核分裂反応

核分裂反応
原子と原子核
「原子力図面集2014」より
中性子と原子核との様々な反応例
弾性散乱
散乱中性子
標的核
入射中性子
放射性捕獲
β、α
複合核
放射性崩壊
核分裂
複合核
核分裂
核分裂反応
核分裂片
複合核
核分裂
・ウランやプルトニウムといった重い原子核で起こる。
・この反応により、膨大なエネルギーを取り出す。
そのメカニズムについて考えよう。
安定原子核中の陽子数と中性子数
リチウム-7
ナトリウム-23
鉄-56
モリブデン-99
ウラン-235
陽子数p
3
11
26
42
92
中性子数n
4
12
30
57
143
トレンドは?
「原子力図面集2014」より
安定原子核中の陽子数と中性子数
リチウム-7
ナトリウム-23
鉄-56
モリブデン-99
ウラン-235
陽子数p
3
11
26
42
92
中性子数n
4
12
30
57
143
陽子数が増加すると、余剰中性子数も増加
→陽子間の電気的反発(斥力)が強くなるので、
安定を得るために多数の中性子が必要
(核力による引力)
核分裂反応
中性子数=陽子数
のライン
核分裂反応
中性子数=陽子数
のライン
核分裂する
ウランとか
プルトニウムは
このあたり
核分裂反応
中性子数=陽子数
のライン
核分裂する
ウランとか
プルトニウムは
このあたり
・核分裂により中性子が過剰な核がふたつできる。
・その後、β崩壊により中性子が陽子に変わって安定化。
・ごく一部、β崩壊のあとにも中性子を放出するものがあるが、ここでは省略。
核子の結合エネルギー
ヘリウム-4の原子核
陽子2個、中性子2個
ばらばらの状態
・原子核を構成している方が、ばらばらで存在するよりも質量の総
和が ∆ だけ小さい(エネルギー状態が低い:より安定)
・核子が結合していることによって失われているエネルギー(結合を
解くために必要なエネルギー)を結合エネルギーと呼ぶ。
・結合エネルギー は、質量欠損∆ と光の速度 を用いて
∆
で与えられる。
一核子あたりの結合エネルギー
このあたりの原子核の1核子あたりの
結合エネルギーが最大:「安定」
一核子あたりの結合エネルギー
質量数が60くらいの原子核が2つあ
るのと、質量数が120くらいの原子核
が1つあるのとでは、どちらがエネル
ギー的に高い?
一核子あたりの結合エネルギー
質量数が60くらいの原子核が2つあ
るのと、質量数が120くらいの原子核
が1つあるのとでは、どちらがエネル
ギー的に高い?
→ 重い原子核が2つに分裂するとエ
ネルギーが発生=核分裂
一核子あたりの結合エネルギー
質量数が30くらいの原子核が2つあ
るのと、質量数が60くらいの原子核
が1つあるのとでは、どちらがエネル
ギー的に高い?
一核子あたりの結合エネルギー
質量数が30くらいの原子核が2つあ
るのと、質量数が60くらいの原子核
が1つあるのとでは、どちらがエネル
ギー的に高い?
→ 軽い2つの原子核が1つに合体
するとエネルギーが発生=核融合
一核子あたりの結合エネルギー
8.2MeV
程度
8.5MeV
程度
全部ばらばら
7.5MeV
程度
A=250
A=150と100
問題:この図から、A=250くらいの原子核がA=100とA=150の2つ
の原子核に分裂した場合の放出エネルギーを見積もって下さい。
一核子あたりの結合エネルギー
核分裂反応で発生するエネルギー:約200 MeV
実際にはどのような形式で放出される?
核分裂反応
核分裂一回あたりで放出される全エネルギー:約200MeV
(ウラン235の質量と二つの核分裂片の質量の和の差に対応)
・核分裂片の運動エネルギー:~168MeV
・中性子:約2MeVのものが2~3個
・即発ガンマ線:~7MeV
・ベータ線:~8MeV
・反ニュートリノ:~12MeV
・遅発ガンマ線:~7MeV
注:反ニュートリノは体系から逃げていくので、その分のエネルギーが体系に付与されることは無い。ただし、原子炉では中性子捕獲による
ガンマ線のエネルギー発生があるため、そういうのを考慮すると、核分裂あたりのエネルギーを200MeVと見做しても問題ない。
核分裂反応
核分裂一回あたりで放出される全エネルギー:約200MeV
(ウラン235の質量と二つの核分裂片の質量の和の差に対応)
・核分裂片の運動エネルギー:~168MeV
・中性子:約2MeVのものが2~3個
・即発ガンマ線:~7MeV
・ベータ線:~8MeV
・反ニュートリノ:~12MeV
・遅発ガンマ線:~7MeV
正の電荷をもつ
核分裂片は強い
電気的斥力により
反発しあう(核力
(引力)はこの距
離では効かない)
注:反ニュートリノは体系から逃げていくので、その分のエネルギーが体系に付与されることは無い。ただし、原子炉では中性子捕獲による
ガンマ線のエネルギー発生があるため、そういうのを考慮すると、核分裂あたりのエネルギーを200MeVと見做しても問題ない。
核分裂片の運動エネルギーの伝播
原子の大きさは
10-8cm程度
核分裂片の運動エネルギーの伝播
原子の大きさは
10-8cm程度
核分裂片の運動エネルギーの伝播
原子の大きさは
10-8cm程度
核分裂片の運動エネルギーの伝播
10-3cm
原子の大きさは
10-8cm程度
核分裂片の運動エネルギーは、局地的かつ瞬間的に、媒
質の原子核の運動エネルギー(=熱エネルギー)となる。