追加講義資料

基幹物理学IA演習
2014年6月12日
非慣性系での質点の運動
についてのメモ
ガリレイの相対性原理
y’
y
Oxyz慣性系
等速運動
v
P
(x, y, z, t)
(x’, y’, z’, t’)
O’
O
x, x’
z
z’
ガリレイ変換
x'  x  vt
y'  y
z'  z
t'  t
ニュートンの第2法則
d 2 x'
d 2 ( x  vt)
d 2x
Fx '  m 2  m
 m 2  Fx
2
dt '
d (t )
dt
同じ形
慣性座標系(お互いに等速運動する座標系)では運動法則は同じ。
力学の実験結果からは、系が動いているのか静止しているのか
2
言うことはできない。
慣性系に対し加速度αで運動している座標系
y’
y
Oxyz慣性系
等加速運動
α
P
(x, y, z, t)
(x’, y’, z’, t’)
O’
O
x, x’
z
z’
質点に働く見かけの力
(慣性力)
d 2 x'
d 2 ( x  vt )
d 2x
dv
Fx '  m 2  m
 m 2  m  Fx  m
2
dt '
d (t )
dt
dt
O’x’y’z’座標系での
運動方程式
2

d r' 
m 2  F  m
dt '
注) は質点
の加速度では
なく座標系の
加速度である。
[問]自由落下するエレベータのなかでみると、質点
の運動はどうなるか。(空気抵抗を無視する。)
[解]
エレベータに固定した直角座標系(xyz)を考える。
この座標系が加速度gで鉛直下向きに運動
d 2x
m 2 0
dt
d 2z
m 2 0
dt
d2y
m 2  mg  mg  0
dt
y
+ mg
- mg
x
z
自由落下するエレベータのなかでは、無重力状態が実現している。
コリオリ力
回転座標系における慣性力:
遠心力とコリオリ力
遠心力は静止している物体にも働くが、コリオリ力は動いている物体のみに働く

dr 
v
dt 
v
y’
y
O’-x’y’z’: 慣性系
O-xyz: 回転系
遠心力 f1
f1  mr 2
m

r

コリオリ力 f2
f 2  2mv
x
O
O’
Oxyz系はz軸まわりに回転
(z軸方向が角速度ベクトル
の向き)
動画引用:ウィキペディア
x’
コリオリの力は左回転する回転座標系では進行

方向に対して右向き(ベクトル積)
 
f 2  2m  v
フーコーの振り子
ごく長い(20m程度)の針金で重い金属球をつるし静かに南北へ振らせる。
周期は長く、おもりの運動はゆっくり。空気の抵抗は小さく、長時間にわたり揺
れ続ける。
(レオン・フーコーが1851年1月8日にパリのパンテオンで公開実験)
その揺れ方を観測すると、振動方向が右図のよ
うに少しづつ変化していく。
おもりの進行方向に対して右向きのコリ
オリ力を受けて振動面が時計まわり
地球は自転しており、地表に固定
した座標系が慣性系ではないこと
を示す良い証拠の1つ
北半球で、南北方向に揺らし始めた
振り子の振動軌跡
南半球でのフーコーの振り子
おもりの進行方
向に対して左向
きのコリオリ力を
受けて振動面が
反時計まわり
動画引用:ウィキペディア
台 風
北半球では、台風は反時計まわりの渦が生ずる理由はコリオリ力
にある。(南半球では逆向き)
コリオリ力(北半球では進行方向に対
して右向き)
合成速度
中心へ向かう風向
風は気圧の高
い方から低い
方へ向かう(赤
色ベクトル)
重力について再考
• 重力とは、地上で考えて静止している物体に働く力。
• 物体が運動し始めると、さらにコリオリ力が働く。


 dr
F  2m 
dt
• 物体を糸でつるして静止させれば糸は重力の方向を向く。
• 糸を切ってこの物体を放せば、あらたにコリオリ力が働くので、
正確に鉛直には落ちない。(その差はごくわずか)
地表に固定した座標系が慣性系でないことは明らかに
なったが、しかし、本力学の講義・演習では地上に固定
した座標系を慣性座標系として議論・考察を進める。