。
• 健診後のフォローにおいて要治療・要精査者・
様々な要指導者より内臓肥満者を過度に重視せ
ざるをえない仕組みを作った。
• 小病院や診療所では他の部門を犠牲にしてス
タッフの再配置を余儀なくされ、特に外来の診療
パワーが大幅に低下する結果、経営にも大打撃
が必死。介護保険前と似ている。
健康習慣実践状況調査の結果
と今後の課題
これまでの経過
• 1996年に「医療生協の健康習慣」が提起された。その
後、「健康習慣モニター家族調査」をはじめ、日常的な医
療生協活動の柱の一つとして取り組まれてきた。
• 2005年には「口の健康」を加えるなどの改訂版がだされ
た。
• 「健康日本21」の中間評価や「生活習慣病」に焦点を当
てた健診の提起など、行政のレベルの取り組みも新しい
段階に来ている。
• こうした背景のもとで、医療生協として「健康習慣」に取り
組む意義と課題を改めて鮮明にする必要性がある。
ブレスロウの7つの健康習慣
• 健康の維持増進の生活習慣
– 喫煙しない
– 過度の飲酒をしない
–
–
–
–
–
定期的にかなり激しい運動をする
適正体重を保つ
7-8時間の睡眠をとる
毎日朝食をとる
不必要な間食をしない
• 健康習慣の実施数が多い集団は少ない集団よ
り9年間で死亡率が数倍違った。
(1965年)
医療生協の8つの健康習慣と2つ
の健康指標(2005年改訂版)
• 健康増進の生活習慣
–
–
–
–
–
–
–
–
生活リズムを整え、快適な睡眠をとる
心身の過労を避け、充分な休養をとる
禁煙にとりくむ
過度の飲酒をしない
適度な運動を定期的に続ける
低塩分低脂肪のバランスのよい食事をとる
間食せず、朝食をとる規則正しい食生活
1日1回以上よごれを落としきる歯磨きをする
• 健康指標
– 適正体重、適正脂肪、適正腹囲を維持する
– 適正な血圧をめざす
方法
• 2006年9月を中心に、31単協で「8つの
健康習慣と2つの健康指標」の調査を行っ
た。
• 健康習慣モニター家族調査の時に行った
初回(1997-1998)と最終(2001-2
002)調査結果と比較した。又同時期に行
われている「健康日本21」の取り組みから
可能な項目について比較・検討した。
対象
医療生協組合員
2056名
非組合員
405名
不明
55名
700
600
500
400
300
200
100
0
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
改訂健 康習慣(8項目)
6.0
7.0
8.0
600
500
400
300
200
100
0
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
健康習 慣実施数 (全項目 )
8.0
9.0
10.0
健康習慣の取り組みの到達点
個人のレベルで
• 8項目中6項目以上を実行しているとの回答者
が7割弱をしめている。限られた対象者とはいえ、
かなり浸透している。今後は医療生協の組合員
だけの取り組みから、住民全体を対象にした取り
組みが必要。
• 逆に8項目中3項目以下しか実行できていない
回答者が1割弱を占めた。ハイリスク者を発見し、
保健予防活動につなげていくシステム作りが必
要。
健康習慣実施数
6.0
5.3
4.2
5.2
5.0
4.5
4.0
男性
女性
*7項目の比較2006
4.9
4.5 4.6
4.4
4.9 5.4
5.2
2.0
0.0
40歳代
60歳代
30歳未満
50歳代
70歳以上
30歳代
10年間でなにが変わったか?
健康習慣項目別実施率の変化
性・年齢で調整済み
100
80
60
1997年
2006年
40
20
食
生
活
ス
バ
ラ
ン
食
運
動
節
酒
禁
煙
休
養
睡
眠
0
10年間の変化(60歳代男性)
運
動
バ
ラ
ン
ス
食
事
時
適 間
正
体
正 重
常
血
総 圧
実
行
数
食
酒
節
煙
禁
養
1997年
2006年
休
睡
眠
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
10年間の変化(60歳代女性)
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
眠
睡
1997年
2006年
休
養
煙
禁
酒
節
運
ス
間
重
圧
数
ン
時
体
血
行
ラ
事
正
常
実
バ
食
適
正
総
食
動
特に運動習慣について
運動習慣者の割合
約5年間の変化
60
50
40
30
20
10
0
医療生協
健康日本21(男性)
前
後
健康日本21(女性)
歩数
約5年間の変化
9000
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
7537
8202
6896
医療生協
7532
7282
6446
健康日本21(男性)
前
後
健康日本21(女性)
運動習慣のある人の割合は増
加したが、歩数は減少した。
速歩以外にも多様な運動種類
が普及していることが伺える。
特に食事について
塩分摂取量
約5年間の変化
16
13.5
14
12
10
10.09
11.2
10.02
8
6
4
2
0
医療生協
健康日本21
前
後
健康日本21の中間実績値の評価
• 脳卒中、虚血性心疾患の年齢調整死亡率
の改善がみられ、脂肪エネルギー比率や
女性の肥満者の増加に歯止めがかかる一
方で、高血圧、糖尿病などの生活習慣病
は特に中高年男性で改善していない
男性の肥満者の割合いや歩数のように悪
化したものもある
健康習慣の取り組みの課題
• いつまでにどの項目をどこまで到達させるかの
数値目標をたてる。
• 組合員であるか否かに関わらず、地域全体に目
を広げて行う。
– 自治体の取り組みへの参加や共同など
• 食事についての取り組みが遅れている。60歳代
70歳代の女性においてさえ、悪化傾向である。
– 「食べる班会」など地域の食文化を守り育てる
• 個人の努力を下支えする地域や職場の環境を
改善する取り組みを行う。
民医連高血圧追跡調査会と
は?
• 高血圧の日常診療の中から発症する脳心事故・
癌・死亡の実態を正確に把握し分析して高血圧
疾患管理活動の向上を図ることを目的に1985
年に趣旨に賛同する民医連の医療機関134院
所が参加して結成した。
• 第一次追跡調査は1985年から約8400人を平
均約4年追跡。
• 第二次追跡調査は1993年から約3600人を平
均4.3年追跡。後半は本格的介入を行った。
「第二次民医連高血圧追跡調査」対象と方法
• 全国104の民医連院所の共同調査。
• 登録基準;40-75歳。1年以上降圧剤治療中の高血圧
患者。脳卒中・心筋梗塞などの標的臓器障害、癌、薬物
療法治療中の糖尿病などの合併症がない。
• 3342人(男性52%、年齢58.4±8.1歳)を1994年
から2000年12月まで追跡(平均4.9年)。
• JNCⅥ発表を機に後半(1998-2000)の脳心事故発
症率を前半(1994-1997)の3割減にするよう積極的
に介入した。
合併症をおこさない新方針(1998.5)
• JNCⅥをもとに具体的な行動提起。
– 主治医への手紙
• 目標血圧の決定とそのための薬の見直し
• 家庭血圧の普及など
– 登録患者への手紙
• 喫煙、肥満などの生活改善(「チャレンジ手帳」活用)
– 診察室ですぐ役に立つシンプルな指針表の作成
(見開き一ページ)
SBPの年次推移
(mmHg)
145
144.9
144
143.3
143
142.3 142.5 142.1 142.2
142
141.3 141.1
141
140
19
19
19
19
19
19
19
20
93
94
95
96
97
98
99
00
年
年
年
年
年
年
年
年
前半と後半の脳心事故発症率
(1000人年発症率)
(人)
7
6.41
6
5
4
3
3
2
1
0
前半
後半
P=0.003で有意差あり
高血圧追跡調査エントリー患者のBMI
男性
女性
300
300
200
200
度
数
度
数
100
100
0
0
17.00
21.00
19.00
25.00
23.00
29.00
27.00
33.00
31.00
15.00
36.00
平均値24.3±2.7
第一次
23.0±4.7
19.00
17.00
23.00
21.00
27.00
25.00
29.00
31.00
35.00
33.00
24.9±3.4
23.9±5.2
37.00
44.00
6年間のBMIの変化
年代別
Kg
男性
Kg
.6
.4
.4
.2
.2
0.0
*
.0
-.2
-.2
-.4
-.4
-.6
-.6
-.8
-.8
-1.0
-1.0
-1.2
40
50
60
70
*;40代に比べて有意に低下
ANOVA P=0.013
女性
*
40
50
60
*
70
*;50代に比べて有意に低下
P=0.003
労働負荷とBMI
28-
25-28
20-25
-20
0%
20%
負荷0
負荷1
40%
負荷2
60%
負荷3
(一次、40代50代の男性1722名)
80%
負荷4
100%
負荷5
P<0.01
40歳代50歳代の肥満者への
働きかけが大切
通院していても血圧コントロール
不良の要因調査から
通院しても血圧が下がらない要因
降圧剤用量不足
BMI25以上
服薬過誤
慢性疼痛
過剰飲酒
喫煙
利尿薬不適切
パニック障害
白衣高血圧
0
10
20
30
*135名のコントロール不良例の調査(2001)
40
50
(%)
結論
• 脳心事故予防のためには血圧コントロー
ルが最も重要であるが、適切な量の降圧
剤投与とともに、適正体重の維持や禁煙
など生活改善が必要である。
• 中年男性では不健康な生活習慣の背景に
厳しい労働環境要因が関与している。
ライフスタイルに問題があると受
診の仕方にも影響する
長期中断にもライフスタイルの
影響