竹田一則 - 日本学生支援機構

平成26年度 専⾨テーマ別障害学⽣⽀援セミナー【6】
独⽴⾏政法⼈ ⽇本学⽣⽀援機構
国⽴⼤学法⼈ 筑波⼤学
⼤学における障害学⽣の⽀援体制を考える
〜業務、組織、⼈員、財政、学内部⾨間連携、⼤学間情報共有など〜
筑波⼤学における障害学⽣の⽀援体制
〜その特徴と合理的な配慮の提供における今後の課題〜
筑波大学(人間系・障害学生支援室)
竹田一則
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障害学⽣⽀援と「合理的配慮」(参考資料)
障害者が他の者と平等にすべての⼈権及び基本的⾃由を享有し、⼜は⾏使することを確
保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされる
ものであり、かつ、均衡を失した⼜は過度の負担を課さないものをいう。
2006年;障害者権利条約
障害のある者が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を共有・⾏使することを確保するため
に、⼤学等が必要かつ適当な変更・調整を⾏うことであり、障害のある学⽣に対し、その状況
に応じて、⼤学等において教育を受ける場合に個別に必要とされるものかつ⼤学等に対して、
体制⾯、財政⾯において、均衡を失した⼜は過度の負担を課さないもの
2012年;⽂部科学省障がいのある学⽣の修学⽀援に関する検討会報告(第⼀次まとめ)
社会的障壁の除去のために必要かつ合理的な⼿段及び⽅法により、実施に伴う負担が過重とな
らない範囲で⾏われるものであり、代替措置の選択も含め双⽅の建設的対話による相互理解の
中で柔軟に対応がなされるもの
2014年11⽉;内閣府障害者政策委員会 障害者差別解消法基本⽅針(案)
1
筑波⼤学における障害学⽣⽀援に関する憲章
2014年4⽉1⽇ 学⻑決定
【趣旨】
「国連・障害者の権利に関する条約」の理念に基づき、「障害者基本法(昭和45年法律第84
号、平成23年8⽉改正法施⾏)」、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平
成25年法律第65号)」等を遵守し、本学のすべての教職員が適切な教育研究の⽔準を維持し
つつ、すべての障害学⽣の修学に対し、合理的配慮を⾏い、継続的にその向上・充実のため
の基本的な使命を定めるものとして策定された。
【憲章における8つの柱】
機会の確保と教育の
質の維持
•障害を理由に修学を断念す
ることがないよう、修学機会
の確保と教育の質を維持す
る。
情報公開
支援の決定
教育方法
•障害学生に対し、大学全体と
しての受入れ姿勢・方針につ
いて情報公開し、社会に対す
る説明責任を果たす。
•障害学生本人の要望に基づ
いた合理的な調整を行う。
•情報保障、コミュニケーション
上の配慮、公平な試験、成績
評価などにおける合理的配
慮を行う。
支援体制
施設・設備
研究・研修
実施体制
• 大学全体として専門性の
ある支援体制の確保に努
める。
• 安全かつ円滑に学生生
活を送れるよう、キャンパ
スのバリアフリー化に配
慮する。
• 障害学生支援に関する組
織的な研究および、教職
員に対する研修(ファカル
ティ・ディベロップメント
(FD))を実施する。
• 学生の修学に関わるすべ
ての組織は、障害学生支
援室をはじめとする学生
支援の関連組織と連携し
ながら、合理的配慮を実
施する。
筑波⼤学障害学⽣⽀援室
(Office for Students with Disabilities;OSD)
○専⾨部会委員(教員)13名
視覚障害3,聴覚障害3,
運動・内部障害2,発達障害3,
内科学1,障害医学1
(専任スタッフは助教3名)
○事務職員4名(常勤1,⾮常勤3)
○ポスドク研究員1名
○学⽣ピアチューター
→※計のべ約230名
視覚約50名
聴覚約130名
運動約50名
障害学⽣の⽀援は、学⽣ピアチューターによる学⽣ボランティア組織を専⾨教員がスー
パーバイズする全学的な⽀援体制により合理的配慮の提供を⽬指す。
※ピアチューター:⼀定のトレーニングを受けた学⽣ボランティア
2
障害学生支援委員会 設置
在籍者数(人)
100
90
学士課程9,790人、大学院6,848人
(障害学生約0.4%)
80
70
多くの発達障害,精神障害,内部障害の
学⽣が潜在化している(⾒えない障
害)invisible disabilities
60
50
権
利
条
約
採
択
障害学生支援室 設 置
筑波⼤学における障害学⽣数の推移(1980-2013)
H26
合計
権
利
条
約
批
准
筑
波
大
学
憲
章
策
定
40
30
聴
運
発達*
20
視視
10
内部
0
S
5
5
S
5
9
S
5
7
視覚障害
S
6
1
S
6
3
聴覚障害
H
2
H
4
運動障害
H
6
H
8
H
1
0
内部障害
H
1
2
H
1
4
H
1
6
H
1
8
H
2
0
発達障害(OSD)*
発達障害(OSD)
H
2
2
H
2
4
その他
合計
※発達障害(OSD)はOSDで把握している人数。疑い例も含む。
筑波⼤学障害学⽣⽀援室(OSD)の組織体制
視覚障害学生支援チーム
教員
聴覚障害学生支援チーム
名(
専任
名(
兼任)
障害学生支援室専門部会
室長
障害学生支援室
1
専任助教1名、兼任教員3
名、ピア・チューター約50名
13
専任助教1名、兼任教員2
名、ピア・チューター約130名
)
3
運動・内部障害学生支援チーム
研究員1名、兼任教員2名、
ピア・チューター約50名
(過大な負担ってどんなもの?)
※その他発達障害学⽣担当の専任助教1名、兼任教員2名
H26年度OSD総配分額
:約39,000千円(3千9百万円)
障害学⽣約70⼈として、⼀⼈あたり557千円(55万7千円)
H26年度筑波⼤学運営費交付⾦:約40,600,000千円(406億円)に占めるOSD経費の割合は約0.1%
3
筑波大学障害学生支援室の主な業務
Ⅰ.⼊学前後の⽀援と調整
○⼊学前の⽀援 –オープンキャンパス,受験希望者・保護者からの相談など○⼊学試験時の⽀援 –別室受験,時間延⻑,代筆, PC導⼊,駐⾞場,トイレ、など
○⼊学時の⽀援 –⼊学前の相談,アセスメント,関係者による事前打ち合わせ,授業調整など-
Ⅱ.修学環境の整備・調整
○学習上の⽀援
–移動,資料・筆記具操作,ノートテイク・PC要約筆記,⼿話,
点訳等の情報保障,授業に関する調整 ほか○キャンパスの環境改善 –キャンパス施設設備のユニバーサル化-
Ⅲ.⽀援者養成
○ピア・チューター養成
Ⅳ.情報公開・啓発
–養成講座の開講-
○障害学⽣⽀援に関する情報公開 – HP 、 face bookなど○教職員、学⽣に対する啓発活動 –FD研修会,ニュースレターなど-
Ⅴ.キャリア⽀援
○就職・キャリア⽀援
Ⅵ.地域連携
○公共交通機関との連携
–キャリアCafé ,キャリアツアー
–バスドライバーへの介助研修-
⼊学前の⽀援(オープンキャンパス等)
オープンキャンパスにおける模擬授業
における情報保障
専⾨教員による個別相談
障害学⽣の先輩との交流
ピア・チューターによるキャンパスエスコート
4
⼊学時の⽀援(⼊学式、関係者の打ち合せなど)
障害学⽣に対する新⼊⽣ガイダンス
上肢障害学⽣、保護者、⼊学する教育組織⻑、教
育組織の障害学⽣担当者、クラス担任、OSDス
タッフ、ピア・チューターなどが同席
⼊学式の⽀援(情報保障)
学修支援(講義における情報保障など)
(聴覚障害)
PC通訳
⼿話通訳
(視覚障害)
5
学修⽀援(運動・内部障害の場合)
移動⽀援(必要性が認められた場合)
キャンパス内における広義の修学⽀援
(例;教科書購⼊)
学修⽀援(発達障害・内部障害 等)
(個別相談:イメージ写真)
発達障害学⽣⽀援
①個別ニーズにもとづく配慮事項の決定と教育組織との調整
→講義へのPC持ち込み可、ノイズキャンセリングヘッドホンの装着など
②個別⾯談(試験・レポートについて など)
6
キャンパス間の学修⽀援(講義における情報⽀援)
遠隔地情報⽀援システム(2014)panasonic
つくばキャンパス(つくば市)
情報保障(PC通訳)
東京キャンパス(⽂京区)
講義
インターネットを利用した遠隔地情報保障
HPによる情報公開
(http://www.human.tsukuba.ac.jp/shien/)
Face book
7
障害学⽣キャリアツアー
2013.0924 つくば市役所
公共交通機関との連携
ドライバーに対する介助研修
(協⼒;関東鉄道バス)
8
筑波⼤学における障害学⽣⽀援体制の今後の課題
合理的配慮のコンセンサスの形成
当事者と⼤学の?
⼤学内の?
⼤学間の?
国内の?
海外も意識して?
障害者を別にせず、diversity(多様性)の⼀部として考えるべき?
⽀援⼈材の確保(質・量)や⽀援資源のありかた
学⽣ボランティアの限界、専従の専⾨スタッフ(教職員)の確保が困
難、⼤学院・外国語・理系実習等への⽀援の難しさ、⼀部業務の外部委
託や地域連携の可能性 など
Hidden / Invisible Disabilities「⾒えない障害」への対応
外⾒から障害がわかりにくASD(⾃閉スペクトラム症)、ADHD(注
意⽋如・多動症)、LD(局限性学習症)などの発達障害学⽣や内部障害
(慢性疾患、難病など)に対する⽀援体制や障害特性に合った有効な⽀
援のありかたの確⽴
その他
⽀援の合理性の決定⽅法、個⼈情報の取り扱い、合意(?)にもとづ
く⽀援、セルフアドボカシー(⾃⼰権利擁護)、qualification(障害学
⽣としての認定根拠)、紛争処理のしくみ、財政基盤、学内連携、他⼤
学との情報共有 など
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