キャリアで語る経営組織 第10章 事業を背負う ー組織変革とトップの役割ー テキスト243~305ページ プロローグ 世話になった上司があなたを執行役員として 引き上げてくれた。会社の転換期となりうるタ イミングで事業を背負うことになったのである。 振り返ってみれば,出世というのは不思議なも のである。上に立つまでは,部下としてある種 の従順さが求められるが,一度上に立つと,今 度はリーダーとして逆のことが求められる。既 存のしきたりや慣行のよさをわかったあなたも 積極的に変革するように期待される。 疑問10-1 (テキスト275ページ) 組織は変っていくものなのか, 変えられるもののか? 組織の変革 成長のライフサイクル 変化は生物のような成長プログラムに沿って起こる 生誕→成長→成熟→衰退 成長が一定のレベルに達すると危機が訪れる →危機を乗り越えたものが次の段階へ進む 組織は変えるものではなく、変わるもの 環境による淘汰 酒屋→コンビニ 環境に適応したものが生き残る 環境決定論的指向 →ではどうすれば良いのか 組織をどのようにして変えていけば良いのか トップによる働きかけ:戦略的変革アプローチ 第一段階:戦略を立てる 「なりたい姿」と「たどるべき行程」 第二段階:戦略を実行するために組織を動かす 有能な人の選抜 部署ごとの目標設定や責任に見合う権限 第三段階:実行された戦略をモニターする 現実とのギャップを埋めるアクション 目標を提示してそれを進めるー目標志向 目標志向の変革の考え方 1. 目標が組織の動きを決める 2. 目標の形成と実践の繰り返しによって環境への適 応が行われる 3. 目標を共有することでメンバーの利害と組織の利害 は統合される 4. 目標の形成の仕方によって創造性を発揮することも できる トップとしての最重要課題は目標設定である 戦略的変革アプローチの限界 図10-1 目標志向モデル (テキスト280ページ) 不満足 探索/ 相互作用 目標実行 目標設定/ 描写 (出所) Van de Ven and Pool [1995] p. 520. 立てられた戦略が机上の空論になりやすい 現場の納得感を得るのが難しく、上からの影響が及ぶ ところまでに変革は制限されがちである ミドルによる試行錯誤 図10-2 進化論モデル(テキスト280ページ) バリエーションの 発生 選択と淘汰 保 持 (出所) Van de Ven and Pool [1995] p. 520. 第一段階 ミドルの多様な試行錯誤を促す 第二段階 試行錯誤の中から適切なものを選ぶ 第三段階 選別されたやり方を定着させる 進化論的アプローチの限界 1. 選択・淘汰の段階での基準をどうするのか 1. 従来と同じ基準では変わらない 2. 組織としてのビジョンが定まりにくい 1. 定めてしまうとトップダウンになる 2. ミドルに任せている以上仕方がない 3. 局所的な変化が本当に大きな変化につながるのか 1. 組織全体への波及効果が本当にあるのか どこまでミドルに任せてしまって良いのだろうか 変革型ミドルの登場 これまでのマネジャータイプとの違い 業績を上げるのではなく、変革を行うリーダー 変革型ミドルマネジャーに求められる役割 信頼の蓄積(ネットワーキング) 新たなビジョンの提示 信頼の行使(ネットワークの活用) 変革型ミドルの特徴と限界 変革型ミドルのリーダーシップのポイント 戦略ビジョンの浸透 環境探査・理由付け 実験的試行の促進 実施時の極限追求・持続 フォロワーの成長・育成 コミュニケーションとネットワーク作り 限界 突出すればするほど組織で浮いてしまう →結果として波及しなくなる トップダウンとミドルによる変革の いいとこ取りはできないか 図10-3 レバレッジ4段階モデル フェーズⅡ フェーズⅠ ト ッ プ ・ レ ベ ル ミ ド ル ・ レ ベ ル 戦略的な ゆさぶり 変化の正当化と 促進 戦略的突出 (テキスト290ページ) フェーズⅣ 新しい戦略 ビジョンの形成 変化の増幅と 制度化 フェーズⅢ (出所) 竹内ほか[1986]381ページ。 レバレッジ・モデル 1. 戦略的なゆさぶり 1. 危機感を示す→衝撃的な事業投資、抜擢人事 2. ゆさぶりが行われる分野→コア事業 3. ゆさぶりの大きさ 2. 戦略的突出 1. 実績を出してもらう→そのための条件作り 2. 隔離と組織的障害の排除 3. 小規模で異質な集団づくり 3. 変化の拡散・増幅 1. 既存のやり方への不足を示しておく→変化の波及性 2. 次から次へと手を打つ→変化の継続性 4. 戦略ビジョンの具体化 1. 変化を適切な言葉で示す レバレッジ・モデル 変革の効果の大きさ トップのアクション 自己組織化能力 (出所) 竹内ほか[1986]379ページ。 トップとミドルの役割分担の重要性 変革の環境の整備→支点の取り方 トップによる周辺条件の整備 レバレッジ・モデルの限界 お見合い状態になる トップ「ミドルが動いてくれない、実績を残してくれない」 ミドル「トップが思いきった支援をしてくれない」 部分の変革を容易にすることで全体の波及が困難 になる 隔離すればするほど、孤立してしまう 疑問10-6 (テキスト300ページ) 本当に組織は変わらなければならないのか? 組織は変わらなければならないか? 変化の怖さ つまみ食いのリスク 及び腰のリスク 制度と原理の峻別 制度は変えても良いが、原理は変えない 初めて豚を食べた人の話 次回の問い 経営者の役割は何か?
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