建築材料科学

3.建築材料の密度

密度の支配因子

原子量


一般的に原子量(原子番号)が大きいほど、密度は大きい
Ⅰa→Ⅶa・Ⅷ族
:原子番号が大きいほど原子量大
 Ca(1.54), Ti(4.60), Cr(7.18-7.20), Mn(7.74), Fe(7.874)

Ⅰb→Ⅶb族
:原子番号が大きいほど原子量小
 Cu(8.94), Zn(7.13), Ga(6.907), Ge(5.32)

原子の配列状態

最密充填を得るための必要条件
 原子が空間的に自由に配置し得る(金属結合、イオン結合)
 侵入型固溶体の合金の密度>母相金属の密度
 プラスティックは重くなり得ない
 共有結合
 線状・網状構造
 原子量の小さいC, H, O, Cl, Nなどの元素で構成される
3.建築材料の密度

密度の支配因子

材料の組織構造



稠密組織
細胞組織・繊維集合組織
プラスティックフォーム
 発泡前の密度
 発砲後の密度
 発泡材の実績率
:密度大
:密度小
0.8~1.4g/cm3
0.012~1.20g/cm3
1~25%
3.建築材料の密度

かさ特性

稠密組織(金属、密実なガラス、プラスティック)


真の密度=質量/真の体積
気孔組織・複合集合組織






プラスティックフォーム:真の体積=発泡前の体積
木材・軽量コンクリート:真の体積=粉末にして測定した体積
見掛けの密度=質量/見掛けの体積
見掛けの体積=空隙を含む体積
実積率(%) =(見掛けの密度/真の密度)×100
=(真の体積/見掛けの体積)×100
空隙率(%) =100-実積率
3.建築材料の密度
3.建築材料の密度

かさ特性

粉粒体の場合




見掛けの体積=粒の外周体積
単位容積質量
=一定容器に詰めた質量/粒間の空隙を含む
かさ体積(容器の容量)
実積率(%)=(単位容積質量/粒の見掛けの密度)×100
粒の見掛けの密度=粒の状態で(粉末とせずに)測定した密度
3.建築材料の密度
粉粒体の充填
3.建築材料の密度

最密充填

球の場合

直径の等しい球の場合
 体心立方格子
 実積率= 


3
24 / 3r / 4r / 3   100  68(% )
3
空隙率=32%
 面心立方格子
 直径の等しい球の場合の最密充填状態、証明:1997
3
 実積率= 
3



44 / 3r / 4r / 2   100  74(% )
空隙率=26%
 稠密六方構造も最密充填状態
 任意の球に接する球12個

3.建築材料の密度
3.建築材料の密度

最密充填

球の場合

直径の異なる球の場合
 実積率を高めるには
 最初に直径の一番大きい球を最密充填
 残りの空隙を次の大きさの球で充填
 Fuller&Thompsonの最大密度曲線
 骨材の場合
 一般的に細骨材率が45%前後で最密充填となる
3.建築材料の密度

密度と強度・弾性係数

同一組成の材料

密度大→実積率大→強度大
コンクリートの場合
無機質軽量板の場合

引張材(長さl、断面積A、質量W、密度ρ、引張強度σt)


 最大荷重(Pmax)∝比強度(σ/ρ)
 W    t  W 
    
Pmax   t A   t 
   l     l 
 一定の伸びを与える引張荷重(Pt)∝比弾性係数(E/ρ)
AE t  W  E t   E  W t 

Pt 
 
    2 
l
   l  l     l 
3.建築材料の密度
3.建築材料の密度
3.建築材料の密度

密度と強度・弾性係数

同一組成の材料

梁(幅b、せいh、単位長さ質量W、曲げ強度σb)
 抵抗曲げモーメント(幅b=c1一定の場合)
M max
  b  W 
c1h 2
1 Wh

b 
 b    h  
6
6 
 
 6 
 抵抗曲げモーメント(せいh=c2一定の場合)
M max

 W 
bc2 2
1 W c2

b 
 b   b  c2  
6
6 
 
 6 
3.建築材料の密度

密度と熱伝導率

同一組成の材料


密度の増大→実質部分の増加→空隙部分の減少→熱伝導率の
増加
繊維集合組織・プラスティックフォーム

ある値の密度で、熱伝導率が最小値
3.建築材料の密度
3.建築材料の密度
3.建築材料の密度

密度と比熱

元素の密度の増大→比熱の減少
3.建築材料の密度
3.建築材料の密度

密度と吸湿・吸水量

木材


密度の増大
→細胞の実質部の増加
→吸湿量(繊維飽和点以下の吸水量)の増加
→空隙の減少
→飽水量の減少
岩石

密度の増大→密実→吸水量の減少
3.建築材料の密度

細粒(土・砂)の含水膨張


含水→表面に水膜を形成→見掛け上膨張→単位容積質
量の減少
細粒の膨張現象は、固体・液体・気体の3相が共存する
場合に生じる


乾燥した砂のかさ体積=水中の砂のかさ体積
湿った土砂の計量は要注意
 含水率の変化によって実質量が変化する
3.建築材料の密度
3.建築材料の密度