本資料の利用について 本資料は、「平成24年度特許庁大学知財研究推進事業」において、特許庁の委託 を受けた国立大学法人大阪大学 知的財産センターが開発したものであり、著作者 人格権は国立大学法人大阪大学に、著作財産権は特許庁に帰属しています。 本資料は、著作権法上認められる利用のほか、非営利目的に限り、改変・引用・ 複製・頒布を行うことができますが、これらの行為及びその内容に関する責任は利 用者自身が負うものとします。 本資料は、正確を期して開発したものですが、不正確な情報や、古くなった情報を 含んでいる可能性があります。 本資料を利用したことから生じるあらゆる損害・損失について、国立大学法人大阪 大学及び特許庁は、一切の責任を負いません。 営利目的での利用、翻訳の希望その他、不明な点がありましたら、以下へご連絡く ださい。 特許庁 企画調査課 活用企画班 03-3581-1101 (内線)2165 第12時限 その他の知的財産制度(1) 著作権 2 第12時限 目次 12-1 その他の知的財産制度 12-2 著作権制度 12-3 ウェブサービスにおける諸問題 3 12-1 その他の知的財産制度 実用新案権 電話機の構造に関する考案、 ボタンの配置や構造など 商標権 電話機メーカーやキャ リア各社が自社製品 の信用保持のため製 品や包装に表示する マーク 物品の構造・形状 の考案を保護 (出願から10年) 商品やサービスに 使用するマークを保 護 (登録から10年。 更新有) 特許権 新しい発明を保護 (出願から20年) リチウムイオン電池に関する発明 や、画面操作インターフェイス (ズーム・回転等)に関する発明、 ゲームプログラムの発明など 創作的な表現を保 護 (死後50年まで) 意匠権 電話機をスマートにした形状や 模様、色彩に関するデザイン、 画面デザイン(メニュー画面・ 数値入力画面・キーボード画面 等)など 著作権 着信メロディ、まんがの キャラクター、ゲーム、 音楽などの創作(表現) 半導体集積回路 の回路配置 物品のデザインを 保護 (登録から20年) 回路配置の利用を保 護 (登録から10年) 半導体集積回路の回路素子や 導線の配置パターンなど 4 12-1 権利対象 その他の知的財産制度 特許権 実用新案権 意匠権 商標権 音楽データ圧縮技術 ファイル管理方式 外装コーティング技術 イヤフォン音声制御技 術 パッケージの形 状、構造 本体外観 イヤフォン外 観 商品名(ロゴ) 音楽データ圧縮 方法名 +ノウハウ ○ 一つの製品に対し、様々な産業財産権の登録を行い 製品を保護。 ○ 通常は一つの製品に相当数の特許権が含まれている。 5 12-2 著作権制度 保護対象 手続 権利の効力 権利存続期間 特許 著作権 発明 (自然法則を利用した技術的思想の創 作のうち高度のもの) 著作物 (思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術 又は音楽の範囲に属するものをいう)(実験データ等は含まれない) 要出願手続 創作とともに自動的に発生(手続不要) 発明の業としての「実施」に対して及ぶ (発明品の生産、使用、譲渡等の行 為) 原作に依拠した著作物の「複製」「上演等」「公衆送信」等に及ぶ。 (コピー、公への公開、アップロード等の行為) 出願から20年 著作者の死後50年 研 究 ② 研 究 会 発 表 論 文 ・ 資 料 等 ①複製 ③ ア ッ プ ロ ー ド ①~③これらの各行 為に著作権が及ぶ 6 12-2 著作権制度の仕組み ①著作物の創作 ②著作者 ③著作者の権利 著作権 著作者人格権 ④権利制限規定(私的複製・引用等) ①~④の判断を踏まえて、 著作権侵害となった場合は、民事的救済・刑事罰等 7 12-2 著作権制度の仕組み ・著作権・著作者人格権の発生に出願等の手続は不要 著作権法17条2項 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の 履行をも要しない。 著作物を創作すると、自動的にその著作物に関する排他的な権利 を有することができる 一方で、他人の著作権を侵害してしまうと、 差止め、損害賠償といった大きなダメージを負うことに 「著作物とは何か」「著作権とは何か」を理解しておく ことがあらゆる場面において重要 8 12-2 著作物該当性 著作権法2条1項1号 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、 文芸、学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。 ① データ自体は× ② 実験で採取しただけのデータは著作物 にはならない。 (もちろん、著作物でないとしても倫理上 勝手な使用は許されない) ありふれたものや単純な表現は× ③ アイディア自体は× (Ex 論文のアイディア) 表現して初めて著作物として保護され る。 ④ 意匠法等で保護されるものは× (Ex 工業製品のデザイン) 9 12-2 (再掲)著作者 著作者とは、著作物を創作したものをいう 原則、創作したものが著作者となる。 例外として、 職務著作 (企業内創作に顕著)の場合、企業等が著作者となる。 要件① 法人等の発意に基づく 要件② 法人等の業務に従事する者 要件③ 職務上作成 要件④ 法人等が自己の著作の名義の下に公表する Ex 新聞社が記者に記事の執筆を指示した場合 ①新聞社が指示したことから、新聞社の発意といえる。 ②記者は新聞社に雇用されている ③記者の職務は記事執筆 ④新聞記事は新聞社の名義で公表される (プログラムの場合④は不要) 10 12-2 著作者の権利(著作権) 著作物の創作 絵を描く、小説を書くなど。 狭義の著作権(著作財産権) 著作者の権利の発生 複製する権利、上演・演奏する権利 譲渡する権利、翻訳・翻案する権利など 著作者の権利 著作者人格権 公表する権利、著作者の氏名を表示す る権利、著作物の同一性を保持する(意 に反する改変を受けない)権利 11 12-2 著作権 複製権: 著作物をコピーする権利 上演・演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権: 著作物を公衆に見せたり聞かせたりする権利 著作権 頒布権、譲渡権、貸与権: 著作物を媒体で公衆に提供する権利 翻訳権・翻案権等: 著作物を翻訳したり映画化したりする権利、及び結果としてできた翻訳文や 映画(二次的著作物)について利用する権利(原作の著作権者が保有する) *他人の著作物に依拠して(他人の著作物を知って)、これらの行為を許諾なく行うと、 差止めや損害賠償の責任を負うことになるため、注意! 12 12-2 著作者人格権 著作権とは別個に、著作者の「思い入れ」を守る権利 公表権 著作物を勝手に公開されない権利 他人の未公表の論文を勝手に公表してはいけない 氏名表示権 著作物に著作者の望む氏名を表示する権利 他人の著作物の名義を勝手に付したり変えたりしてはいけない。 同一性保持権 著作物の完全性を維持する権利 勝手に他人の著作物に手を加えてはいけない。 例:文章の「てにをは」や句読点を変更することすら同一性保持権の問題が生じる場合がある 職務著作の時、誰が著作者人格権を持つのか? ⇒創作した人ではなく、法人等である 13 12-2 例外的に利用ができる場合:権利制限 著作権の及ぶ範囲であっても、権利が制限される範囲がある。 例えば… 私的複製 個人的・家庭内に準ずる限られた範囲での使用を 目的とした複製は原則として許される。 例:個人の勉強のために、他人の論文をコピーしたり、 電子論文をHDDに保存又は印刷する行為。 引用 公正な慣行に合致し、 かつ目的にとって正当な範囲内で行われる必要がある 例:他人の論文の一部を自己の論文に引用する行為。 14 12-2 権利制限の類型 私的使用のための複製 図書館等における複製 引用 教科用図書等への掲載 学校教育番組、試験問題 営利を目的としない上演 Etc・・・ 権利制限規定は著作権に対するもので あり、著作者人格権については及ばな いことに注意! ⇒著作権侵害は回避できても、著作者 人格権侵害になることも! 15 12-3 諸問題:P2Pに関する著作権法上の問題点 要求 供給 要求 供給 フ ァ イ ル 共 有 ソ フ ト ソフトユーザ ファイルのダウンロード行為 :複製権侵害(私的複製にはあたらない) ファイルの提供 ・共有化している状態にしたとき :送信可能化権侵害 ・実際にダウンロードされたとき :公衆送信権侵害 ソフト製作者 →ユーザによる著作権侵害(複製権 侵害)を幇助することにあたるか? →否定されている。 16
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