パネルディスカッション: 地域保健混迷からの脱出 介護保険 老人保健事業の もたらしたもの

自由集会 in 札幌 2005.9.15
パネルディスカッション: 地域保健 混迷からの脱出
介護保険 老人保健事業の
もたらしたもの
~「地域の力」を引き出すために~
櫃本真聿(愛媛大学病院医療福祉支援センター)
経済最優先の日本丸
780兆円の借金
この状態を打破するには?
全てが経済優先の観点から
アメリカ資本主義の追従?!
保健・医療・福祉においても 聖域無しの民営化
しかし、地域において
医療費削減を最大課題にしていいのか?
日本の経済状況を家計に当てはめると
収入 手取り40万円のサラリーマン家庭
給料 40万円 ローン 14万円
・・・・使える生活費 26万円
支出 実際の生活費 39万円
息子への仕送り 13万円(息子も借金している)
毎月 28万円の赤字
さらに ローン金額 5800万円 増える一方
まさに家庭崩壊状態
目的と手段の混同からの脱却
目的の明確化・共有化
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Plan Do See サイクル(PDCA)
ブレークスルー
グリーンモデル マーケッティングなど
カウンセリング
癒しの本
全て手段から開放し、目的に戻すため
みんな手段で悩んでいる
原点に返って考えよう!
老人保健事業 介護保険は
何のために導入されたのか?
安心して地域で豊かに暮らせるために!
予防がねらい?
医療費削減?
老人保健・介護保険がもたらしたもの?
見直しによる 公的負担の減へ
自己負担の増
地方分権?・・・結局は国の手先になって?!
老人保健事業を考える
<老人保健事業の効果>
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市町村の主体性が向上した
市町村の保健師や栄養士など、サービス提供のた
めに採用が進んだ。
 住民が地域で気軽に健診を受けられるようになった。
 住民の健康に関する知識が向上し、予防的な治療
(特に高血圧・高脂血症など)や検査が普及した。
 脳血管疾患 胃がん・子宮がんの死亡率が低下し
た。
これまで多くの成果はあったが・・・・
<老人保健事業の課題>
 健診実施自体が目的化
 受診者の固定化 マンネリ化
 その評価に手が回っていない
「何のために」が曖昧になる
 経済的観点からアウトソーシング
見直しに迫られる
 従来の老人保健事業が 介護予防事業に改変?
 生活習慣上対策は?
実施すること自体が目的化?
実施状況以外の評価に手が回らない
 一次予防の成果は、アウトカム指標(死亡率 医療費
等)ではなかなか評価できない。
 二次予防の成果は、早期発見例自体が成果ではあ
るが、スクリーニングによる精神的負担、フォールスポ
ジティブ・ネガティブなどの精度管理など、不安解消へ
の対策が不十分。
 健診精度の向上 集団健診の限界 人間ドックの普及
スクリーニングに重きを置く手段としては問題がある。
 疾病登録(がんやその他の成人病)がルーチンで行わ
れていない中で、死亡率だけでは、予防の効果を評価
しにくい。
介護保険を考える
<介護保険の成果>
 確かに介護地獄という言葉は最近少なくなっ
てきた。介護保険はその意味では一応の成果
があったと考えられる。
 在宅ケアのメニューが増えた
 介護施設が増えた
メニューが自分の意思で選択できる?
 介護関連の雇用が促進された
産業としての介護事業
<介護保険の課題>
 要介護者が2~3倍に増えた
介護予防にはつながっていない
 介護保険の費用負担がますます増える
自己負担の増加
 介護施設が慢性的な満杯状態
 劣悪な介護サービスの存在
 地域の助け合いが、逆に低下
介護保険サービスへの依存度が高くなった
<介護保険がもたらしたもの>
 サービスメニューや施設などを用意することにより、
地域の内なる力は引き出されたのか?
 むしろ外からの力に依存し、本来の内なる力に逆行し
たのではないか? 地域の力が退歩?!
 介護予防につながらず、結局、介護を医療から切り
離し(社会的入院?)、費用負担を公費から自己負担
に切り替えただけではないだろうか?
 金持ちか、家族の支援があってこその選択権?
今後、介護保険システムは、障害者対策や医療保険へ
も広がっていく
事業を手段として見直すとき
 住民に身近な保健・医療・福祉分野を、補助
金政策や国一律の制度改革により、国一律に
普及させたことが、地域の力を引き出すどころ
か、逆行してしまった。
 医療費抑制のためか 住民の健康づくりの支
援か? 現場での目的が曖昧になっている
 地域や住民の内なる力を引き出ために
評価指標を原点に返って現場で見直すとき
地域自らの手で!!
「事件は現場でおきている」
住民ニーズ 地域特性こそ EBM!
それを明らかにし実現するための協働
健康問題は「まちづくり」そのものであることを再認識
地域や関係機関、個々人のエンパワメントを図ってい
くことを共通に目的に!!
 そのためにどうすればいいか、判断力を磨いていく
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結論
「社会貢献」をキーワードに
地域が住民と共に「共助」のもとで
自ら目指す方向を実現していく仕組み
を作っていかなければならない。
今こそ意識を変えるとき
ピンチを受け止め、チャンスに切り替えし、
そして まさに行政・専門家が行動するとき