大気の力学(1) ー 物質微分 ーmaterial derivative • 流体の運動を記述する。 • A(x,y,z,t) の流体にそった時間変化 dA/dt を考える。 dA A A A A u v w dt t x y z 物質微分 局所微分 移流項 Material derivative Local derivative advection 保存量の移流 (advection of conserved quantity) ー 温位(P.T)を例として ー • 水平面上に温位傾度があり、風が吹いている。 • 暖かいほうから風が吹くと暖かくなる。 ーー>暖気移流 (warm advection) • 冷たいほうから風が吹くと寒くなる。 ーー>寒気移流 (cold advection) d 330K 320K 310K u 0 dt t 暖 :warm u t u 寒 :cold 連続の式 continuity equation • 流体の質量は流れに沿って不変である。 Mass is conserved d u 0 dt or u 0 t 発散があれば密度減少 Advective form divergence causes decrease in density フラックス形式 flux form 剛体の回転(rotation of solid body) ー 回転ベクトル(rotation vector) ー v r r • 地球大気は自転する地 球上にある。 • 地球に固定した座標系 で表現したい。 v r u y v x |V|=Ω r 剛体の回転 ー 回転ベクトル ー v r v r • 地球の回転角速度は? Angular velocity of earth rotation 7.292 x10-5 rad s-1 • 赤道の速度は?Speed at the equator 半径xΩ 6.37x106x7.292x10-5 =465m/s ニューステージ 新訂 地学図表 浜島書店 ニューステージ 新訂 地学図表 浜島書店 J時間t 経過すると y=Vt だ け移動する(実線矢印)。 地表はΩの角速度で回転し ているので角度はΩ t ずれ る。 ずれの距離は y Ω t であり、 即ち、Ω V t2 となる。 一定の加速度 a の移動距 離は、1/2 a t2 なので、y方 向(運動に直角右向き)の加 速度は、2 Ω V となる。 これをコリオリ力という。 F 2V • コリオリ力は、運動に北半球では直角右向き • コリオリ力は、速度に比例。 • コリオリ力は、地球の自転角速度Ωに比例。 • 緯度 では、水平面の角速度は sin 従って、単位体積の空気塊に働くコリオリ力は F 2 sin V f V , f 2 sin コリオリ因子 北緯30度で50m/s の物体が2秒進むとずれは? F 2 sin V f V , f 2 sin • Ω=7.292×10-5 rad s-1 北緯30度でのコリオリ因子 f 2 sin f = 7.292×10-5 s-1 • 風速 50 m s-1 なら 単位質量当たりの力は 3.65×10-3 m s-2 (加速度a) 2秒後は、100 m 進むが、1/2 a t2 ずれる。 0.5 × 3.65×10-3 ×22 = 7.3×10-3 = 0.0073 m = 7.3 mm 回転座標系での運動(1) motion at a rotationg cooardinate R dA P A o • A --- 静止座標系での ベクトル vector at restcoordinate • A’ --- 回転座標系での ベクトル vector at a rotating coordinate 回転座標系での運動(1) R dA’ dA R P A • A --- 静止座標系での ベクトル • A’ --- 回転座標系での ベクトル PR PQ QR dA ( A )dt (dA ) o 実際の変化=速度ベクトル+回転系での変化 回転座標系での運動(2) dA dA A dt dt dA dA A dt dt rA V V r V’ を(*)に代入すると、 (*) 回転座標系での運動(3) d (V r ) dV ' V' dt dt dV d dr r V' dt dt dt dV 0 V V' dt dV (V ' r ) V ' dt 回転座標系での運動(4) dV dV ' 2 V ' ( r ) dt dt 回転系での 加速度 慣性系での 加速度 コリオリ力 みかけの力 慣性系での運動方程式 dV 1 p g dt 遠心力 回転座標系での運動方程式 遠心力は重力に含める。 ダッシュは省略する。 1 dV 2 V p g dt 実際は球面上。 スケール解析で小さい項は落とす。 (Ro:ロスビー数、U/fL <1) 鉛直は静力学平衡。ー>プリミティブ方程式系 水平の運動方程式 • 気圧傾度力とコリオリ力が卓越する。 • コリオリ力はコリオリ因子(f)と速度の積に比例 • 時間変化項(加速度項)は非線形。 du 1 p 2 sin v dt x dv 1 p 2 sin u dt y d f 2 sin u v w dt t x y z latitude 鉛直座標系 vertical coordinates • p-座標系 • Log-p 座標系 • 座標系 • 温位座標系 p ps p-座標系 dp dt u v 0 x y p gz, pressure gradient force 地衡風バランス Geostrophic wind (balance) • 赤道付近や地表面付近を除く大規模な流れでは、 コリオリ力と気圧傾度力がほぼバランスしている。 これを地衡風という。 低 北半球 ug vg 1 f x p 気圧傾度力 コリオリ力 地衡風 高 y p 1 f 地衡風バランス Geostrophic wind (balance) • 赤道付近や地表面付近を除く大規模な流れでは、 コリオリ力と気圧傾度力がほぼバランスしている。 これを地衡風という。 低 地衡風 高 p ug y 気圧傾度力 1 p vg コリオリ力 f x 南半球 1 f 地衡風バランス Geostrophic wind (balance) ニューステージ 新訂 地学図表 浜島書店 地衡風の例題 北緯30度の500hPaで高度が5600mである。その北 100kmで5540mである。等高度線は東西に走って いる。その付近の風の方向とおおよその風速を求 めよ。 • 解答:風は地衡風に近い。p-系の式を使う。 • f=2×Ω×sin(30°)=2x7.292x10-5x0.5 =7.292 x 10-5 [s-1] ug=-{(-60)x9.8/105}/(7.292x10-5)=81m/s 80m/s の西風 傾度風バランス Gradient wind • 傾度風バランスは、コリオリ力、気圧傾度力と 遠心力のバランス L H 北半球の図 トルネードは、 高気圧の中心は 普通 なだらか 温度風 Thermal wind fu g y u g f p y p z g gRT g p p p u g R T u g R T f ln p f y p p y 温度風 Thermal wind • 下層から上層へ時計回り・・・暖気移流 • 反時計回り・・・寒気移流 v g V上 冷 VT 暖 R k pT ln p f or v g V下 R H * k pT z f 温度風 一般気象学第2版より 温度風の応用 [南北温度傾度の強い所で西風シアが大きい] [南北温度傾度がなくなる所がジェットの極大] ジェット 西風シア強い 温度風:風の順転(=暖気移流)、逆転(=寒気移流) 一般気象学第2版より 偏西風ジェットの説明 • 低緯度の方が高緯度より暖かいので、中緯度上空で は気圧の傾きが急になり、強い西風となる。 500hPaにおける高度と風(冬) 北半球 南半球 図19.5: (左)北半球冬季と(右)南半球冬季の各平均の500hPa等圧面における高度、 温度、風速の分布。気温の東西平均値からのずれが-4℃以下に影を4℃以上に点 描をつけた 平均(通常に近い状態) ブロッキング 図 19.6:1983年12月18日から27日までの10日間で平均 した500hPa等圧面における高度、温度、風速の分布。北 東太平洋上にブロッキングと呼ばれる高気圧がある。気 温の東西平均値からのずれが-4℃以上に影を-4℃以 下に点描をつけた。 風のバランス 地表面摩擦の効果 • 気圧傾度力、コリオリ力、摩擦力がバランスする。 • 低圧側へ等圧(高度)線を横切る。 • 低気圧で下層収束。 L 気圧傾度力 風 摩擦力 コリオリ力(風に直交) H 北半球 南半球 ニューステージ 新訂 地学図表 浜島書店
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