核分裂 千葉 豪 核分裂反応 核分裂一回あたりで放出される全エネルギー:約200MeV (ウラン235の質量と二つの核分裂片の質量の和の差に対応) ・核分裂片の運動エネルギー:~168MeV ・中性子:約2MeVのものが2~3個 ・即発ガンマ線:~7MeV ・ベータ線:~8MeV ・反ニュートリノ:~12MeV ・遅発ガンマ線:~7MeV 注:反ニュートリノは体系から逃げていくので、その分のエネルギーが体系に付与されることは無い。ただし、原子炉では中性子捕獲による ガンマ線のエネルギー発生があるため、そういうのを考慮すると、核分裂あたりのエネルギーを200MeVと見做しても問題ない。 核分裂反応 中性子数=陽子数 のライン 核分裂する ウランとか プルトニウムは このあたり 核分裂反応 中性子数=陽子数 のライン 核分裂する ウランとか プルトニウムは このあたり 核分裂片は この線に沿って生成 核分裂反応 核分裂片は中性子過剰核なので β崩壊により安定化する。 中性子数=陽子数 その過程で稀に中性子を放出 のライン →遅発中性子Delayed neutron 核分裂する ウランとか プルトニウムは このあたり 核分裂片は この線に沿って生成 遅発中性子放出の具体例 169 [ms] 2.49 [s] 24.5 [s] 遅発中性子を放出する核分裂片核種: 遅発中性子先行核Delayed neutron precursor 核分裂で発生する中性子 核分裂の際に励起状態の核分裂 片から発生する中性子 → 即発中性子 核分裂片がβ-崩壊したあとの核から発生する中性子 → 遅発中性子 核分裂で発生する遅発中性子 中性子の 結合エネルギー Qβ>Snのときに、遅発中性子の放出が可能 核分裂あたりの平均遅発中性子発生数 ・ウラン>プルトニウム ・質量数が大きいほど発生数が大きい 核分裂あたりの平均遅発中性子発生割合 ・ウラン-235でおよそ0.65% ・ウラン>プルトニウム ・質量数が大きいほど発生割合が大きい 遅発中性子先行核のグルーピングの例 注意: 左で挙げられているのは代表的な先行核 遅発中性子先行核のグルーピングの例 半減期(s) 55.9 22.7 6.2 2.3 0.6 0.2 核分裂スペクトルの比較 遅発中性子のエネルギーは、即発中性子より低い 即発中性子と遅発中性子のエネルギーの違いについて 核分裂直後: 核分裂片は非常に高い励起エネルギーを有して おり、中性子が容易に放出される(即発中性子) 高い励起エネルギーをまだ有しているため、 ベータ崩壊でより安定になろうとする。 ベータ崩壊後、結合エネルギーより高い励起 エネルギーが残っている場合に、中性子が 放出される(遅発中性子) 核分裂について補足(1)Scission (断裂) neutron 核が分裂する前の状態で中性子が生成する → scission neutron Scission neutronがどの程度の割合かは 現状でははっきり分かっていない(数%程度?) 核分裂について補足(2)Multiple-chance fission 中性子が入射して複合核が生成されて核分裂 → first chance fission (入射中性子のエネルギーが高い場合) 複合核から中性子が放出されたのち、核分裂 → second chance fission
© Copyright 2024 ExpyDoc