ブランド品はいかにつくられるか • ━LOUIS VUITTONの場合━ はじめに • 街を歩けば、衣類、バッグ、時計など、 ファッション関連の有名「ブランド」商品が 目に飛びこんでくる。有名ブランド品を身に まとっていない女性を探すのが難しいほど だ。欧米を中心とした高級ブランド品が、 露店からブティック、デパート、スーパー マーケットまで全国至るところで売られて いる。 はじめに(2) • ルーズソックスの女子高校生までもがル イ・ヴィトンに限らず、高級なバッグをいと も簡単に買っている。 ところが、こうしたブランド人気をあざ笑う かのように、本物そっくりの偽造、模造品 が国内に大量に持ち込まれ、出回ってい るのである。 ブランドの魅力 • 「ブランド」ーこの言葉は、今や日常的に使 われており、目や耳にしない日はないと いっても過言ではない。 ブランドの魅力(2) • もともと商標、トレードマークを意味している言葉 である。しかし、「BRAND」は、英語の「Burn(焼 く)」が語源とされているのである。牧場で飼って いるウマやウシがよその牧場のウマやウシとま ぎれてしまわないように、目印のために尻に焼き ごてなどで印を付けたのが始まりである。これが のちに、製造元が自信をもって作り上げた商品 を他社の製品と差別化し、注目される手段として も使われるようになったのである。そして今では、 意匠(デザイン)、記号、シンボル、名前などが結 合したイメージとなっているのである。 ブランドの魅力(3) • なぜ、日本国内には有名ブランド商品がこ れほど満ちあふれているのだろうか。 • 貿易の自由化や円高、日本の国際的な知 名度の高まりなども手伝い、世界のすみ ずみから色々な商品が日本に輸入されて いる。なかでも、欧米を中心とするファッ ション関連のブランド品の輸入は年ごとに 増加している。 ブランドの魅力(4) • ブランド品増加の背景には、横文字に弱く、 西欧に対する強いあこがれがあるほど、 日本人特有の国民性を無視できないので ある。 • 人間には、洋の東西とを問わず、人の持っ ていないものを持ちたいという欲求や習性 があることは否定できない。 ブランドの魅力(5) • 日本のファッション関連商品が世界の一流 品に後れをとっている理由は、西欧風の生 活にあこがれる半面、純日本的な生活実 態から脱却できないことにあるのではない だろうか。それゆえ、有名ブランドを受け入 れる日本人の感覚や土壌には、「西洋に 対する強いあこがれ」があるのである。 ブランドの魅力(6) • 最近の女性たちの間に、皆と同じ格好をするの はおかしいという発想がなくなったと考えられる のではないだろうか。 • 自分に自信がなくてコーディネートの方法もわか らないから、最終的に安全策のブランド品に安住 してしまうのである。物を自分の目で選ぶ自信が ないから皆が持っているものに身を包んでおけ ば安心だと考えてしまうのだろう。 偽ブランドの実態 • 歴史と伝統、名声のある有名ブランドには、 商品の大小にかかわらず、全部ニセモノ があるといっても過言ではない。今や、ニ セモノが市場に出回っていることが有名ブ ランドの証明ともなっている。裏を返せば、 ニセモノのあるブランドが真の一流、有名 ブランドというわけなのである。 偽ブランドの実態(2) • ニセモノを最も数多く製造している国、地域として 台湾、勧告、タイ、イタリアが挙げられる。そして、 税制面で優遇されるバハマやパナマに本拠を置 く会社がイタリアで偽ブランド品を大量発生し、ほ かの欧州諸国を経て、大消費国である日本に輸 出するケースが多い。また、イタリアでのニセモノ 生産量はこの10年間で約11倍に増え、年間1 0兆リラ(約6000億円)規模に達しているともい われているのである。 偽ブランドの実態(3) • 偽ブランド品の取り締まりは、生命や財産 を脅かす刑事事件とは違い、枝葉のような 販売ルートをさかのぼらなくてはならない ため、捜査に時間と手間がかかるうえに実 りが少ないのである。何よりも肝心の被害 者であるはずの消費者に被害者意識が薄 いことが特徴だ。したがって、犯罪捜査の 面で優先事案となってないのが現状なの である。 偽ブランドの実態(4) • 仮にニセモノをつかまされた消費者がいても、 「だまされる方が悪い」との考えが支配的で、日 常的に犯罪捜査に忙しい警察にとっていまだに やっかいものなのだろう。 • 日本人の暮らしの中にまで、及んできているニセ モノは、もはや世界経済を脅かすばかりでなく、 人命をも奪いかねない事態になっていると考え られるのである。このことは十分に認識するべき ことだろう。 ブランドの価値観 • 今、ルーズソックスの女子高校生やOLがいとも 簡単にブランド品のバッグを持ち歩き、新社会人 の若者のサラリーマンがエルメスのネクタイをし め、ダンヒルのライターを使う。欧米人の大柄な 人種が愛用しているのと同じ衣類も着る・・・・・。 暮れになると、デパートのネクタイ売り場で有名 ブランド商品が若い男性に大量買いされることも 今や年中行事化している。欧米では、社会的地 位の高い人たちが愛用するエルメスが、日本で は忘年会の福引の景品になっている。しかしそ の大半が偽ブランド品である。 ブランドの価値観 (2) • 若者は偽ブランドでも小物であれば気にし ないのがほとんどである。バッグや人の目 に付きやすい物は本物であるが、キー ケースやタバコケースはあまり人の目に付 かないので、ニセモノを持っている人が多 いのである。 ブランドの価値観(3) • ニセモノを持っているひとの多くは罪悪感 はないのである。 • 有名ブランドが生き続ける限り、人間の欲 望や見栄を培養土として偽ブランド品もま た生き続けるのだろう。ブランドと偽ブラン ドは永遠に一心同体の関係なのである。 おわりに • 偽ブランド品の売り上げは、国内外ともに 暴力団やマフィアの重要な資金源になって いることは否定できない。日本はもとより 各国の警察、捜査当局は摘発に躍起と なっているのである。買うこと自体は犯罪 でこそないが、犯罪行為に加担し、暴力団 やマフィアに協力しているも同然といえる ことである。 おわりに(2) • 誰が悪いということでなく、今、一人ひとり がブランドについて冷静に考える必要があ るように思います。国内の偽ブランド事情 は姿かたちを変え、一層、複雑かつ巧妙 化し、深刻さを増しているのである。 • 偽ブランド品は買う人がいなくならない限り、 なくならないだろう。
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