障害者権利法制 障害学的政策研究

障害者差別禁止法制定に向けて
ー 障害者活動と障害学会の目標と役割ー
PLANET 客員研究員
全国「精神病」者集団 運営委員
精神医療サバイバー
桐原尚之
・イギリスの障害者活動と障害学
障害者というアイデンティティの集団
目的
方法1:障害学
方法2:運動・主張
障害者総体の権利・
利益・幸福・自由
方法3:政界進出
・日本の障害者活動と障害学
障害学
1、方法に固執して目的を見失う
運動・主張
2、方法にこだわり喧嘩がはじまる
3、それぞれがそれぞれに動く
政界進出
4、連携がなくなる
障害学の学問倫理
日本の障害学は、度々倫理学から指摘されてきた。それは、単純
に障害学に学問の倫理がないからである。障害学に学問倫理がな
い理由を以下に箇条書きする。
―障害学に学問倫理がない理由―
・ 障害者の主張を、横から研究していること
・ 障害学会の目的が、障害学を通じてどうするかではなく、
障害学をすることになっていること
・ 障害学の目的が、個々の研究者に分散され、障害者という
集団としての目標がないこと
・ 福祉や歴史のレベルから踏み出せていないこと
・ 主張している障害者の口になって、研究していないこと
障害(disability)の分類
障害(disability)と一言で言っても、様々な問題があり、それぞれの解消方法は
場合によっては異なることもある。例えば、法的能力の問題であれば、代替策
が全くないでは実行するのは困難であろう。それぞれの解消方法を、差別禁止
法では考えていかなければならない訳である。
偏
見 ・・・ 障害者に対する決めつけや押し付け
スケープゴート ・・・ 障害者だけを悪者にする行為
排
除 ・・・ 障害者を一般社会と別にする行為
能 力 の 低 下 ・・・ 排除による経験不足とその不利益
物 理 的 差 別 ・・・ 段差や情報などの非配慮
人 格 的 差 別 ・・・ 法的能力を認めないなどの人格否定
障害から権利・差別禁止へ
偏
見
理
解
スケープゴート
個 人 の 尊 重
排
除
統
能 力 の 低 下
機
物 理 的 差 別
アクセシビリティ
人 格 的 差 別
自 由 と 平 等
合
会
均
等
障害(disability)の区分 ; 手帳別
偏見
身
教
知
育
精
身
教職員にとって手
間だと思われる
排除
人格
教育から排除され、 情報保障がないた
知識が停滞する
め学習ができない
養護学校に強制収
用されることがある
馬鹿だと思われる 教育から排除され、 コミュニケーション
知識が停滞する
支援がない
養護学校に強制収
用されることがある
面倒だから来るな
と思われる
教育現場から抹消
される
教育から排除され、 入院すると知識に
知識が停滞する
周囲との差がでる
バリアが多い
助けるべき存在と
過剰反応される
交
通 知
精
物理
利用方法が非常に 旅券購入に後見人
わかりにくい
が必要な場合があ
る
福利利用を甘え
だと思われる
公共交通の障害
者割引の適用除
外が目立つ
旅客機の登場拒否
が未だにある
障害(disability)の区分 ; 性別
偏見
排除
物理
人格
働けないと思われ
る。
雇用したくないと
思われる。
公務員の採用は
社会福祉協議会
の職員にもなれな
い
労働環境が整って
いない。
セクハラにあいや
すい。
度々、職安職員に
諦めるように説得さ
れる
働けないと思われ 公務員の採用は
る。
社会福祉協議会
の職員だけ
雇用したくないと
思われる。
労働環境が整って
いない。
人間関係がつくり
にくい
障害者雇用窓口に
行くことを勧められ
る
女
家事ができない
女はいらないと言
われる
結婚してはいけな
いと教えられる
出会いがない
医師の判断を遵守
しなければならない
状況に追いやられ
る
男
働かないし、家で
も何もしないと言
われる
相手の女性の家
族から反対される
出会いがない
しばしば障害が離
婚の理由となる
女
労
働 男
家
庭
障害者運動との連携
1、障害学会会則の会員に関する事項に「障害者団体会員」を追加する
2、障害者団体に関する委員会を結成し、障害学との連携を強化する
3、障害学会も場合によっては、抗議・要請をおこなう
4、障害者活動の主張(声明など)を、理論的に裏付ける研究をすすめる