電子顕微鏡を活用した授業 長野市立古牧小学校 中沢 英明 ヒマワリの花粉 顕微鏡観察 光学顕微鏡 電子顕微鏡 電子顕微鏡による観察 利点 ① 光学顕微鏡より高倍率で観察できる。 ② 被写体深度が深く,視野全体にピントがあう。 欠点 ① カラーでなく,白黒となってしまう。 ② 観察する前の準備がやや大変。 電子顕微鏡を授業で活用方法 Ⅰ 電子顕微鏡を使い身近なものを、 まず拡大してみる。 本日、先生方に実習していただきます。 Ⅱ 撮影した写真を授業で活用する。 二つ例を紹介します。 授業実践1 (6年) チョークの粉を顔にかけると、同じ動作をする 学習問題 カマキリがカマで目をこするよ うな仕草は、いったいなんでしょうか? 子どもの考え ・猫が顔を洗うような仕草だ。 ・カマで目をきれいにしている。 ・目についた物をとっている。 ・固い殻で目をこすると痛いから違う。 ・敵だと勘違いした。 ・眠気覚ましでやっている。 ・カマを洗っている。 ・かゆくて、かいている。 等々 話し合ったあと カマが目に当たっていた部分を 拡大してみると 35倍 毛に気づく。 カマの拡大写真を見た後の考え ・カマに毛がついていた。 ・毛は「ほうき」みたいな形になっている。 ・「ほうき」みたいなもので 目の汚れを落としていたのだろう。 ・「ほうき」を綺麗にするために、カマキリは カマをなめていたのだろう。 低学年であれば、 ここで、授業は終了。 カマキリにチョークの粉をかけ、 目をこする仕草をよく観察する体験を通して、 カマの毛に気がつくところを大切にしたい。 高学年なので、 電子顕微鏡写真を見た後に自分の考えを実証。 それにより、考える力を育みたい。 と願い カマキリがカマで目をこするような仕草は、 カマについている毛で 本当に目の汚れを落としているのか 予想の確認方法を考える ・毛で、目を綺麗にしている。とすると、 ↓ 反対に、 ・毛がなければ、目が綺麗にならない。 ↓ そうすると、 ・目がよく見えなくて、エサを捕まえられないはず 毛をなくして、 エサをとれないことを確かめてみよう 毛の部分にセロテープをまき、目を汚し、 エサを捕まえる動作ができないことを調べよう。 と 実験をして確かめる。 授業実践2 (4年) 学習問題 テントウムシがガラス窓を歩 けるのはなぜか 予 想 ①爪やちいさな毛が引っかかる 9人 ②吸盤 13人 ③ねばねば、べたべたした液 12人 ④ゴムでくっつく 1人 友の考えに質問や意見 1 爪や小さな毛が引っかかる説について ・ガラスだと引っかかる場所がないので滑ってしまう。 ・人間の目には見えない小さな隙間とか あるかもしれないから、ひっかかる。 ・ガラスは機械で作られているから凸凹してないだろう。 2 ゴムでくっつく説について ・おじいちゃんが動物の足についていると教えてくれた。 ・体からゴムがでるはおかしい。 ・足がゴムというのはおかしい。 3 ねばねば、ベタベタした液説について ・汗みたいなものが出ている。 ・テントウムシが出す黄色い液みたいなもの。 ・くさいやつを出している。 ・ナメクジみたいに、登った後に液がガラスに ついているはずなのに、見えないのはおかしい。 ・後から、蒸発するので見えない。 ・そんなすぐに蒸発しないよ。 ・そんな液を出していたら敵に見つかってしまう。 さらに ・急でない平らなところで、 足がネバネバしていると、歩きにくくて不便。 ・速く歩いていないから、足から液を出した後、 蒸発でなくどこかにくっつけて回収している。 ・ナメクジと違って、 ネバネバしている液は目に見えない液だ。 ・テントウムシが登ったあとをさわれば、 手がネバネバするのでは?してないよ 4 吸盤説について ・吸盤だとつるつるのところでもつくから、吸盤だ。 ・吸盤は強くつくから歩きにくい。 ・虫は羽に力があるから、テントウムシは足に 力があるから、歩きにくくない。 ・強くつくのではなく、弱くくっついて歩きやすい。 強さの調整もできる。 ・テントウムシの足にさわっても、 ペターとくっついたことがない。 ・畑の中でぬれていると歩きづらいけど、 吸盤だと歩けそう。 この中に答えが ないんじゃないの? あるよ! 討論の後、自分の考え ①爪やちいさな毛が引っかかる 9人→3人 ②吸盤 13人→20人 ③ねばねば、べたべたした液 12人→8人 ④ゴムでくっつく 1人→0人 わからなくなった 3人 テントウムシの足 電子顕微鏡写真 200倍 2000倍 2000倍 750倍 2000倍 2000倍 別の種類のテントウムシの足 75倍 150倍 750倍 2000倍 7500倍 授業後の主な感想 テントウムシに吸盤があるなんて、びっくりした。 虫もいろいろな工夫をしている。 生物の精妙さ 予想がちゃんと考えられて良かった。 こんなに詳しく考えたのは、初めてでびっくり。 理科の授業がそんなに好きじゃないけど、 すごく考えていくことが好きになってきました。 考えることの楽しさ みんなで意見を出し合い、 わかりやすく授業ができてとても良かった。 授業がおもしろかったです。 討論することの楽しさ もっと勉強して、もっとくわしいことを知りたい。 知識欲・学習意欲 最後に まず、本日は電子顕微鏡にふれてみてください。 ご静聴ありがとうございました。 当実践は、長野市教育会 一般研究補助 ならびに 財団法人長野県科学振興会 の助成 を受け実施しているものです。 ミツバチ 後羽 1500倍
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