スライド 1

ストークスの定理と、
渦度・循環の関係を
直感で理解する方法
三重大学・大学院生物資源学研究
科
共生環境学専攻
地球環境気候学研究室
教授 立花義裕
Ver. 2: 2014年6月18日
渦度と循環
    v  rot v  curl v
   x i   y j   z k   x ,  y ,  z  ベクトル量(渦には3成分ある)




i
j k
x
y
z
i

v 
x
u
j

y
v
v  u i  v j  wk
なので‥‥
k
 w v   u w   v u 

 
  i   
 j    k
z
 y z   z x   x y 
w
x
y
z
v u
z  
x y
のみを考えてみる.さらに
v
v
x
だけ考える.
 v を見てみる
x
このような水の流れの上に棒を浮かべてみると‥
のように回転するのは簡単に想像ができる
v
v
角速度は
なので
は角速度と同じになること
l
x
l
同様に
も直感的に解る.
渦の強さも  v が大きいと大きくなることもわかる
u
も回転を表す.但し時計回り
y
したがって反時計回りを「正の符号の渦」と定義した場合,それら2つの項を足した
v u
(符号が逆なので引いた)ものが渦度  z  
である.
x y
2つを足すので,それぞれの角速度は  である.よって剛体のようにどこでも一定の
角速度  で回転しているような流体の渦度は 2  となることが分かる.
渦度は角速度っぽい量である!
V
循環の定義
C  V  d l
S
dl
C
流れの場において,上の図のように好きな閉曲面(円でなくてもいい)を描き,その線上の速度ベクトル
を閉曲線の方向の射影(内積)を取る.その内積の値を線に沿って一周積分してみた値をその経路に沿っ
た循環という.積分の向きは反時計周りに積分する
もし
r
のような等速円運動をしていた場合
v  cont
一周積分を考えると C  2rv となることが容易に分かる
半径  v となっているので「角運動量」っぽい量であることが分かる.
角運動量 L は, L
 rv
であったことを思い出そう!
渦度
微分
渦の微視的な表現
循環
積分
渦の巨視的な表現
角速度と角運動量はお互いに関係している量であることから想像するに,渦度と
循環にもなんらかの関係がありそうであることが直感的に予想できる.
次にその直感が正しいことを説明していく.
渦度が剛体回転の角速度Ωの二倍(2Ω)
であることを確かめる
Ω
Ω=Ωk (上向きの単位ベクトルをkとする)
位置ベクトルは r=xi+yj+zk である
図から、v=Ω×r である。
• 図から
•
•
v
r
• 上記にΩ=Ωkとr=xi+yj+zkを代入すると、
• v= Ωk×(xi+yj+zk)
=-Ωyi+Ωxj となる(k×i=j, k×j=-i ,k×k=0であることを用いた)。
では、 ▽×v を計算してみよう。i×i=0,
i×j=kなどを用いると、
 

 
 (x)
i  j  (y ) j  i   k  k  2k
  v   i  j  k    yi  xj 
z 
x
y
 x y
従って、▽×v=2Ωk となり、渦度はΩの二倍となることがわかる。
lim

S 0
C
1
 lim
S S 0 S
 V  d l 
について考える!
ここでは非常に小さい円(半径R )を考える.その円周上での
dl  k  rd
 V  d l   (Ω  r)  (k  r)d
  (R)(Rd ) となる.
V  d l
それぞれの向きは同じなので
を考えよう!
rd 
S   (R) 2
2
1
1
(

R
)
2
V

d
l


(

R
)
d 
d
2 
2 

S
 (R)
 (R)
S 内の流れの平均角速度を  とすると
(R) 2
(R) 2 

  d 
2  2 となる.
2
2
 (R)
 (R)
これは微小面周りの単位面積あたりの循環が
2
であることを示している
このとき積分路として選んだ線に囲まれた曲面がxy平面だと思うとしよう!
渦度

は 2 の角速度を持っている渦であったので結局,
C
  となることが分かる
lim
S 0 S
S面と直交する単位ベクトルを
n とすると,
C
 Ω  n    v   n となる
lim
S 0 S
これは,単位面積あたりの循環 = 渦度 あることを示している.
よって渦度と循環は同じようなものであることが理解できる.


C
1

V  d l   V  n

S S


 V  d l    V  ndS
s
両辺に
S を掛けて積分すると
ストークスの定理!
ストークスの定理
 V  d l    V  ndS
s
適当に選んだ外周での循環を調べただけで,内部の平均の渦が分かる優れもの!
外面だけで内面がばれてしまうということ.
外面だけで内部に隠された物が分かるという意味ではガウスの定理も同じである.
-3
3
1 -1
7
2 2 -2
0
2
2
-3
2  (3)  2  (2)  (2)  3  (1)  2
1
-2 -2
*各区画毎の一周積分を取ることと
各区画内での渦度を計算することは
同じ(図を見て考えましょう)
3
3
-3
3
3
-3
-2 2
*まず一周積分をしてみる(左周り)
2
-2
-1 -1 1
-3
7  0  (3)  (3)  1
隣合う区画の積分路は互いに逆の向き
22
符号が逆になるのでキャンセルしあう
-3
-3
最終的に外周のみ残り
一周積分したものと等価になる
ストークスの定理はどんなベクトルでも言える定理なので,一般には下記のようになる
 A  d l     A ndS
s