陽子過剰中重核の 多様な励起状態における

sd 殻領域における
変形とクラスター構造
谷口億宇 (京都大学)
共同研究者
延与佳子 (京都大学)
木村真明 (筑波大学)
堀内昶 (大阪大学)
目次
1. はじめに
1. 核構造の多様性
2. 励起状態の有効相互作用依存性
2. 枠組み
1. 反対称化分子動力学 (AMD)
2. 変形とクラスター相対座標
3. 結果
1.
2.
の変形状態とクラスター構造
sd 殻核における多様な構造
40Ca
4. まとめ
はじめのはじめに
1. 殻
1.
2.
3.
p 殻: 陽子数(中性子数)が3-8。
sd 殻: 陽子数(中性子数)が 9-20。
f 殻: 陽子数(中性子数)が21-28。
2. 四重極変形度β, γ
1. β: 長軸と短軸の長さの比を表す指数 ( ≥ 0)
1.
2.
0: 球形
0.6: 1:2 変形(超変形)
2. γ: 非軸対称性を表す指数 (0°~60°)
1.
2.
3.
0°: プロレート(長細い軸対称: 〈x2〉 = 〈y2〉 < 〈z2〉)
60°: オブレート(平べったい軸対称: 〈x2〉 < 〈y2〉 = 〈z2〉 )
30°: 典型的な比軸対称(〈y2〉 = (〈x2〉+〈z2〉) / 2)
核構造の多様性
平均場の変形
(相関無し)
非常に広い範囲で重要
分子軌道構造
反転2重項
±
クラスター相対運動
相対運動励起
超変形
(空間的に強い相関)
??
3体クラスター
変形共存
40Ca
軽い核でのみ重要???
励起状態の有効相互作用依存性
構造
模型
有効相互作用
ハートリー・フォック法などの平均場計算では、
Skyrme力やGogny力が用いられるが、
それぞれのパラメータは基本的に基底状態の
物理量を再現するように決められている。
→励起状態の計算において、
→有効相互作用依存性が出る??
枠組み
変形平均場構造
(ハートリー・フォック法など)
クラスター構造
反対称化分子動力学
→ガウス波束の
→スレーター行列式
A{
(クラスター模型)
平均場の
変形
↓
四重極変形度β
クラスター
相対運動
↓
クラスター
重心間距離
}
“拘束条件” で
“自由度” を扱う
(Y. Taniguchi et al., PTP 112, 475 (2004))
40Caの変形状態と
クラスター構造
40Caにおける変形平均場とクラスター構造
通常変形
回転帯
通常変形 超変形
基底状態
統一的な研究は困難
回転帯 回転帯
超変形
回転帯
基底状態
α-36Ar
(E. Ideguchi et al., PRL 87, 222501 (2001))
α-36Ar
+
+
12C-28Si
様々な変形構造、クラスター構造の
波動関数の重ね合わせ
40Caの構造
通常変形回転帯には
通常変形回転帯及び
クラスター構造成分が
超変形回転帯を再現
40%含まれる
α-36Arクラスター構造
α-36Arの相対運動が
励起した状態
超変形状態には
12C-28Si成分が
60%含まれる
12C-28Siクラスター構造
(Y. Taniguchi, M. Kimura, Y. Kanada-En’yo and H. Horiuchi,
Phys. Rev. C76, 044317 (2007))
sd 殻核における多様な構造
励起状態の有効相互依存性
β変形に対するエネルギー面を
Gogny D1S, Skyrme SLy7, SIII について
比較した。
対象: 20Ne, 28Si, 32S, 24O
結果: 定性的には同じ性質
40Ca
のエネルギー面上に現れる構造と
有効相互作用依存性
通常変形状態
(ND)
超変形状態
(SD)
40Ca
のエネルギー面上に現れる構造と
有効相互作用依存性
β-γ平面に射影
ND, SD は
非軸対称変形
ND
SD
20Neのエネルギー面上に現れる構造と
有効相互作用依存性
α-16O
28Siのエネルギー面上に現れる構造と
有効相互作用依存性
12C-16O的
32Sのエネルギー面上に現れる構造と
有効相互作用依存性
16O-16O的
24Oのエネルギー面上に現れる構造と
有効相互作用依存性
プロレート
非軸対称
まとめとこれから
まとめ
1. 原子核は多種多様な構造が共存する、多彩な系である。
2. 40Ca の構造
通常変形状態にはα-36Ar、超変形状態には12C-28Siクラスター構造
成分が含まれる。
3.
sd 殻核の構造
1.
2.
βエネルギー平面上に様々な構造が現れる。
Gogny D1S, Skyrme SLy7, SIII ではβエネルギー平面は定性的
には同じ結果。
これから
まだきちんと理解されてない、f 殻やさらに重い核の “クラス
ター構造” を “変形構造との共存・混合” の観点から解
き明かしていく。