2016年度 現代数学入門 B 第9回 演習

2016 年度 現代数学入門 B 第 9 回 演習
演習 9.34. Z×
pe の群構造に関する定理を以下の場合に具体的にチェックせよ.
∼
(1) 群としての同型 Z×
8 = Z/2Z × Z/2Z,
∼
Z×
16 = Z/2Z × Z/4Z を示せ.
(2) 群 Z×
9 が巡回群になることをチェックし,その原始根をすべて求めよ.
(3) 位数 n の元 a で生成される巡回群 ⟨a⟩ の位数 n の元は,{aj (j は n と互いに素)} で与
えられることを示せ.
×
(4) (3) を用いて,Z×
19 , Z25 について,それぞれ巡回群となることをチェックし,その原始
根をすべて求めよ.
演習 9.35. 公開鍵暗号を使ってやり取りしているアリスとボブに対し,その秘密文を解
読しようとしているオスカーの立場で考える.
(1) RSA 暗号を考える.アリスの公開鍵は (n, e) = (899, 11) である.ボブから暗号文 c =
468 がアリスに送られた.ボブの送った元の文 m は何か?
(2) エルガマル暗号を考える.アリスの公開鍵は (p, g, A) = (53, 2, 28) である.ボブから暗
号文 (B, c) = (24, 37) がアリスに送られた.ボブの送った元の文 m は何か?
演習 9.36. n = 21, 91, 105 のそれぞれについて,講義中に述べた J, K, L, M およびミラー・
ラビンテストで n を素数と判定してしまう集合 B を決定せよ.なお,手ですべてを計算す
るのは大変なので,プログラムを書いて求める方が良い.その場合は使用したプログラム
を添付することが望ましい.
演習 9.37. p, q を相異なる素数とし,n = pq とする.
(1) d = gcd(p − 1, q − 1) とする.b が講義で述べた J に属するための必要十分条件は bd ≡ 1
mod n であることを示せ.さらに,講義で述べた J の位数を d で表せ.
(2) q = 2p + 1 の場合,講義で述べた J の元を p を用いてすべて書き出せ.
(3) n = 341 とする.n と互いに素な b をランダムに選んだとき,フェルマーテストによっ
て n が素数の可能性があると判定される確率はいくらか.
演習 9.38. 今回の講義では,合成数 n がカーマイケル数であることの定義を
「n と互いに素なすべての自然数 a に対して,an−1 ≡ 1 mod n が成り立つ」· · · (ア)
とした.カーマイケル数の次の性質①, ②, ③を示したい.
① カーマイケル数は奇数である.
② 合成数 n がカーマイケル数であるための必要十分条件は次の 2 つが成り立つことで
ある.
(i) n を割り切るどんな素数 p に対しても,p − 1 が n − 1 を割り切る.
(ii) どんな素数 q に対しても q 2 は n を割り切らない.
③ カーマイケル数は少なくとも 3 つの相異なる素因数を持つ.
しかし,上の定義 (ア) から②を示すのは難しい.
問 1 次の議論は,カーマイケル数の定義 (ア) から② (i),(ii) が成り立つことを導く証明と
して,ある本に書かれているものである.この証明は不十分である.何が不十分なの
だろうか? 少なくともミスプリと思われる箇所が 1 箇所,本質的なギャップが 1 箇
所ある.
問 2 合成数 n がカーマイケル数であることの定義として,
「すべての整数 a に対して,an ≡ a mod n が成り立つ」· · · (イ)
とする方法もある.(イ)⇒(ア) が成り立つことを示せ.(逆は難しい.
)
問 3 定義 (イ) の基づいて,上の性質①, ②, ③を証明せよ.