ドイツ語・英語・日本語の時制 矢島 優香 1.はじめに ドイツ語と英語はインド・ヨーロッパ語族ゲ ルマン語派西ゲルマン語に属する言語であ り、共通している部分が多くある。 ドイツ語は日本語と比べると非常に論理的 な構造を持つ言語。 時制とは発話の中で規定される言語学的 な時間を示す文法範疇である。 ドイツ語には主に 「現在」「過去」「未来」 「現在完了」「過去完了」「未来完了」 の6種類の時制がある。 2.現在形 ドイツ語の現在形は、現在起こっていることだけで はなく、反復的な行動や過去からの継続、英語と 同様に普遍的な真理にも用いられる。 ドイツ語には現在進行形は無いが、”jetzt”などの 「今」を表す副詞をつけることで進行中を表すこと ができる。 「確定未来」を表すときも”morgen”なども「未来」で あることが分かる副詞を用いることによって表現 することができる。 例1 独:“Das ist mir neu“ (P59.L19) 英:”That’s news to me,’ (P57.L11) 日:「そりゃ初耳です。」 (P87.L2) 3.過去形 ドイツ語では過去形は日常会話でほとんど 使われない。 主に物語文の書き言葉として用いられる。 例2 独:”Womit kann ich dienen?” fragte er verwirrt, “Rasieren oder Haare schneiden?” (P59.L12~13) 英:”What’s it to be,’he asked,’shave or haircut?” (P57.L3) 日:「いかがいたしましょうか?」とまどいながらききま した。「おひげをあたりましょうか、それとも髪をおき りしましょうか?」 (P86.L11~12) 4.過去完了形 過去のある時点を基準に、それよりも前に起きたことを 表す。 ドイツ語の場合は・・・ [haben支配の動詞の場合] 主語 + hatte + 過去分詞(Partizip II) [sein支配の動詞の場合] 主語 + war + 過去分詞(Paritizip II) 英語の場合は・・・ 主語 + had + 過去分詞 例3 独:Er hätte nie gedacht, daß er so reich sei. (P61.L9~10) 英:He’d never realized how rich he was. (P58.L25) 日:これほどたくさんあるとは思いもよりませんでし た。 (P89.L10) 5.まとめ 3言語を比較してみると、英語では過去進行形が 使われているがドイツ語では現在完了が使われ ていたりと、すべてが一致するわけではないこと が分かった。この文章は物語なので日常によく使 用する現在完了はあまり見受けられなかった。 「~が言った。」など、会話文のつなぎは3言語とも 過去形が使われているところが一致しているとこ ろだと思った。
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