『外国人児童のための算数教材1~3年生 図形を学ぼう』の作成

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学生ボランティア活動からの成果
2-3-2 『 外 国 人 児 童 の た め の 算 数 教 材 1 ∼ 3 年
図 形 を 学 ぼ う 』の 作
成
(澤田久美子:学校教育専攻国際理解教育領域M2)
日本語の初期指導を終え、日常会話がある程度できる外国人児童が、学習には
不十分な日本語力の間に、教科学習から取り残されてしまうことは、今の日本
の現状では珍しいことではない。
話し言葉と書き言葉の違いが大きい日本語では、小学校の教科書も、書き言
葉の習得が未熟な外国人児童にとっては非常に難しいものだからである。
しかし、日常会話が出来る児童は「日本語が出来る」と見なされ、特別な支
援が受けられない事がままある。そういった子どもたちの教科学習を支援する
ために、今まで愛知教育大学は易しい日本語に書き換えた算数文章題の問題集
を作成してきた。
さまざまな教科の中で、算数が一番日本語に頼る率が少なく、かつ積み上げ
式のため、一度取り残されると、取り戻すのが難しいと思い、まずは算数教材
に着手した経緯がある。
外 国 人 児 童 の た め の 算 数 教 材『 図 形 を 学 ぼ う 』は 、2007 年 後 期 に 、算 数 文 章
題の問題集からさらに発展させ、算数の図形分野を学ぶための教材として、愛
知教育大学岡田安代教授のもと、大学院生有志が作成したものである。
こ の 『 図 形 を 学 ぼ う 』 を さ ら に 広 げ 、 2008 年 で は 『 総 合 演 習 Ⅱ 』 の 授 業 で 、
教師、有志学生、受講学生で 2 年生∼4 年生までの外国人児童用の算数教材を
作成した。
ここでは『図形を学ぼう』について、報告する。
『 図 形 を 学 ぼ う 』は 啓 林 館 の 算 数 教 科 書『 わ く わ く さ ん す う 1( 1 年 生 )』
『わ
く わ く 算 数 2・ 3( 2、 3 年 生 )』 1 年 生 ∼ 3 年 生 の 図 形 分 野 の 単 元 の み を 取 り 出
して、外国人児童用に作成した教材である。
各単元は、
1.その単元で出てくる重要な言葉の説明と練習のページ
2.教科書本文を易しい日本語に書き換えたページ
3.易しい日本語で作成した復習問題のページ
から、成っている。
1の言葉のページでは、イラストで言葉の意味を表し、簡単な問題をつける
ことで理解の促進を図っている。2の教科書ページは、出来るだけ教科書のレ
イ ア ウ ト に 合 わ せ て 作 成 し 、教 科 書 と 見 比 べ な が ら 学 習 出 来 る よ う に 工 夫 し た 。
3の復習問題のページは、1,2で既出の単語のみを使って問題を作り、自主
学習に対応できるようにした。
表 記 は 漢 字 か な 混 じ り 文 で 、漢 字 と カ タ カ ナ に は す べ て 日 本 語 で ル ビ を 振 り 、
分かち書きにし、日本語の文章に慣れていない子どもにも分かりやすくした。
どのページも外国語は使わず、易しい日本語を心がけ、絵を多用し、言葉と
絵を頼りに理解できるように工夫した。
2007 年 3 月 に 完 成 、希 望 小 学 校 に 配 布 さ れ た『 図 形 を 学 ぼ う 』は 、分 か り に
くいところや、改善点など多かったが、コンセプト自体は好評であったように
思われる。さまざまな人からご意見・ご感想をいただき、その後の算数教材の
作成の参考にさせていただいた。この場を借りてお礼申し上げたい。
2007 年 度 は 、こ の コ ン セ プ ト を 算 数 教 科 書 全 体 に 広 げ 、
『 わ く わ く 算 数 2( 2
年 生 )』 上 ・ 下 、『 同 3( 3 年 生 )』 上 ・ 下 、『 同 4( 4 年 生 )』 上 ・ 下 、 計 6 冊 の
リライト教材を作成中である。また来年度は算数教材5,6年生を作成予定で
ある。こういった取り組みが実を結び外国人児童・生徒の学習の一助となるこ
とが出来たら幸いである。