平成17年度卒業論文テーマ説明

海洋環境モデリング統合学分野の
活動内容(佐藤徹研究室)
新しい環境の創成
環境と開発を対立する二元論として捉えるのではなく、人工物シ
ステムの開発段階で、環境調和型システムを提案
具体性と実現性
哲学や評論ではなく、具体的な国や企業との研究プロジェクトを
遂行しながら、上記を追求
AnalysisとSynthesis
物理・化学・生態・生理・社会科学的モデルを駆使して現象を解
析し、さらにそれらを統合して環境影響や開発の有効性を評価
研究プロジェクト例
CCS(CO2地中貯留、海洋隔離)の環境影響評価
CO2ハイドレートによる海域地中貯留法開発
メタンハイドレート分解・生成モデル構築
メタンハイドレート生産に伴う閉塞現象の解明
バイオ燃料用の微細藻類培養フォトバイオリアクターの開発
海洋・湖沼環境再生手法の提案
CCSの環境影響評価
地震等により断層が出現すると地中帯水層に貯留した
CO2が海底面から海水中へ気泡となって漏出するリス
クがある。そこで気泡モデルと海洋モデルを組み合わ
せたマルチスケールモデルを用いてpH変化をを調べ
生物影響を予測する。
CCSの環境影響評価
Mesoscale (Hydrostatic model)
domain
Small domain
(Non-Hydrostatic
model)
3
CO2漏洩位置・漏洩量推定シミュレーション
逆解析法の一種のアジョイント法を用いて、
漏洩位置や量を確率的に求める手法を開発中。
赤点で漏出させた溶解CO2を青点のモニターが
検知した場合の漏出位置sである確率。
海洋汚染防止法により、CCS事業者は海中環境
のモニタリングが義務付けられている。万が
一、海中にCO2が漏出し、複数の定点観測点が
以上を検知した際、漏出位置や漏出量を発見
することは重要な課題である。
実際の設定値(正解)
放出位置
(i,j,k)=(48,33,7)
放出フラックス 約5.00E-5[kg/sec]
計算による推定値
放出位置
(i,j,k)=(48,30,6)
放出フラックス 4.89E-5[kg/sec]
4
メタンハイドレート
分解・生成モデルの構築
メタンハイドレート:貴重な国内エネルギー資源
メタンハイドレート分解に関する
物理・化学統合モデル
Inlet
10 cm
Sidewall
Outlet
3 cm
T =276.15K, f eq =3.54MPa
6.0E-04
Kim' Model
5.0E-04
New Model
2
Flux (mole/s.m )
Sidewall
1 cm
分解モデルを物理化学的に
正しくモデル化し、それを
数値解析法に導入、計算結
果と実験結果を比較するこ
とでモデル係数を求めた。
4.0E-04
Exp
3.0E-04
2.0E-04
1.0E-04
0.0E+00
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
Δf (MPa)
0.7
0.8
0.9
1
メタンハイドレート生成による
浸透率低下
MH存在形態と浸透率
直径200μmのガラ
スビーズが入った
微小スケール計算
領域にメタンガス
と水を充填。ハイ
ドレート生成モデ
ルを用いて計算領
域内にハイドレー
トを生成させ、発
生した熱量を出力
砂層中ハイドレート
生成シミュレーション
メタンハイドレート生産に伴う
閉塞現象の解明
砂泥互層界面における泥層浸食
砂粒子
砂層
泥層
O(10-4~10-5) m
泥層
メタンハイドレート生産に伴う
閉塞現象の解明
○砂泥互層界面の浸食実験とシミュレーション
実験用コア(上部が
砂層、下部が泥層)
泥層表面での
せん断応力分布
せん断応力分布のヒストグラム
(赤枠:臨界せん断応力以上になり浸
食される泥層表面積)
メタンハイドレート生産に伴う
閉塞現象の解明
○泥粒子凝集体の浸食実験とシミュレーション
流れの中に泥粒子凝集体を設
置し、浸食の様子を可視化し、
これと同じCFD計算から臨界
せん断応力と浸食率を算出
砂層内に砂粒子(数百μm)と
同サイズの泥粒子( 数μm )の
凝集体が堆積しており、これが
浸食されて流出する
泥粒子は電気力で凝集:表面
電荷を変えた実験が必要
メタンハイドレート生産に伴う
閉塞現象の解明
絶対浸透率
砂層のCT画像
気液相対浸透率
砂粒の充填
砂粒形状の復元
砂粒形状の球面調和級数展開
固液相対浸透率
細粒砂閉塞
微細藻類培養
フォトバイオリアクターの開発
微細藻類
体長数~数十ミクロンほどの微小な藻類
光合成を行う
様々な付加価値を持つ
有用藻類の発見→大きな可能性
微細藻類の種類
用途
クロレラ
健康食品
ナンノクロロプシス 不飽和脂肪酸EPA
ボツリオコッカス
バイオマス燃料
スピルニナ
ビタミン12
イソクリセス
DHA
ヘマトコッカス
アスタキサンチン
統合シミュレーション:
ヴァーチャルフォトバイオリアクターの開発
Light
z
7

18
x
Alga
Stirred and
lighted
Bubble
Unlighted area
流動計算から藻類の光量子
受量履歴を計算
光合成モデ
ルにより、
受光量履歴
から藻類成
長を予測
検証実験
大船渡湾堤防の防災と環境の両立
岩手県大船渡湾
出典:国土交通省東北地方整備局
 平成23年まで湾口防波堤が設置されてい。
 防波堤は海水交換を阻害。成層状態を形。底
層水が貧酸素水化、カキ養殖に損害
 防波堤は東日本大震災時の津波で大破
出典:大船渡湾水環境保全計画推進協議会
大船渡湾堤防の防災と環境の両立
水理歪模型実験
実験手順
堤防作成・設置⇒高波発生
・堤防(点T)への波到達と陸域浸水
(点A,B)とのタイムラグの測定
・陸域(点B)での波高計測
点B
点A
点B
点A
大船渡湾堤防の防災と環境の両立
海洋モデルシミュレーション(図は表層水温分布)