さまざまなスミス数の性質と出現頻度 白柳研究室 情報科学科4年 小沼陽子 スミス数とは 各桁の数の和と各素因数の各桁の和が等しい自然数 をスミス数と呼ぶ。 各素因数の 各桁の数の和 各桁の数の和 例:166 1+6+6=13 166=2×83 2+8+3=13 注意: 素数はすべてスミス数である。よって、本研究では素数はすべて除く ものとする。 先行研究 スミス数は 無限にある。 より大きいスミス数を 発見するレースが 行われている。 1から100万までの整数 の中の3パーセント近く がスミス数である。 研究目的 スミス数に条件を加えて、その条件を満たすスミ ス数はどんな性質を持ち、どのくらいの出現頻度 であるかについて考察する。 本研究の条件 ①準素数であるスミス数 ②異なる3つの素数からなるスミス 数 ③異なる4つの素数からなるスミス 数 ④平方数でもあるスミス数 計算機実験 さまざまな条件のスミス数を 出力するプログラムを作成し、 実験した。 結果その1 すべてのスミス数を1~100000まで調べ、 出現頻度をまとめた。 スミス数 合計個数 ・それぞれの区間で個 数に大きな偏りはない。 ・数字が大きくなって もスミス数の個数に影 響はあまりない。 1~10000 10001~20000 20001~30000 30001~40000 40001~50000 50001~60000 60001~70000 70001~80000 80001~90000 90001~100000 376 305 321 311 292 326 330 339 336 358 準素数である スミス数 下1桁が等しい→差が90n 下2桁が等しい→差が900n 下3桁が等しい→差が9000n ・ ・ 下n桁が等しい→9 × 10𝑛 である と予想できた。 差が一定であるということから、 9で割ると準素数であるスミス 数は4あまるということに気が 付いた。 このことから、準素数であ るスミス数は4(mod 9)で あると予想できた。 4(mod 9)であることは、 文献 “S.Yates: Smith numbers congruent to 4 (mod 9)”で書かれてい るが、証明は示されていな かったので、自ら証明し、 命題として発表する。 命題:準素数であるスミス数は4(mod9)である <命題> n=pq( p,q=素数) n=Smith 数 <証明> n∈N に対して、n の各桁の数の和を S( n) と書く。 すなわち、n=𝒂𝒏 𝟏𝟎𝒏 + 𝒂𝒏−𝟏 𝟏𝟎𝒏−𝟏 + ⋯ 𝒂𝟎 とすると S( n) = 𝒂𝒏 + 𝒂𝒏−𝟏 + ⋯ + 𝒂𝟎 である。 一般に n≡S( n) ( mod9 ) ・・・① が成り立つ。 n=pqだから、スミス数の定義により、S(n)=S(p)+S(q) ①より、n≡p+q(mod9) ∴pq≡p+q(mod9)・・・② そして、pとqの積と和を並べ表にした。 この2つの表と②より、「p≡2かつq≡2」または「p≡8かつ q≡5」または「p≡5かつq≡8」が得られる。このとき、いず ずれもpq≡4となる。よって、証明された。 異なる3つの素数からなる スミス数 異なる3つの素数からなるスミス数は 6(mod 9)となることが予想できた。 準素数の場合と同様、この予想の証明 に成功した。 定理:3つの素数からなるスミス数は6(mod9)で ある <定理> n=pqr (p,q,r =ことごとく相異なる素数) n=スミス数 <証明> 準素数の場合と同様に pqr≡p+q+r(mod9)が成り立つ。 表を用いて積と和の組み合わせを調べた。 その結果、スミス数が存在するのは、p≡2,3であり、 「p≡2かつq≡3かつr≡1」 「p≡3かつq≡1かつr≡2」または「p≡3かつq≡2かつr≡1」 「p≡3かつq≡4かつr≡8」または「p≡3かつq≡8かつr≡4」 「p≡3かつq≡5かつr≡7」または「p≡3かつq≡7かつr≡5」 このとき、すべて6(mod9)となる。よって、証明された。 異なる4つの素数からなる スミス数 異なる4つの素数からなるスミス数は、1~100000までで192個 存在し、すべて以下の4種類にあてはめることができた。 平方数でもあるスミス数 平方数でもあるスミス数は、平方根が1~100000までで 1846個存在し、 すべて以下の4種類にあてはめることができた。 まとめ • スミス数は大きくなるにしたがって、疎になるというこ とはなく、10000ごとに区切ると250~400の前後の個 数でほぼ均等になっていることがわかった。 • 準素数は4(mod 9)であることは言われていたが、証明 は書かれていなかったため、自ら証明をつけた。 • 異なる3つの素数からなるスミス数は、6(mod 9)である と予想し、証明に成功した。 • 異なる4つの素数からなるスミス数は、1~100000まで の数のすべてが、2,3,6,8(mod 9)の中に振り分けるこ とができた。 • 平方数でもあるスミス数は1~100000までの数すべて が、0,1,4,7(mod 9)に分けられた。 今後の課題 • 今後の課題として、異なる4つの素数の積や平方数が mod 9で4通りとなることを、2つや3つの素数からなる スミス数の場合と同様に証明することである。 • 5つ以上の素数の積に関しても、スミス数の性質を追求 していく。 • 今回は、4種類のスミス数について研究を進めてきたが、 左右対称なスミス数、2進数に基づくスミス数である数 など、さまざまな条件を考え、その特徴について追求し ていく。
© Copyright 2024 ExpyDoc