原子核物理学 レポート問題 担当:大塚孝治 2014 年 12 月 2 日 締め切り (1週間延長) フェルミガス模型による非対称エネルギーの導出 Weizs¨acker の質量公式には非対称エネルギーの項が含まれ、通常次のように書かれる。 Ea = aa (N − Z)2 4A (1) この項の係数 aa のおおよその値を、フェルミガス模型という簡単な模型を用いて求めてみよう。 一辺が a の立方体に閉じ込められ、相互作用をせずに自由に運動する核子多体系を考える。 (1) フェルミガス模型では核子はどのような状態を取るか、簡単に述べよ。 原子核では飽和性からその核子数密度 ρ0 は核子数 A によらず一定であることが知られている。 先ず、中性子数 N と陽子数 Z が等しく、質量数 A とは A/2 = N = Z を満たす場合を考える。 (2) 核子がフェルミ・ディラック統計に従うことを用いて、フェルミガス模型で表される原子核におけるフェ ルミ運動量 pF とフェルミエネルギー F を核子数密度 ρ0 を用いてあらわせ。体積を保存すれば、立方体と球を 同一視してよい。核子の質量は m とせよ。 (3) 一核子あたりの平均運動エネルギー ε¯ を pF を用いてあらわせ。 次に、中性子数 N と陽子数 Z が異なる一般的なフェルミガス模型を考える。ただし、上述の pF は核子数 A で 定義されるものとして、以下でも用いる。 (4) 中性子と陽子で区別することに注意して、それぞれのフェルミ運動量 pnF 及び ppF を、pF 、A、N 、Z を用 いてあらわせ。 (5) 中性子と陽子の一粒子あたりの平均運動エネルギーをそれぞれ ε¯n 、ε¯p として、それぞれ表せ。 このフェルミガス模型での原子核の全エネルギーは E(N, Z) = N ε¯n + Z ε¯p (2) と表せる。 (6) これまでの結果を用いて、E(N, Z) を pF 、A、N 、Z を用いてあらわせ。さらに N −Z A 1 に対して展開 し 2 次までの近似をとることで、式 (1) における aa の具体的な値を求めよ。ただし ρ0 = 0.165[fm−3 ] を用いよ。 ※ 課題の提出は、講義時となります。 平成26年11月25日 物理教務事務室 1
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