ハドロンコライダーの物理 - HEP Tsukuba Home Page

ハドロンコライダーの物理
ー高エネルギー陽子反陽子衝突実験の物理ー
筑波大物理・金
信弘
1.素粒子物理学概観
2.高エネルギー陽子反陽子衝突実験
SppS(UA1,UA2)
W,Zボゾンの発見
Tevatron(CDF)
QCDの物理
電弱相互作用の研究
新粒子の探索
Bの物理
トップクォークの発見
BC中間子の発見
3.素粒子物理の将来とCDF実験の展望
温
故
知
新
物理学発展の歴史
1900年
2000年
17世紀半ば
古典力学
19世紀後半
電磁気学
1881年
マイケルソン・モーレー
の光速測定実験→エーテル否定
相対
論
黒体輻射測定
量子力学
1896年
ベクレル放射線発見
1897年
トムソン電子発見
素粒子物理学の歴史
〜BC4c. 「物質はすべて均質で不可分のA-TOM〔原子〕
からできている。」
古代ギリシャ自然哲学者デモクリトス
19〜20c初め
物質の構成要素である原子の発見。
1897年:電子の発見(J.J.Thomson)
1900
1905年:特殊相対論(A.Einstein)
前期量子論(M.Planck, N.Bohr)
1911年:原子の構造=原子核+電子(E.Rutherford)
1913年:一般相対論(A.Einstein)
1913年:陽子の発見(E.Rutherford)
量子力学(W.Heisenberg, E.Schrodinger, P.Dirac)
1932年:中性子の発見(J.Chadwick)
1933年:陽電子の発見(C.Anderson)
1935年:中間子論(湯川秀樹)
1937年:μ粒子の発見(C.Anderson)
1948年:量子電磁力学QED(くりこみ理論)
(朝永, R.Feynman, J.Schwinger)
1950
素粒子物理学の歴史
1950
20c半ば:1947年のπ中間子の発見を皮切りに
多くのハドロン(中間子、バリオン)発見
1956年:νeの発見(F.Reines)
1956年:反陽子の発見(O.Chamberlain, E.Segre)
1956年:パリティ保存則の破れ(T.D.Lee, C.N.Yan)
1960
1970
1980
1962年:νμの発見
(L.Lederman, M.Schwartz, J.Steinberger)
1964年:クォーク模型(M.Gell-Mann, G.Zweig)
SU(3)3重項の u, d, sクォーク
1964年:CP保存則の破れの発見(J.Cronin, V.Fitch)
1967年:電弱統一理論
(S.Weinberg, S.Glashow, A.Salam)
+QCD=素粒子標準模型(1973年)
1969年:パートン模型(R.Feynman)
1969年:電子陽子深非弾性散乱=パートン模型で説明
(J.Friedman, H.Kendall, R.Taylor)
1971年:Yang-Mills 場の理論はくりこみ可能
(G.’t Hooft)
1974年: J /  (cc) の発見=cクォークの発見
(S.Ting, B.Richter)
1976年:τの発見(M.Perl)
1976年:  e    eの発見(Gargamelle Group)
1977年:Υ( bb )の発見=bクォークの発見
(L.Lederman)
1980年:グルオンジェットの発見(at PETRA)
CDFの歴史 素粒子物理学の歴史
1979年:CDF実験グループ結成
1980
1981年:CDF実験設計報告書
1983年:W, Zボソンの発見
(UA1, UA2)
1990
1985年:CDF実験で陽子・反陽子衝突を初観測
1987年:CDF実験開始(Engineering Run)
ジェット、Wの観測
1988年:CDF実験Run 0(Physics Run)
〜1989年
W, Zの質量、bクォーク生成断面積
1992年:CDF実験Run I
〜1996年
1991年:軽いνの世代数=3
(SLC, LEP)
1994年:トップクォークの発見
(CDF)
Wの質量、
トップクォーク生成断面積と質量、
b-ハドロンの質量と寿命
BC中間子の発見(1998年)
2000
J / の発見
3.1GeVのピーク
BNL
固定標的実験
P+Be → J / +X
28GeV
e+eハドロン
p
g
c
J /
c
p
e+
e-
ハドロン
SLAC
e+e- 衝突実験
hadrons
μ+μ-
e++e- → J /
e+
e-
γ
e+eJ /
g
ハ
ド
ロ
ン
Υ( bb ) ウプシロンの発見
FNAL
固定標的実験
p + Be → Υ + X
μ+μハドロン
p
g
g
b
μ+
Υ( bb )
b
γ*
p/n
ハドロン
9.4 GeV/c2
のピーク
μ-
標準模型(Standard Model)
By Glashow, Weinberg and Salam
SU(3)
強い力
×
SU(2) × U(1)
弱い力と電磁気力
表1 標準模型を構成する3世代のクォークとレプトン。強い相互作用に 関するクォーク
のSU(3)3重項は省略してある。
1994年に発見
クォーク
第二世代
u (アップ)
c(チャーム)
t(トップ)
d (ダウン)
s(ストレンジ)
b (ボトム)
νe
レプトン
電荷(e )
第一世代
νμ
(電子ニュートリノ)
e (電子)
(ミューニュートリノ)
第三世代
2
3

ντ
1
3
(タウニュートリノ)
0
τ (タウ)
-1
μ(ミュー)
H >115GeV
t(トップ)175GeV
図1
標準模型を構成する粒子の質量。この他に、光子及び8つのグルーオンの 質量はゲージ不変性
により0。ニュートリノの質量の上限は宇宙の平坦性による。( )内の数字は、陽子の電荷を
単位とした、それぞれの粒子の電荷。
強い力
弱い力
電磁力
力を媒介する粒子
グルーオン
W, Z 粒子
光子
表1
第一世代に属する粒子(u=アップクォーク、d=ダウンクォーク、
e=電子、νe=電子ニュートリノ)は全体で15個の成分を持ち、ここに
示した5グループに類別されることが実験により分かった。即ち、
クォークはSU(3)(強い力を導く対称性)の3重項 (横並び)で、レプト
ンは1重項である。クォークとレプトンの左巻き(Left-handed)成分は共
にSU(2)(弱い力を導く対称性)の2重項(縦並び)で、右巻き成分は共に
1重項である。第二世代(c, s, μ, νμ) と第三世代 (t, b, τ, ντ) の粒子も全く同
様に分類される。
クォーク
レプトン
 u1L u 2L u 3L 
 1 2 3
d d d 
 L L L
 eL 
 
 eL 
u
1
R
,u R2 , u 3R

d
1
R
, d 2R , d 3R

eR
空間各点でのゲージ不変性 ( Local Gauge Invariant ) を要求
すると、8つのグルーオン ( SU(3) )、3つのゲージボソン
( SU(2) )、1つのゲージボソン ( U(1) ) があり、これらの
質量は0でなければならない。
ヒッグス粒子
クォーク、レプトン、W, Z 粒子に質量を与える粒子。
ヒッグス・ボソン同士で相互作用があり、その結果、
最低エネルギーの状態(真空)が力の対称点から
ずれて、真空中にヒッグス場の凝縮がおこる。
質量の起源(ヒッグス機構)
ヒッグスポテンシャル
V (f) = 2f2 /2 + lf4 /4
( l
2 > 0 (ビッグバン直後)
真空の相転移(対称性の破れ)
2 < 0 (現在)
大統一理論(Grand Unified Theory)
超高エネルギーで強、弱、電磁力の強さが
等しくなる、即ち1つの結合定数αGUTで
素粒子間の力の大きさが与えられる。
図4 標準理論の三つの結合定数(α1、α2、α3)が超高
エネルギーで単一の結合定数αGUTとなり、三つの力
(電気の力、弱い力、強い力)が統一される可能性が、
ジョージャイ、クィン、ワインバーグにより、1974年
に指摘された。mPはプランクの質量、mXは大統一理論
において陽子を壊すX粒子の質量、mWはW粒子の質量、
ここでα1はα1/α2=(5/3)tan2θWと規格化されている。
ラグランジアン密度
L  f , fx , x 



場φと連続的なパラメータ
x (4次元座標)の関数

L   Ld 3 x
ラグランジアン
Eular-Lagrangeの方程式→運動方程式

x
 L  L
 f  
0
 x   f

これ以降、ラグランジアン密度をラグランジアンと呼ぶ。

① Dirac方程式: i 


 m  0
L  i     m

② Klein-Gordon方程式:   

③

 m2 f  0
1
1 2 2

L   f  f  m f
2
2
Maxwell方程式:  F   j


1
L   F F   j  A
4
ただし、F   A   A

 
 
電弱相互作用
標準模型:Glashow - Weinberg - Salam Model
SU(2)L×U(1)対称性を持つゲージ理論。
ゲージ不変性
SU(2)L×U(1)のゲージ不変性を持ち、 SU(2)L、U(1)
の群に対応してWj (j=1,2,3) とBの合計4個のゲージ場
(ゲージ粒子)が存在する。
< U(1)局所ゲージ不変性>
「U(1)局所ゲージ変換
 x   e ia x  x 
 x   e ia x  x 
に対して、ラグランジアンが不変である。」

L

i



  m の不変性を

ラグランジアン
保つために   の代わりに共変微分D      ieA

をとり、A
は 
1 

A A   a
e
と変換すると考える。


L   i     m   e  A
すると U(1)局所ゲージ変換に対して


L  L'   ' i     m  'e '  A ' '




  i    m    a

 e  A     a

  i     m   e  A
こうしてゲージ不変性が成り立つ。

ゲージ不変性を要求→ベクトル場 A が必要
ゲージ場(ゲージ粒子)
このゲージ場は物理的な光子場なので、
光子の運動エネルギーの項をラグランジアンに
付け加えなければならない。即ち、


1

L   i    m   e  A   F F
4


ただし F   A   A
質量項
1 2
m A A  はゲージ不変性によって
2
禁止される。ゲージ粒子である光子の質量は0。
<SU(2)局所ゲージ不変性>
自由フェルミ粒子のラグランジアンは


L   i     m 
局所ゲージ変換に対し
  U x  e
 x 
ia j  x T j
ここでUはSU(2)群の変換をあらわす2×2行列。
Tj(j=1,2,3)は2行2列の互いに独立な行列で、 a j x  は
群のパラメータである。
SU(2)群の generator Tj は互いに非可換である。
⇒この群は非Abel的である。
( non-Abelian )
Ta ,Tb   i abcTc
無限小SU(2)局所ゲージ変換で、
 x  1  ia j xTj  x
したがって
  x  1  ia j xTj   x  iTj x  a j
  を共変微分
D     igTiW
i
に置き換えると




L   i     m   g  Ti Wi
非 Abel ゲージ変換の場合には、ゲージ不変な
ラグランジアンを作るには
1
W  W    a i   ijk a jWk
g
i
i
と変換しなければならない。
このとき、ゲージ場の質量項があると、ラグランジアン
のゲージ不変性が破れるので W の質量が0となる。
このことはくり込み可能性を保つためにも要求される。
一方、実験結果は、W±、Z0が質量を持つことを
示している。この矛盾を解消するのに導入された
のが Higgs 機構である。
(注)
Ti 
i
2
,
 ii 1,2,3
パウリスピン行列
0 1
0 i 
1 0 





1 
, 2 
, 3  
1 0
i 0 
0 1
ヒッグス機構 (Higgs mechanism)
スカラー場φをラグランジアンに導入する。


 
Lf   f   f   f f  l f f



2

2
ここで、φは複素スカラー場のSU(2)2重項である。
 f  1  f1  if2 


f    
2 f3  if4 
f  
Lf
がSU(2)局所ゲージ不変性を保つために、
   D     ig
無限小ゲージ変換に対し、
a
2
Wa
a  1,2,3



f  x   f  x   1  ia  x   f  x 
2


1   
W  W    a  a  W
g
これにより、ゲージ不変なラグランジアンは
1 
1  


Lf   f  ig   Wf
 f  ig  W f
2
2
 
1 
 V f   W  W
4
ただし、
 
V f     f f  l f f





W   W    W  gW  W
2


2
Lf の最後の項はゲージ場の運動エネルギー項である。
  0 かつ l  0 の場合
2
ポテンシャル項 V f  はある有限の
値で最小になる。その f は
f
の
2
1

f f  f12  f22  f32  f42  
2
2l


で与えられる。
V f 
2  0
f x  を特定の最小値の
周りで展開する。それを
 0
f1  f 2  f 4  0
2

2
f3  
l
 v2
1 0 


2  v  hx 
ラグランジアン L
f
f
2
f  
2l
と選ぶ。
即ち、f x  
2
ととり、
に代入すると
共変微分の項からゲージボソンの質量項が出てくる。


Lf  Df  D f

W  iW
1
g  W

   h   h 
W3
2
8 W1  iW2
ig
   h W3  h
4
ig
 h W3    h
4


2

3
1
2
 0 


 v  h 


2
    
2 2
g
v
1 2
2 2
質量項=
W  W  W3
8
2
これより W a の質量 M W  gv 。

2
V(φ)の項よりヒッグス粒子 h の質量は mh   2  2 。
このラグランジアンは3個の質量を持つゲージ場と
1個の質量を持ったスカラー場 h とを記述する。
即ち、3つのゲージ場は、3つの南部 - Goldstoneボソン
をくって質量を獲得し、スカラー自由度はゲージボソン
の縦偏極になった。
<SU(2)L×U(1)局所ゲージ不変性>
ラグランジアンの電子とニュートリノの2重項の
組みに対する部分は

YL
L I   L i  g  W  g
B  L
2
2
YR


  R  i   g
B  R
2
1
1

 W  W  B B 
4
4

ただし
B    B   B
第1項
Weak Isospin 相互作用
SU(2)L
Hyper charge 相互作用
U(1)
第2項
:
第3項 : W の運動エネルギーと自己相互作用

第4項 : B の運動エネルギー

また
 e 
 L    
 e L
1
T  , YL  1
2
 R  eR
T  0, YR  2
即ち、SU(2)L×U(1)局所ゲージ変換に対して、
 
Y
   D     igT  W  ig  B
2


 L   L  ei  x T i  x Y  L
i  x Y

 R  R  e
R
2
B  B  B      x 
g





1 
W  W  W     x     x  W
g
と変換することでラグランジアンの不変性は保たれる。
このとき、スカラー場φに対しては


 
Lf  Df  D f   f f  l f f


2


2
この共変微分の項からゲージボソンの質量項が出てくる。
ゲージボソンの質量項
は
2
 

i


  ig W  g B f
2
2


1  gW  g B
 
8  g W1  W2
3





g W  iW  0 
 
3
 gW  g B  v 
1
2
    18 v g B
2
1
 v 2 g 2 W1  W2
8
2
2

2
 gW3

2
1  vg 
1  v g  g 




   W W  W W 
2 2 
2
2

2


2
2

 Z Z
 

ただし
1
2
W

iW
vg

W 
 MW 
2
2
g W3  gB
A 
 MA  0
2
2
g  g
Z 
gW3  g B
g 2  g 2
2
v g 2  g 2
 MZ 
2
g
 tan W で置き換えると
g
A  cosW B  sin W W3
Z    sin W B  cosW W3
また
MW

MZ
g
g  g
2
2
 cosW
W :Weinberg Angle(ワインバーグ角)
以上の W3とBμのMixing角は、光子の質量 MA=0
という条件で決められた。
即ち、Higgs 2重項が1個の標準模型では
MW2
  2 2 1
M Z cos 
 はcharged current とneutral current との
相対的な大きさを決めるパラメータ。
フェルミオンの質量
SU(2)L×U(1)模型の
L
で、電子の質量項は
1
1
5
me ee  me e 1   1  5  e
2
2
 me e R eL  e Le R 
eLはアイソスピン2重項、eRは1重項のメンバー
だから、この項はゲージ不変性を破っている。
これを解消するために、ラグランジアンに
SU(2)L×U(1)ゲージ不変な項
LYUKAWA
 


f  
 0  e 
  Ge   e ,e L  0 eR  eR f ,f   

 e  L 
f 
 
を取り入れる。対称性を自発的に破って、
とすると、
1 0 


f
2  v  hx 
LYUKAWA


Ge

v eL eR  eR eL
2
Ge

eL eR  eR eL h  x 
2

第一項:電子の質量項

me 
Ge v
2
第二項:Higgs 粒子と電子の相互作用。
この大きさは、meに比例している。
ラグランジアンの最終的な形
1
1


L   W W  B  B
4
4
W±,Z,γの
運動エネルギー
と自己相互作用

1
Y 
Y 
  


L i  g  W  g B L  R i  g B R


2
2 
2 

レプトンとクォークの運動エネルギー
及びそれらとW±,Z,γとの相互作用
2

1
Y 
 i  g  W  g B f Vf 

2
2 
W±,Z,γ,Higgs の質量と結合
 G1 LfR  G2 Lfc R  Hermite共役項
レプトン、クォークの質量とHiggs との結合
ただし、Lは左巻きフェルミオン(レプトン、クォーク)
2重項、Rは右巻きフェルミオン1重項を表す。
レプトン・クォークとW±, Z, γとの相互作用
Y
Y
 1 



L I   L  g  W  g  B  L  R  g  B  R
2 
 2
 2 

ワインバーグ角θWを用いて書き直すと
W3   cosW
 
 B    sin
W
  
sinW  Z  
 
cosW  A 
を代入して
1 
Y
g   W  g  B
2
2
g  

 W   W
2
g
g

  sin W  3  cos W Y  A
2
2



g
g

  cos W  3  sin W Y  Z 
2
2

Y
g Y
cosW A  sinW Z  
g  B 
2
2

以上より L   e 
,
R  eR について
e
 L
L I を書き下すと
g
g
 L W eL 
eL W L
2
2
g
g

  L
sin W  3  cos W Y
2
2
g
g

 e L
sin W  3  cos W Y
2
2
g
g

 eR
sin W  3  cos W Y
2
2
g
g

  L
cos W  3  sin W Y
2
2
g
g

 e L
cos W  3  sin W Y
2
2
g
g

 eR
cos W  3  sin W Y
2
2
LI  
L 





A L
A eL
A eR
Z  L
Z  eL
Z  eR

1
1
1
1   5  , eL  1   5 e, eR  1   5 e を代入すると
2
2
2
C .C
I
L

g
2

 1   eW
2

5
 L :  3  1 , Y  1
eL :  3  1 , Y  1
e R :  3  0 , Y  2




 e  1   5 W
を用いて



1
LNI .C .     1   5  g cosW  g sin W Z 
4
1
 e  1   5  g cos W  g sin W eZ 
4
1
 e  1   5 2 g sin W eZ 
4




0
また
1
LeI.m.     1   5  g sin  W  g cos W A
4
1
 e  1   5 gsin W  3L  Y L eA
4
1
 e  1   5 gsin W  3R  Y R eA
4

Q
LeI.m.
3  Y









:charge を用いると
2
 e  gsin W  Q eA
これと Le.m.  eQe  eA とを比較して
I

e  gsin W  gcosW
g’を消去すると
N .C .
I
L


1
g
 
  1   5 Z 
4 cos W



1
g
 
e  1   5 cos2  W  3L  sin 2 W Y L eZ 
4 cos W
cos W  sin W  3 sin W  2Q
2

2

L
2
1

1
g
 
e  1   5 cos2  W  3R  sin 2 W Y R eZ 
4 cos W
 3R  sin 2 W  2Q
0


1
g
 
  1   5 Z 
4 cos W
g

e 
cos W
 3L
1    4
5
 sin 2 W  Q eZ 
第一項も第二項と同じ形になっている。
W粒子の崩壊
( W- → e- + νe)
W粒子の崩壊振幅
5
g l
1


M  i
  P ul  
vk 
2
2
e-
2
M をWの偏極について
平均をとり、

e , e
l
の
W
P
スピンについて和をとると
k
m  0,me  0 として
1
2
g2
P P
1  5

M 
g 
Tr l  k 

2
3 s
6
MW
2
g2
P  P


g 
2
3
MW
l k  k l  g k  l
g2
P  l P  k 


lk  2
3
MW2
1 2 2
 g MW
3
Wの静止系で


1
1 2 2
d W  e  e 
g MW
2M W 3


2 4 d PS 
6 2
2 
νe
ここで、 d2 PS は e  の phase space。
これについて積分すると、

3
3
d
l
d
k
4
 d 2 PS     l  k  P  2l 0 2k 0
1

  d 
8
2
したがって


 W   e  e 
また、
g  8MW GF
2
2

2 を用いると

 W   e  e 
2
GF  105 M proton

M W  80.2 GeV c 2

1 2
g MW
48
GF
M W3
6 2
を代入して


 W   e e  0.27GeV
W粒子のレプトン崩壊は全て同じで、

 
 

 W   e e   W        W       W0
W粒子のハドロン崩壊については、

W


 cs   3V
 W  ud  3Vud  W0

cs
2
2
 W0
(小林・益川)
ここで、Vud , Vcs はKM行列要素である。
d
s
b
L
Vud Vus Vub
 Vcd Vcs Vcb
Vtd Vts Vtb
d
s
b
質量の
固有状態
弱アイソスピン2重項の
メンバー
Vud  Vcs  1
したがって


 W   all  9W0  2.4GeV


BR W   e  
1
 0.11
9
L
Z粒子の崩壊
( Z → e+ e- )
Z粒子の崩壊振幅


g
M  i
 l P u l   gV  g A 5 vk 
cosW
ここで
gV 
3
4
gA  
l
 Qsin 2W
Z
3
P
k
4
M をZの偏極について平均をとり、e+ , e- の
スピンについて和をとると、
2
1
g2
2
M 

3 spin
3 cos2 W

 Tr l  k  
4 g 2 gV2  g A2

3 cos2 W

 g 


g
4 g 2 gV2  g A2
2

M
Z
3 cos2 W

P  P

M Z2
P  P

M Z2
e-
l k
 
g
2
V
 g A2

 k  l  g  k  l 
e+
Zの静止系で


1
1
d Z  e  e  
M

2 M Z 3 spin

2 4 d PS 
2 6 2
2

g 2 gV2  g A2

M Z d
2
2
48 cos W
ゆえに




g2
2
2
 Z e e 
g

g
V
A MZ
2
12 cos W
 
2 と cos2 W  MW2 M Z2 を用いて
g 2  8MW2 GF




2GF
 Z e e 
gV2  g A2 M Z3
3 2
と定義
 8 gV2  g A2 Z0
 

2
GF  105 M proton


M Z  91.2 GeV c 2
と
Z0  0.16 GeV
より
gV2  g A2 

3
4
 32
8
 Qsin 2 W

3
2
2
 

3
2
4
Qsin  W  Q sin  W
2
2
2

2

他のレプトン崩壊も同じく、

 



 Z  l l  8 gV2  g A2 Z0
また、ハドロン崩壊に対しては、


 Z  q q  24 gV2  g A2 Z0
xW  sin 2 W  0.23
したがって


 Z   e e  Z0



 Z  e  e   Z0 1  4 xW  8 xW2




を用いると

 0.16 GeV
 0.08 GeV
8
32
 3Z0 1  xW  xW2  0.28 GeV
3
9
4
8 2
0
 Z  d d  3Z 1  xW  xW
 0.37 GeV
3
9
 Z  uu
Z  all  2.4 GeV


BR Z   e e  0.067


BR Z  e  e   0.033


BRZ  d d   0.15
BR Z  uu  0.12
大統一理論
GUT (Grand Unification Theory)
大統一理論
標準模型
G
gG
 SU( 3 )  SU( 2 )  U ( 1 )
s
g
g
強い相互作用
QCD
電弱相互作用
結合定数
g 32 Q 
 s Q    3 Q  
4
g Q   g 2 Q 
1
g Q   g1 Q 
C
ここで定数Cは群Gの Clebsh - Gordan 係数。
Q大
g2 ,g3  小(漸近的自由)
g1
 大
Q  MX で
g1 Q  g2 Q  g3 Q
 gG Q
群Gが結合定数 gG の統一相互作用を記述する。
一般にゲージ群を決めると、結合定数のエネルギー
依存性は、くりこみ群の方程式によって規定され、
1
gi2  

1
Q

2
b
ln
i
gi2 Q 

( i = 1, 2, 3 )
ここで、
b1 
b2 
b3 
1
4  
2
1
4 
2
1
4 2
4
1
ng  n H
3
10
4
22 1
ng   nH
3
3 6
4
33
ng 
3
3
ng : フェルミオンの世代数
nH : ヒッグス2重項の数
残りの寄与はゲージ・ボソンの閉線。
Q  MX で
1
g i2  

1
MX

2
b
ln
i
g G2

i  1,2,3
これより、 gG と ng を消去して、

 
C 2 1 1 C 2
MX
2
2
 2
 2 C b1  b2  1  C b3 ln
2
2
g1 g 2
g3


①
また、
C2 1
1
1
1




g12 g 22 g 2 g 2 e2
②
①②より、 nH = 1 として、
60
1 1 C 2
ln


2

115 333C 
s
MX
1
  10 GeV とすると、 
, s  0.1 より、
137
5 を用いて、
G  SU( 5 ) のとき、 C 2 
3
M X  5 1014 GeV
また、
2
g
2
sin  W  2 1 2 2
g1  C g2
G  SU(5) で
Q  M X で、
3
2
sin  W 
8
Q  10 GeV で
sin2 W  0.2
以上の様に、全体を一つのゲージ群で捕らえると、
1. Weinberg 角がゲージ群により決まる。
2. 結合定数が大統一され、低エネルギー領域
での各部分群の結合定数が説明できる。
3. 世代の概念が理解できる。
4. レプトンとクォークが同じ多重項に入り、
クォークと e- の電荷比及び Qp  Qe  が
理解できる。
1974年、Georgi & Glashow
SU(3)×SU(2)×U(1) を部分群とする最小の群
S(5)を選んで大統一理論を示した。
SU(5)群の多重項 10, 5*
フェルミオン1世代
d
5* 
R
R
G
R
,d ,d
L
eL
B
R

R
L
R
L
R
R
G
L
G
L
G
R
u ,u ,u
d ,d ,d
, 10 
u ,u ,u
eR
SU(N) ゲージ理論 → N2-1 個のゲージボソン
SU(5) では
 
24  8,1  1,3  1,1  3,2  3,2
グルーオン
W±, Z, γ
( SU(3), SU(2) )
B
L
B
L
B
R
X, Yボソン
X, Y ボソン:カラー 3 重項、弱アイソスピン 2重項
このX, Yボソンを通してフェルミオンの多重項内の
クォーク⇄レプトンの遷移が起こる。 ⇒ 陽子の崩壊
e+
u
p
p
u
d
d
d
u
u
u
u
d
e+
陽子の寿命は、
p  g
実験結果は
4
G
M X4
30
年

10
5
M proton
 p  1032 年
π0
π0
また、LEP での実験結果から求めた結合定数
を外挿すると、SU(5) では一点で交わらない。
SUSY - SU(5) GUT
GUT では、同じヒッグス機構により、
MW ,Z  102 GeV c2 と M X ,Y  1015 GeV c2
という質量を同時に発生しなければ
ならないという不自然さが残る。
階層性の問題
これを解決するために、SUSY (超対称性)理論が
ある。この理論では、フェルミオンに対応して
ボソンが存在するので、フェルミオンによるゆらぎ
の効果が符号が逆で相殺する。
この SUSY を含めたSU(5) GUT では、結合定数が
1点で交わり、またτpも大きくなり実験と
矛盾しない。
超対称性粒子
(SUSY Particles)
大統一理論
三つの力(電磁力、
弱い力、強い力)は、
宇宙創生直後の高温時
には対称性が成り立ち、
同一の力であった。そ
れが冷えてきたときに
対称性が破れて異なる
力に見えるようになっ
た。
超対称性理論
すべてのフェルミオン(ボソン)に
は超対称粒子のボソン(フェルミオ
ン)のパートナーが存在する。この
超対称性を仮定すると、三つの力
の大統一がある高温状態で成り立
つ。
この理論は有望であると考えられ
ている。この理論が正しければ、質
量150GeV/c2以下のヒッグス粒子が
存在するし、また標準理論で期待さ
れる以上のK中間子、τ粒子、B中
間子の稀崩壊が起こる。
ビッグバン宇宙と素粒子物理
大統一理論
真空の相転移
電弱統一理論
ヒッグス粒子
超対称性理論