第2章競争戦略 梶田 真邦 桑原 雪乃 斉藤 晋世 目次 1. 2. 3. 4. 競争戦略の課題 2つの概念について 課題1:競争者に対して差別優位をどのように確保するか 移動障壁について 課題2:市場環境の変化に対して戦略をそう切り替えるか 市場の知識体系の変化 競争戦略の課題 競争戦略とは、経営資源をもとに競争相手に対し差別的 な競争優位性を確立するための指針を決定すること。 課題1.競争者に対して、長期的にわたる持続的な差別優位をどの ように確保するか。 課題2.激変する市場環境に対して適切なタイミングで、戦略をどう 切り替えられるか。 2つの概念 市場とは 各社の事業の重なり合う部分 戦略グループとは 各社の事業、それぞれの競争戦略 課題1 競争者に対して、長期にわたる持続的な 差別優位をどのように確保するか。 ⇒他の戦略グループの企業や新規参入企業 の脅威から、移動障壁を高く築くことで競 争優位を保つことができる。 移動障壁 経済障壁 組織的障壁 戦略的障壁 経済的障壁 製品ラインの広さによる経済的障壁 垂直統合による経済的障壁 製品ラインの広さによる経済的障壁 例)自動車業界 製品ラインの広さ⇒各社の市場シェア、利 益率の格差、安定性の違いを生み出して いる。 上位企業と下位企業の違い トヨタ スズキ フルライン体制 特化 軽自動車~大型車 軽自動車 4年に1度のモデル チェンジ フルライン化によるメリット・デメリット(1) 〔メリット〕 市場の顧客の大部分を獲得できる。 製品流通や広告やサービス面で規模の利益 を得ることができる。 顧客、特に流通業者との取引を有利に展開 できる。 ラインの製品間で部品の共通化による利益 が得られる。 フルライン化によるメリット・デメリット(2) 〔デメリット〕 巨額の投資と危険を負担しなければなら ない。 例)自動車では1回のモデルチェンジだけで 100億を超える資金が必要であり、この多 額の投資資金によって下位企業のライン 拡張意欲がそれる。 垂直統合による経済的障壁(1) 垂直統合によって生まれるメリット 生産、販売、購入、管理などを同期化 することによるコスト削減 技術の修得 垂直統合による経済的障壁(2) 垂直統合によるデメリット 垂直統合のための必要資本量が必要にな る。 垂直統合でコストを削減するためには生産 の規模の経済性を得られなければならな い。 組織的移動障壁 企業組織の構造、特性自体のために戦 略グループ間を移動できない状況 企業組織の構造の違い 専門メーカー 研究開発とマーケティング面で生じる高い 危険性を積極的に負担できるよう、マネジャーを 方向付けする組織構造 全国ブランド企業 マネジャーが短期利益、キャッシュフローから 業績評価し、技術と市場の危険を進んで引受け ようとしない組織構造 結果 全国ブランド企業が専門メーカーに参入し、 市場を奪うには・・・・ 自身の組織を変更し、業績評価制度 を直さなければならない 戦略的障壁 別の戦略グループに移動しようとするとき に新しいグループで必要となる戦略が従 来の戦略と矛盾する時、他の戦略グルー プへの移動が困難になる キリンの戦略: 競合会社の新発売ビールに対して、追随しない ビールは生ビールという通念が広がっては ラガービールの市場が縮小する。 キリンが生ビールに参入すると今までの マーケティングとの矛盾が生まれる。 ⇒生ビール市場で競争している企業はキリン に戦略的移動障壁を形成できる。 課題2: 激変する市場環境に対して適切な タイミングで、戦略をどう切り替えるか ⇒「市場の知識体系」の変化に応じて、 タイミングよく戦略を合わせていくこと が必要になる。 その事が競争戦略を成功に導く上で 重要になる。 「市場の知識体系」の変化 生成 標準規格・業界の知識体系が決ま る前 発展 標準規格・業界の知識体系が決 まった後 安定 寡占メーカーが知識の独占を通じて 利益を上げる時期 衰退 業界の知識独占構造・利益独占体 制が崩れる時期 市場の生成期 新しい製品に対してどのような要素技術が必要 になるか どのような具体的なニーズが表面化するのか 「技術と市場についての知識の体系」についての理 解が市場のメンバーの間で共有されていない 標準化による競争優位性の変化 市場の発展期 製品が市場に浸透されるまでの時期であ る。 業界標準の決定によって生じて競争環境 が大きく変化する。 競合他社が参入してくるため、それらとの 差別化が必要となる。 市場の安定期 *寡占メーカーによる寡占体制 安定期に入った企業は、それまでの投資に見合っ た利益を取り戻さなければならない。 競争者は、激しいシェア争いと投資競争の中で 小数になる。 新たに多額の投資を行う必要がなくなる。 製品技術や工程技術に変更が起きる可能性が 小さい。 市場の衰退期 知識の衰退とは消費者ニーズも技術シーズも自己発展する可能性 が乏しくなっている。 新しい技術の 出現がない 生産がシステム化 され生産での優位性 は消失 PB(プライベート ブランド)の出現 PBの出現によって市場における、利益の分け前は大きく減少を始める。 知識体系の変化に伴う特徴・目的・戦略 特徴 売上 コスト 利益 顧客 競争者 マーケティング目的 製品 価格 生成期 低 高 成長期 安定期 急成長 ピーク 平均 低 マイナス 上昇 高 初期採用者 大衆 ほとんどなし増加 安定 シェアの 利益最大化 知名度アップ最大化 とシェア の 維持 ベーシック 製品拡張 多様な 製品 サービス、 ブランド、 保障 モデル コスト・ プライス法 浸透価格 広告 販促 選択的 初期採用者 とディーラー への知名 トライアルを めざし集中 実施 開放的 支出削減 弱小アイテム の カット 競合者対応 価格切り下げ より開放的 選択的:不採 算店舗の閉鎖 戦略 チャネル 衰退期 低下 低 低下 採用遅滞者 減少 大衆への ブランドの 知名と関心 差別的優位 性の強調 消費者需要 ブランド・ が大きいた スイッチを目 め削減 指し増加 コア顧客維持 必要水準まで 削減 最小限に削減 課題2のまとめ 企業にとって重要なことは、市場競争環境 の変化に対してタイミング良く、自らの競争 戦略を適合させる事。
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