組織,戦略,システム 経営情報システム論A ― 企業経営におけるICTの活用 (3) ©2005, Kiyoshi Murata 企業組織 企業組織観の変遷 Closed 企業は環境に対して閉じたシステム rational system:1900~30 合理的な管理のあり方,組織構造 科学的管理法 管理過程論 官僚制組織論 natural system:1930~60 非合理的な/人間的な組織プロセス,集団・個人の行動 人間関係論 協働システム論 企業組織 企業組織観の変遷 Open 企業は環境の諸要素との間で資源をやり取りするこ とを通じ,環境の中で生きている/生かされている rational system:1960~70 限定された合理性の下での意思決定 コンティンジェンシー理論 環境不確実性に適応した組織のあり方 natural system:1970~ ゴミ箱としての意思決定問題 解釈体としての組織 経営情報論/経営情報システムの理論的基礎 サイモンの意思決定論 意思決定 経営行動/管理行動の本質 企業組織は意思決定のネットワーク 質のよい情報/情報処理の必要性 限定/制約された合理性 認知限界 満足化基準 組織構造・制度による合理性の向上 分業/協働システム 組織階層(ハイアラーキー) Span of control 情報処理パラダイム(Galbraith, J. R.) 複雑性・不確実性 情報処理 能力の増幅 情報システム ⇒ 情報処理負荷 環境 企業 組織構造 組織制度 ステイクホルダー 意思決定プロセス(Simon, H. A.) 情報活動 設計活動 選択活動 実施 再検討 ゴミ箱モデル(March and Olsen) 組織化された無秩序 組織の意思決定状況 目標や選考基準は漠然としている ある行為とそれがもたらす結果との因果関係は 不明確 決定の場に参加する個人やグループは流動的 問題 問題 問題 参加者 参加者 参加者 解 解 解 選択機会 多義性 多義性 equivocality 組織状況に関して複数の対立する解釈が存 在していること(Weick, 1979) 企業活動のためには 不確実性の削減 情報収集 リッチネスの低い,impersonalなメディアの利用 多義性の削減 討議,意味の明確化,イナクトメント リッチネスの高い,personalなメディアの利用 企業における情報ニーズ(Daft and Lengel, 1986) 高い 1.高多義性・低不確実性 2.高多義性・高不確実性 ※高リッチメディアの利用 ※フォーマルなISと 高リッチメディアの併用 問題の定義・用語の統一・ 意見収集 客観的データの収集+意見交換 多義性 3.低多義性・低不確実性 ※メディア活用の必要性が低い ルーチンデータの収集 低い 4.低多義性・高不確実性 ※フォーマルなISの活用 最新の定量的データの 収集と処理 低い 高い 不確実性 組織コミュニケーション 階層型組織 命令・指示 トップマネジメント 戦略的決定 ミドルマネジメント 戦術的決定 フォーマル・ コミュニケーション ロワーマネジメント 報告・相談 一 般 従 業 員 インフォーマル・ コミュニケーション 業務的決定 業務遂行 組織コミュニケーション 循環的コミュニケーションプロセス メッセージを媒介として進行する意味生成 情報発信/受信の双方向性 社会構成論 組織的現実/環境はコミュニケーションを通じて社会的に構成される 経験 イナクトメント コミュニケーション →多義性の削減 →意味の生成と共有 生態学的変化 経験 組織認識:イナクト された環境 経営戦略 市場ポジショニング・ビュー(MPV) Porter, M. 持続的競争優位の源泉は市場における戦略的ポジ ショニング 安定的で低不確実性の市場 資源ベース・ビュー(RBV) Barney, J. B. 持続的競争優位の源泉は模倣困難な資源/ケイパビ リティ 不安定で高不確実性の市場 競争戦略の類型(Porter,M.) 競争優位の源泉 コスト優位 競争の 範囲 差別化優位 広い範囲 コストリーダーシップ 製品・サービス 差別化 狭い範囲 コストフォーカス 差別化 フォーカス 企業の強みと弱みの分析(Barney, 2002) SWOT分析 VRIO分析 Value 企業の資源/ケイパビリティは環境の機会を生かし,また脅 威に対応できるのか? Rarity 資源はごく少数の競合企業によってコントロールされている のか? Imitability 資源を持たない企業がそれを持とうとするとコスト上不利な 立場に置かれるのか? Organisation 企業のポリシーや手続きが,価値があり,希少で,模倣にコ ストがかかる資源をサポートできるようになっているのか? システム システムとは a regularly interacting or interdependent group of items forming a unified whole a group of elements that are integrated with the common purpose of achieving an objective 相互作用,全体性,目的,統合 systematic ←→ systemic / systemicity システム論 有機体(organism)の特質 要素還元主義の否定 :有機構成(organization)によってもたら される現象は,各要素の物理的,化学的 性質に還元しえない = 関係の論理 = 部分と部分の配置,相互作用に意味が ある...組織でいえばrelationship 創発特性(emergent property) 有機体の特質 多階層性 :各要素レベルと複合的な構成化のレベル の明確な区分け 多階層性は,要素(部分)と全体という関 係を設定した瞬間に生じる :システムとはものの見方である 再帰構造 subsystem / supersystem holon(holos + on) システムの基本構成 目的 自己組織化 フィードバックループ 制御機構 自己維持 入力 変換 出力 システム特性(systemicity) 創発特性(emergent property) 階層性(hierarchy) コミュニケーションとコントロール (communication and control) 環境におけるシステムの存続 システム思考(systems thinking) 対象物をシステムとして認識する : 変換(transformation)を中心として 刑務所とはどのようなシステムか? 大学とはどのようなシステムか? そこにシステムがあるのではない:認識論 システム的に望ましい変革を考える 社会的,文化的に許容できるもの
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