20cm望遠鏡+低分散分光器 DSS-7による 3つの新星の分光観測 大島 修 岡山県立水島工業高校 概要 • • • • • 分光器導入のいきさつ DSS-7分光器について 3つの新星の分光観測 使い勝手と要改良点 付録 分光器導入のいきさつ 2009年度科研費奨励研究 • 申請したテーマは 「突発天体の分光観測用分光撮像装置の開発」 構想(開発要素) 装置は完全自作(←大倉信雄さんから45cm望遠鏡を借りた) 分光と撮像の内部切り替え、分光と測光の両方が可能に スリット開放 グレーティングを平面鏡へ切り替え 標準フィルターをターレットに •しかし、予算は、申請99万円→内示59万円 この予算ではテーマどおりの開発は不可能 突発天体の分光が可能な装置を整備することに重点 を置く 撮像機能は大幅に縮小、大部分を購入物に •開発要素は、導入・ガイド光学系に絞ることに 分光器の選定 検討 • ファイバーフィード分光 器か通常型分光器か • SBIG社で手頃なファイ バー導入部が開発され ていた。が、市販化時期 は未定 • 市販の安価なファイ バーフィード分光器は、 入力光が1ch→skyを同 時に撮れない不便さ 通常型分光器DSS-7に決める • 理由:スカイが同時に撮れる、明るい(1/2縮小光学系) • 実績:岡山理科大、清田さん、前原さんなど DSS-7分光器の構造 •口径比 f/10の光に 最適化 o コリメータとカメラレ グレーティ ンズの焦点比は ング 2:1にレデュース されている コリメー o 導入視野 タレンズ 20cmf/10で30分 角 十分広い視野 カメラ レンズ 望遠鏡か らの光 光 SP スリット CCDカメラへ DSS-7の内部(スリット部) • スリットは固定で4種類 – 50μm、 100μm 200μm 400μm • 天体導入時 スリットそのものを光軸 からはずして、0次像で 広い視野を見る • 欠点:露出中のスリット 上の星像を確認できな い スペクトルの例 Vega(上) KT Eri(中) 比較光Ne(下) • 縦に並んだ5本のスリットによる5本のスペクト ル • 1本の目的天体のスペクトルと4本のスカイスペ クトル DSS-7の内部(その2) • グレーティング は0次と1次を 切り替える • 大きな梃子に より グレー ティング位置の 精度と再現性 を確保している テスト観測中 9月末に納品 DSS-7分光器を20cm望遠鏡に取り付けたところ 3つの新星の分光観測 Nova Sgr2009 • 10月27日 • 10月30日 • 11月3日 • 11月7日 • 11月14日 Nova Sct2009(V496 Sct) • 11月14日 • 11月23日 Nova Eri 2009(KT Eri) • 11月26日 • 12月1日 • 12月2日 • 12月3日 • 12月4日 • 12月6日 • 12月7日 • 12月8日 Nova Eri 2009のスペクトル(練習中) Nova Sgr 2009 No.4 10月27日 10月30日 11月3日 11月7日 Nova Sct 2009 11月23日 Nova Eri 2009 11月26日 12月01日 12月02日 12月03日 12月04日 12月06日 12月08日 出くわした問題点 (1)スペクトルの露出中は、スリット上とその周辺の様子を観 察できない →ガイディングが不可能 →星の光がスリットの端に引っかかる場合などの 詳しい状況を把握しにくい →分光標準星によるフラックスキャリブレーション が難しい (2)フラットフィールドの取得 縦にスリットが5つ並んでいるので、フラット補正を行うとス リット外の範囲がノイズ源になり、IRAFのapall自動処理が困 難→必要部のみ切り出して処理する、など (3)CCDが動きやすく、位置がズレやすい。 → CCDを分光器専用にすればよいが、他の目的にも使いたい 要改良点 (1)波長較正用コンパリソンランプの導入機構はない →急場しのぎとして筒先にネオンランプ(1個200円)をぶら 下げて点灯 →できればスリット前に置きたい (2)露出中のスリット観察やガイドを行いたい 通常の天体分光器では、スリットを傾け反射光を利用しモ ニタする →DSS-7の内部の構造から難しい 検討中: スリットの前に透明ガラスを傾けて置き、4%の表面反射光 (裏面はコーティングし反射を抑える)で、ガイディングを行う スリット反射型に比べスリット内外の反射光の違いがなくオー トガイドに適している。 付録:KT Eri発見前画像調査 アストロアーツのWebサイト 12月10日夜に呼びかけてから2日間内に 14人の画像提供者が名乗り。 用意したオンラインストレージに、すでに届いた画像 だけで、6人、延べ53フレーム しし座流星群の極大日11月18日に向けた人 鑑賞写真をとった人など 出現場所:人気のあるオリオン座のすぐ近く 時 期:しし座座流星群の極大日に近い 時代背景:デジカメの普及 呼びかけ人:山岡均(九州大学)、大西浩次(長野高専)、前原裕之(花山天文 台)、清田誠一郎(VSOLJ)、大島修(水島工業高校) 提供画像の例(流星観測動画から) 日本流星研究会関口様 KT Eriの視野 KT Eri C2 C1
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