パフォーマンス報告 ガバナンス 研究開発と知的財産 地球規模の社会課題に対し、360度マーケティングで市場やお客様の声に常に耳を傾け、東芝の「技術」で課題解決につながる新 しい価値を創造、提供することにより、安心・安全・快適な社会を実現します。また、グローバルな知的財産戦略により、研究開発 の成果を最大限活用していきます。 中長期目標 2014年度の成果 製品の提供に加えて、製品とサービスの融合などか 新たな価値創造を加速するため、複数の研究開発部 ら実現される新しい価値の創造で社会に貢献するこ 門を新組織に統合し、社内の総合力をより発揮でき とをめざします る体制に改革しました。 今後の課題と取り組み エネルギー、ストレージ、ヘルスケアの3事業領域を中心に、ソリューションやサービスの融合で新たな価値を生む「ニ ュー・コンセプト・イノベーション」を推進するための、研究開発を進めていきます。さらに、これまで以上に新しい価 値を短期間で社会へ提供するために、社外との連携を積極的に進めていきます。 研究開発 研究開発戦略 東芝グループは、社会の課題をエネルギー、ストレージ、ヘルスケア領域を中心に解決し、安心、安全、快適な社会 Human Smart Community の実現をめざします。360度マーケティング ※ で社会の潜在ニーズや課題をいち早く発掘し、革新技術を創出 する「バリュー・イノベーション」、東芝グループの幅広い技術資産を多方面に活用することで相乗効果を発揮させる「ニュー・コ ンセプト・イノベーション」を推進し、新たな価値を創出していきます。 エネルギー領域では、従来エネルギーのさらなる安定供給と効率のよい活用を進めます。また、新たに水素を活用した低炭素化を実 現する製品、サービスを提供することで、CO 2 排出量を抑制し、地球環境に貢献していきます。ストレージ領域では、飛躍的に増 大する情報量に対応すべく、大容量ストレージ技術をさらに強化し、これをベースとした情報システムやデータセンタを構築し、ク ラウド基盤を提供することで社会に貢献していきます。ヘルスケア領域では、「診断・治療」だけではなく、東芝グループが保有す る広範囲の技術を融合することで「予防」、「予後・介護」、「健康増進」に貢献し、みんなが健康でいきいき生活できる社会の実 現をめざします。 今後、人口増加や地球環境などグローバルに取り組むべき課題は多岐にわたり、複雑化していきます。より多くの課題を解決し、社 会に貢献していくために、社外との連携を強化し、新しい技術やサービスの取り込みを行うことで研究開発を加速していきます。 ※ あらゆる方向へ事業化のアンテナを張って、東芝の技術が活かせそうな未開の市場を開拓し、新規事業への参入をめざすもの 東芝グループCSRレポート2015 73 社外との連携 災害時におけるエネルギーの供給に向けて(2014年11月) 水と太陽光のみで稼働し、災害時にライフラインが寸断された場合でも、自立して電気と 温水を供給できる自立型エネルギー供給システムの実証実験を行う協定を川崎市と締結し ました。 このシステムは、再生可能エネルギーと水素を用いた世界初の自立型エネルギー供給シス テムです。 2014年度活動のハイライト1 水素エネルギーの活用 水素を用いた自立型エネルギー供給シ ステム データのさらなる大容量化に向けて(2015年3月) 世界で初めて48層積層プロセスを用いた3次元構造のフラッシュメモリをサンディスクと 共同開発しました。今後も最先端の微細化技術や3次元フラッシュメモリの開発を進め、 コンシューマ製品やデータセンタ市場で継続して求められるメモリの大容量化、小型化な ど多様な市場ニーズに対応していきます。 2014年度活動のハイライト2 ICTの高度利用 3次元フラッシュメモリ 個別化予防・個別化医療の加速に向けて(2014年12月) 国立大学法人東北大学とともに日本人ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ® ※ 」を用い て、血液、唾液、DNA検体などから短期間で安価にゲノム構造を解析するサービスを開始 しました。手頃なコストで個人のゲノム情報を得られることで、個々人に合わせた個別化予 防や個別化医療が身近なものになり、多くの人がサービスを受けられるようになります。 ※ジャポニカアレイ®は東北大学東北メディカル・メガバンク機構が構築した「全ゲノム リファレンスパネル」を基に、COI東北拠点が社会実装した日本人ゲノム解析ツールで す。なお、ジャポニカアレイ®は国立大学法人東北大学の登録商標です。また、COI東北 拠点とは、2013年10月に採択された、独立行政法人科学技術振興機構の公募型研究開 発プログラム「センター・オブ・イノベーション (COI) プログラム」の東北拠点です。 ジャポニカアレイ® 2014年度活動のハイライト3 ヘルスケア事業 海外大学との共同研究・開発 グローバルな課題に対して、各国での視点を取り込むことをめざし、現地大学との共同研 究・開発と将来を見据えた人財育成の支援を進めています。中国清華大学とはエネルギ ー・環境に加え、ヘルスケア、半導体分野での共同研究を行っています。インドIITマドラ ス校とはエネルギー分野での共同研究などを行っています。このような共同研究を通し て、現地の環境に応じた社会貢献ができる商品・サービスの創出をめざします。また、将 来へ向けた人財育成の支援として、ベトナム国家大学、ブラジル サンパウロ大学への奨学 金制度も実施しています。 清華大学の成果発表会 (株)東芝 執行役専務 西田(左)、 清華大学 史党副書記(右) 東芝グループCSRレポート2015 74 知的財産 知的財産基本方針 東芝グループでは「知的財産権に関する法令を遵守すること」「会社の知的活動の成果を知的財産権によって保護し、積極的に活用 すること」「第三者の知的財産権を尊重すること」を知的財産の基本方針として、「東芝グループ行動基準」で定めています。 東芝グループ行動基準 12. 知的財産権の尊重 中でも、研究開発成果である知的財産権を最大限に活用するために、エネルギー、ストレージ、ヘルスケア領域を中心に東芝の事業 を牽引する革新技術に関する特許網の構築をめざしています。とりわけ、事業のグローバル展開を見据えて、海外における知的財産 権の取得・活用を強化しています。 模倣品対策 東芝ブランドは、東芝グループの企業価値や東芝グループが提供する商品などの価値を象徴するものです。東芝製品の模倣品を放置 することは、東芝のブランド価値や社会的信用を脅かすだけでなく、純正品と誤認して製品を購入されたお客様の期待に応えられな いおそれがあります。そのため、模倣品排除に努めるとともに、国内外の模倣品対策団体とも連携し、現地の政府機関などに対し取 締強化を積極的に働きかけています。 技術移転による社会貢献 東芝は、特許などの知的財産権を公開し、技術流通の促進を図ることで地域産業の発展に貢献する取り組みを行っています。公開の 対象となる知的財産権は、インターネット上の東芝知的財産有償公開ページを通じてご覧いただけます。2014年度7月には川崎市 の技術交流会(「かわさき知的財産シンポジウム」)に参加しました。東芝の技術を広く公開し地域産業の発展、ひいては地域社会 に貢献できるよう、今後もこのような活動に取り組んでいきます。 知的財産有償公開ページ 社外からの評価 項目 評価 時期 「Top100 グローバル・イノベータ― 2015」に 選出(2011年から5年連続) 2015年11月 トムソン・ロイター 「Top100 グローバル・イノベータ―・アワード2015」 トムソン・ロイターホームページ 東芝グループCSRレポート2015 75
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