トピックマップによる ブックマーク情報の共有 07TA569D 貫井 英泉 ( NUKUI Hidemoto ) 2009.02.07 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 目次 研究の背景 研究の目的 トピックマップ技術 オントロジーとの相違点 XTM(XML Topic Maps)形式への変換 XTM形式でのマップ表示 まとめ 今後の課題 2009.02.07 -1- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 研究の背景 ① インターネット検索サイトでの検索結果では、 列挙されている(上位ランクの)Web サイトに 欲しい情報が記載されているとは限らない。 インターネット検索の効率を高める情報源と して、ブックマーク情報(お気に入り)は有用 な知識集合のひとつと考えられるが、現状の ブックマーク情報は個人の範囲内で利用さ れる場合がほとんどである。 2009.02.07 -2- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 研究の背景 ② 近年はソーシャルブックマーク(SBM)といっ たブックマーク情報の共有によって、効率的 に欲しい情報へアクセスできるサービスも存 在する。 しかし現在、これらサービスであっても、自ら のブックマークと他人のブックマークとでマー ジを行ったり、視覚的なマップ表示で判り易く させることは未だ行われていない。 2009.02.07 -3- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 研究の目的 ① 2009.02.07 現状のブックマーク情報が共有されるレベル は、自らのブックマークを公開したり、他者の ブックマークを参照できるまでである。 -4- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 研究の目的 ② 他者のブックマーク情報とのマージ、つまり 同じURLのブックマーク情報を重複なく共有 できれば、検索効率が向上すると考えた。 → 問題点1 2009.02.07 -5- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 研究の目的 ③ ブックマーク情報を視覚的にマップ表示させ るサービスは未だ無く、各ブックマーク間の 関係を直感で理解するため有用と考えた。 → 問題点2 各ブックマーク情報の間には、明記されず暗 黙知となってしまっているコンテキスト(文脈) が存在する。それらを形式知としてメタデータ 化する手法は、未だ確立されていない。 → 問題点3 2009.02.07 -6- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 研究の目的 ④ 問題点1~3を実現させて、一般利用が可能となる ようにインターフェース設計されたソーシャルブック マークサービスは未だ存在しない。 → 問題点4 現状のソーシャルブックマークの主な機能 2009.02.07 ブックマーク情報をネットワークストレージへ保存させて、 分類や検索ができる。 同じ目的を持つグループにてブックマーク情報を共有で き、不特定多数への一般公開もできる。 或るブックマーク情報の登録数を知ることや、ブックマー ク情報が示すコンテンツへの意見を共有できる。 -7- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 研究の目的 ⑤ 問題点1~4の全てを実現できる手段を調査 して、トピックマップ(Topic Maps)技術の利用 を検討した。 本研究ではまず、問題点1~2の解決を目的 として、既存ブラウザでのブックマーク情報を トピックマップへ変換させ、既存ツールでの 表示を確認していくこととした。 2009.02.07 -8- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 トピックマップ技術 ① トピックマップ(Topic Maps) は、利用者のも つ概念体系に合わせて情報を分類し、整理 するためのISO標準規格であり、情報の“ 見 つけやすさ” の実現に重点を置いている。 トピックマップの中心的な概念は、本の索引 の概念に基づいて、コンピュータネットワーク 上の情報空間に対する索引の一種に例える ことができる。 2009.02.07 -9- 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 トピックマップ技術 ② 本の本体と索引のように、コンテンツの集合 と知識マップから成る、二層の構造を考え、 それぞれを情報層、知識層とする。 知識マップ (本の索引に相当) コンテンツの集合 (本の本体に相当) 2009.02.07 - 10 - 知識層 情報層 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 トピックマップ技術 ③ 知識層 情報層 現在 (膨大な情報が孤立して 存在している状態) 2009.02.07 トピックマップは情報層から独立し、 共有、交換、流通が可能。 - 11 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 トピックマップ技術 ④ 知識層には、3つの要素がある。 トピック(主題、任意の概念) 関連(トピック間の関係) 出現(トピックと情報リソース間の関係) トピックマップはXMLベースでも記述が可能。 XTM(XML Topic Maps) その他の形式 LTM(Linear Topic Map Notation)、など 2009.02.07 - 12 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 トピックマップ技術 ⑤ トピック “ナガノ革命638日” トピック“ヤッシー” トピック “長野県知事” トピック “田中康夫” 関連“著す” トピック 出現 関連“愛称” “なんとなく、クリスタル” 関連“著す” 出現 出現 関連“前任する” 出現 WEB サイト 出現 新聞 写真 jpg 2009.02.07 html 知識層 情報層 本 WEB サイト html 写真 jpg - 13 - WEB サイト 本 html 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 オントロジーとの相違点 ① オントロジーについて 「概念」の集合 概念のis-a関係による階層化 is-a関係以外で必要となる概念間の関係 上位概念 is-a 下位概念 2009.02.07 全体 概念 概念 part-of instance-of attribute-of 部分 具体 属性 - 14 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 オントロジーとの相違点 ② コンテキストについて 概念間の関係、文脈 「IT用語」コンテキスト 「警備用語」コンテキスト IT用語 警備用語 is-a パソコン is-a is-a セキュリティ is-a セキュリティ 防犯カメラ 「セキュリティ」は、IT用語であると同時に警備用語でもある 2009.02.07 - 15 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 オントロジーとの相違点 ③ トピックマップはオントロジーの構造をそのま ま表現できる。 概念間の関係を「関連」として記述できる。 2009.02.07 概念 概念間の関係 概念 トピック 関連 トピック - 16 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 オントロジーとの相違点 ④ 「IT用語」コンテキスト IT用語 警備用語 パソコン セキュリティ 防犯カメラ 「警備用語」コンテキスト 2009.02.07 - 17 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式への変換 ① XTM(XML Topic Maps)とは、XML形式にて トピックマップを記述するための構文で、ISO 規格化されている。 ブックマーク形式(NETSCAPE-Bookmarkfile-1)を、XTM形式へ変換するためのバッチ プログラムをAWKにて制作し、その結果を OKS(Ontopia Knowledge Suite)評価版にて マップ表示した。 2009.02.07 - 18 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式への変換 ② 前提条件 ブックマーク形式での階層構造は想定しない。 XTM形式への変換方針は表1のとおり。 ブックマーク形式 XTM形式 名前/タイトル <baseNameString>タグ HREF属性 <subjectIndicatorRef>タグ ADD_DATE属性(数字10桁) 各トピックのトピックID 表1.XTM変換方針 2009.02.07 - 19 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ① 2009.02.07 OKS(Ontopia Knowledge Suite)トップ画面 - 20 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ② 2009.02.07 XTMファイル管理画面 - 21 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ③ 2009.02.07 XTMファイル内容の参照画面 - 22 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ④ 2009.02.07 マップ表示画面(XTMファイル1種のみ) - 23 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ⑤ 2009.02.07 XTMファイルのマージ(併合) - 24 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ⑥ 2009.02.07 マップ表示画面(XTMファイル2種をマージ) - 25 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ⑦ 2009.02.07 問い合わせ入力画面(tolog) - 26 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 XTM形式でのマップ表示 ⑧ 2009.02.07 問い合わせ結果表示(tolog) - 27 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 まとめ ① トピックマップ技術を利用することで、自らと 他者とのブックマーク情報において、マージ された上での共有が可能となって、視覚的な マップ表示や検索も可能となることを示すこ とができた。 ただし本研究では、2つのXTMファイルを対 象に、1個や2個程度のトピックがマージされ た状態までの確認に留まった。 2009.02.07 - 28 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 まとめ ② 数多くのブックマーク情報が共有され、 検索効率が更に向上されることが理想。 2009.02.07 - 29 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 今後の課題 ① XTM変換に関する課題(→問題点3) 通常のブックマークはフォルダで階層化されて 整理されている。 ⇒ブックマークのフォルダ階層はトピックマップの スコープ属性を利用することを検討。 ブックマークのコンテキスト情報が未だ暗黙知と なったままになっている。 ⇒ブックマークのコンテキスト情報を、少しでも 形式知へ変換させたい。 2009.02.07 - 30 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 今後の課題 ② インターフェースに関する課題(→問題点4) OKS評価版を使用したが、実際のブックマーク 情報の共有に適うインターフェースではない。 オープンソースのトピックマップアプリケー ション開発用ミドルウェアなどを使用し、独 自にインターフェース設計したブックマーク システムを構築し、精度ある評価を行って いきたい。 2009.02.07 - 31 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 今後の課題 ③ インターフェースの改善点 他のブックマーク形式からのXTM変換ではなく、 直接にXTM形式で保存できるようにする。 ブラウザ上で快適にアクセスできるよう、軽量に トピックマップのグラフ図をマップ表示する。 マップ上のトピックをマウスでクリックすると、設 定されたURLへ直接アクセスできるようにする。 トピック自体や、トピック間のコンテキストについ て、入力や変更削除が可能となるよう配慮する。 2009.02.07 - 32 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻 以 上 2009.02.07 - 33 - 信州大学大学院工学系研究科情報工学専攻
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