製品、アイデアの販売企画

精神分析状況論
フロイトの分析状況についての仕事
第一期:精神分析の前身(催眠療法)から
抵抗の除去を目指した、短期的、集中的
な治療の時期
 第二期:基本原則の明確化による、転移
神経症の発見の時期
 第三期:タナトスと悲観主義:治療の長期
化と終わりなき分析についての着想

初期のフロイトの思索
できるだけ効果的に抑圧を解除すること=
抵抗の分析と克服
⇒短期力動療法
1925年からシフニオスやアレキサンダー
の仕事を基盤として、1970年代にMalanと
Davanlooとが出会って、短期力動療法が
爆発的に進歩した。

短期療法のエッセンス1
短期療法のエッセンス2
抵抗解除の中心力動シークエンス
治療の最初に患者の訴えを探索して、報告されている問題の
特定の例を調べる。
2. 現在の訴えのなかにある感情を体験することにプレッシャーを
かける。患者の特徴的な防衛を導く。
3. 防衛についての仕事
a.
防衛の同定(あなたの話は漠然としていることに気が付い
ていますか)
b. 防衛の機能を明確化する(漠然とさせることで、自分の感
情を避けているのがわかりますか)
c.
結果を吟味する(漠然としたままで感情を避けていると、あ
なたの問題の原因を発見できません)
1.
4.
5.
6.
7.
防衛についての仕事が(防衛が軽い患者たち
では)基盤となっている感情に到達する、あるい
は(中程度の防衛、あるいは防衛が強い場合)
複雑な転移感情が起きて、転移抵抗が結晶化
する。
転移の中での抵抗と正面衝突。
患者の過去の重要な人物たちへの感情と記憶
とが脱抑圧を受けて、複雑な転移感情のブレイ
クスルーが起きる。
歴史が得られるに従って、過去、現在、そして
転移現象をプロセスのなかで結びつける洞察
が得られるように、解釈と結合とが起きる。
基本原則から転移神経症
精神分析の基本原則のなかで、転移神経
症が発見され、反復強迫と解釈の反復投
与によって実現する治癒モデルの完成
⇒対象関係論的な転移のモデルへの発展
 設定とプロセスについての議論が、どのよ
うな変化をもたらすかの議論と一体になっ
て起きてきた。トポロジカルな、力動的な、
そして経済的な視点から変化を議論する。

精神分析的設定の議論
英国では精神分析は毎日分析を前提とするクライン
学派が中心だった。
 米国では50年代に設定についての議論があり、訓
練分析のなかで精神療法をどのように位置づける
かの議論があり、Langsがframeとして厳密化した
りした。
 フランスでは、Lacanの影響で設定に対する議論が
盛んで、週3回のフランスモデルができるような弁証
法的な議論のなかでスペクトラムという議論が生み
出された。

分析的状況を作るための前提
フロイトの初期の発想から転移神経症論、
そして対象関係論へと大きな状況変化が
起きてきた。
 被分析者によって求めている水準は異な
るので、これは分析家の要求ではないし、
欲望でもない。だから精神分析を前提にで
きない日本の文化のなかでは、精神分析
は、オプションである。

治療構造論
日本で開発されたもっとも強力な力動学派
の初期の業績のひとつ
 甘え、阿闍世、見るなの禁止などの概念
装置は、内面の心理状態を記述するため
の道具
 治療構造論は技法的な道具であり、しかも
精神分析に固有の道具ではなく、その拡
張をもくろむもの(日本特有の文脈)

治療構造論の展望
1.治療者の意図を超えて与えられたもの
治療構造=準拠枠
2.治療者が意図的に設定するもの(治療設
定)=セッティング
3.治療経過中に自然に形成されるもの
構造転移ほか
→基本原則、自我の分裂や変容的解釈論、
そして等距離性などの概念が治療的に意
義を持つ
構造的な認識
 自分は、どうしてこういう文脈で、仕事を
するようになったのか
 自分がどのような臨床場面にいるのか、
そしてそれはどんな構造をしているのか
 自分でその構造は、どの程度、設定とし
て変化させられるのか、それとも変化さ
せられないのか
外在的な基準という発想
寝椅子を使う
 多頻回のセッションを組む
 セッションを維持してお金を取る
 資格を持つ分析家が行う
⇒こうした定義はさまざまな臨床場面に対応
しているわけではないので、包括的な定義
が必要である。

例えば、設定のモダリティ
寝椅子と対面法一つをとっても、精神分析
的状況は異なる機能をもたらす。問題は
何を治療構造の前提とするかにかかって
いる。
 フランスは、対面法と寝椅子法との違いを
選択するというコンテクストがある。だから
対面法でできることと、寝椅子でできること
を分けていく必要がある。

自由連想法と対面法
セッションあたりのポーズの割合(%)
50
40
30
沈黙
20
10
0
自由連想
対面法
n-=25, *<.o5
Interview Settings and
Communications(1)
対面法
Face to face
寝椅子法
Couch
声 *但し、治療者側
媒体 複数のチャンネル
は視覚情報も含む
対話
特徴
うなずきなど
呼応的
沈黙が多く、互いに内
省的
音声
特徴
内容によって
さまざま
トーンが低く、同調性
が高くなる
Interview Settings and Communications(2)
自由連想法
対面法
談話特徴
内容
線状的
呼応
沈黙
暫時的
断片的
日常意識 対象関係 身体衝動
的な側面 的側面
的側面
寝椅子を用いた
精神分析の特殊性(Waelder,R. 1956)
1.
2.
3.
4.
5.
患者は苦しんでいて、助けを期待して治療に
来る。大人に対する子どもの立場に近い。
人生の親密な部分を包み隠さずに暴露する。
大人の前で丸裸な子ども
自由連想法の分析規則が目的的な行動や衝
動への防衛を放棄させる。自我とエスのバラン
スを変え、退行をもたらす。
無意識的不安に対する分析家による安心がも
たらされる。守られた子どもの立場になる。
分析家の受動性によって、患者の空想が守ら
れる。外界の行動で空想が疎外されない。
内在的な基準とは?
内側でやっている作業は、どのようなもの
か?
 無意識を取り扱うために、基準となるのは
何か
 精神分析的な設定のうち、さまざまなスペ
クトラムに共通する要素は何か?
などの疑問に答えられることが必要である

Donnet(2005)の「分析する状況」
問題:方法の談話であると同時に、方法に
抗う談話であるというジレンマがある。精
神分析を設定とプロセス、構造と機能に分
けることそのものに無理がある。
 Donnetは設定とプロセスを「分析場Site
と分析状況analyzing situation」との分
ける。前者は意識的な構造化、構築であり、
後者は無意識を取り扱う状況である。

分析する状況を導く場の構築
構築された場は、内在化された基準として
機能する。設定の即物的側面(セッション
のリズムと頻度)だけでなく全般的な配置
(寝椅子の使用か対面か、サイコドラマか)、
逆転移や理論、所与の文脈での精神分析
の表象などを含む分析家の立場、と同時
にそれらを統合する逆説を含む基本原則
もそこに含まれている。
 ⇒分析する状況をもたらす構築

分析を可能にする条件
短期力動療法から精神分析的心理療法に
導入した事例のように、精神分析への可
能性が導けるときに行っているのが、Site
の構築である。
 精神分析を最初から導入することを当然と
するのではなく、さまざまなオプションのな
かで、分析状況を可能にする可能性空間
を導く(設定/夢(内的世界)/解釈可能性)。

遊びの中間領域を分析状況に
Donnetは分析する状況において重要な
ことは、構築された場から、その場の支配
と遊びの間に主観化する領域を創造する
ことだという。
⇒資格をもつこと、構造を守ることは、精神
分析過程の運動なのであり、そこでの遊びを
守ることが分析家の仕事である。

「分析する状況」をもたらすために
内在的な基準としては、抵抗の克服に向
けた、転移神経症を形成して、無意識的な
ものを意識的な代替に変えていく。
 より退行が治療概念として必要になった理
由は、分析設定のなかに、寝椅子で多頻
度にしていくことで生み出される、非対称
的な関係が局所論的に、形式的に、そして
時間的に生み出される。

分析状況が精神分析への活動
可能性としての内在化の基準:資格や構造
を精神分析の前提とするのではなく、場を構
成するために、可能性のためにその動きを
続けること。例えば、精神分析をするための
資格:設定構造的:候補生⇒分析家<プロセ
ス機能的:分析を受けることで内在化される。
設定:寝椅子がすべてではなく、寝椅子が可
能にする状況と対面が可能にする状況を選択
する。頻度をお互いの状況によって変える。

寝椅子を用いて、他頻回に、そして時間を
開かれたものにしていくことで生み出され
る心的な変化
⇒寝椅子:見えないこと、そして寝ていて(運
動していて)目覚めていること、だからこそ幻
覚と夢の方向に進む。
多頻回:多くの時間で事後的に、そして償う
ことができるため、時間が無限に開かれてい
る。設定を維持する。
分析する人が「親密な分離」のなかで、考
える、解釈する可能性を導く方向性

精神分析の内的基準
設定⇒退行:Grunberger(1971)の自己
愛の臨床的な意義に近い場
 抵抗の克服:沈黙する分析家と連想阻害
 転移:談話のなかに含まれている無意識
的な要素を意識する。
 Viderman(1971)が転移を生み出すと
同時に逆転移を生み出すような「精神分析
的空間」の構築

精神分析のメタ心理学
退行のための局所論、形式的な場、時間的
な場として理解すること
Green(2005)
退行:動かない⇒知覚領域⇒幻覚
自己愛
⇘幻想(内的対象)
対象愛
⇘投影=転移
⇒話さないことと解釈すること=考えること
/話す行為がもたらす関主観的領域

分析的設定の内在化基準
分析する状況を可能にするのは、自分の中
にそれを内在化するような体験があること=
訓練や自分の分析体験が、内在化されると、
人にも同じことをしたくなる。
 分析する状況は、内在化された精神分析を
実現したいという方向に構築される傾向があ
る⇒治療構造から分析する状況の治療構造
化=資格はその一つになる。だがそれだけ
ではなく、自分の精神分析への信念

精神分析の内在化のために
資格取得の三角形
分析する状況を可能にする内在化基準
自分も分析を受けている⇒それを良いことだと思
っている⇒精神分析を良いことだと信じている⇒他
者にも分析をしたい⇒でもそれを一人で実践する
のは不安⇒コントロール分析=Super-Vision(上
から見てもらう)ことで、不安に対する防衛を意識す
る⇒精神分析のこれまでの理論でそれを確認する。
