GE01 DevOps 要旨 ©2014 Beacon Users` Group 1.はじめに 企業を

GE01 DevOps
要旨
1.はじめに
企業を取り巻く環境は目まぐるしい速度で変化している。経営における課題も市場変化
に合わせた早い解決が必要となっており、その手段の1つである情報システムに対しても
サービス提供速度の向上が要求される。IT部門では経営からの要求に対して新しい開発
手法、開発体制、ツールの導入などにより、サービス提供速度の向上を推進してきたが、
市場変化に追いつくまでには至っていない。
そのような時代背景の中、
「開発(Dev)と運用(Ops)が協力すれば1日に10回
以上のサービスリリースが可能になる。
」という概念「DevOps(デブオプス)」が、
2009年にアメリカで提唱された。日本でも徐々に浸透してきているものの、厳密な定
義は存在せず、一部の企業を除いて実践できていないのが現状である。
当研究会ではDevOpsとは何かを明らかにし、日本においてバズワード(buzz
word:流行しているが定義が曖昧な言葉)化しているDevOpsを多くの企業が理
解し、実践できるようにすることを目的とする。
2.DevOpsを理解する
一般的にDevOpsは「技術」
「文化」という2つの構成要素のもと、開発と運用が協
力する開発手法とされている。しかし、開発・運用という言葉には2つの意味が含まれて
いる。
・業務分掌における、開発「部門」と運用「部門」
・システムライフサイクルにおける、開発「フェーズ」と運用「フェーズ」
「誰が」
、
「いつ」という2つの意味が1つの言葉で扱われていることが、DevOpsの
理解を困難なものとしている。
そこで、当研究会ではDevOpsを、開発「フェーズ」と運用「フェーズ」の繋ぎ目
となる、テストやリリースといった移管フェーズの期間を短縮する開発手法であると解釈
した。
3.DevOpsの実態調査
DevOpsの研究を進めていく中でアメリカからの輸入ものであるDevOpsが一
部の企業を除いて実践できていないのは、日本ならではの課題があるのではないかと仮説
を立てた。
仮説の検証にあたり、ユーザ会参加企業に対して、DevOpsに関するアンケートを行
った。DevOpsのフェーズ、部門の混同からくる誤解もあったが、技術面以外の課題
が多く挙げられた。
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一方で、世の中にあるDevOpsの解説・事例は「技術」の話にとどまっている。
これらの結果から、多くの企業が抱えている課題と提供される情報が乖離しているため、
実践が進まないことが判明した。
当研究会では、その乖離した部分を日本の強みである組織的な対応で解決できないかと考
えた。
4.挑戦!!日本式DevOps
日本では古来より、個より「組織」を重視する傾向にある。日本式DevOpsとは「技
術」
「文化」に加え、
「組織」を加えた3本柱で構成されるものである。一人の天才に頼る
より、
「組織」で対応する方が日本の文化としては受け容れられやすい。
さらに当研究会では、日本式DevOpsを構成する各要素をどれだけ実現できている
か。つまり、どれだけDevOps的であるかを成熟度のような形で可視化することで、
日本式DevOpsの実践を容易なものとした。
5.最後に
日本式DevOpsとは企業の「技術」「文化」「組織」が最適化された状態。つまり、
単なる開発手法ではなく、企業のあり方そのものである。
当研究会の研究成果によって、開発と運用の新時代が到来することを祈るものである。
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