青山学院大学社会情報学部「統計入門」第１回ホーエル『初等統計学』第１章統計的方法の性質寺尾敦青山学院大学社会情報学部 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp Twitter: @aterao 1 統計学の目的 • 統計学の目的：データから有意味な情報を取り出すこと． – 多くの場合には，母集団に関する推論を行うことを意味する． – 統計的方法とは母集団に関する結論を標本から引き出す方法である．（テキスト p.3） 2 母集団と標本 • 母集団（population）：興味のある対象全体．性質を明らかにしたい対象集団．観測値の原泉（テキスト p.3）． • 標本（sample）：観測値の集まり（テキスト p.3）． • 母集団の一部を標本として取り出し，取り出された標本（データ）に対して統計的手法を適用することで，母集団に関する結論を引き出す．比喩：スープの味見 3 母集団の例 • 選挙での，有権者（あるいは投票者）全体． – 選挙速報は，一部の有権者に対する出口調査や開票結果から，母集団での支持割合（得票数）を推測する．（テキスト p.5 例 (a) 参照） • 特定の年齢層の子どもを対象とした薬物を開発するときの，その年齢層の子ども全体． – 何人かの子どもに対して実験を行い，薬物の効果を検証する．（テキスト p.5 例 (b) 参照） 4 全数調査と標本調査 • 母集団全体からデータを取ることは大変な手間がかかることが多い． – 調査では，全数調査あるいは悉皆（しっかい）調査と呼ばれる（complete survey）．例：国勢調査 • 母集団から「うまく」標本を抽出すれば，比較的小さな標本でも，母集団に関する精度の高い推測が可能． – 無作為抽出（random sampling）を行う．（テキスト第６章） 5 記述統計と推測統計 • 記述統計（descriptive statistics）：データの収集，要約に関する統計学（テキスト p.4）．得られたデータを要約する． – 標本データの要約 – 小さな母集団（学級など）でのデータの要約 • 推測統計（statistical inference）：母集団に関する結論を引き出す統計学（テキスト p.4）． 6