物性物理学序論

結晶面(hkl)
結晶軸を、格子定数を単位として、s1, s2 ,s3 で切り取る面があれば、
1/s1, 1/s2 ,1/s3 を最小の整数に簡約する。
得られる(hkl)を面の名前とする。
例:(4,1,2)で切り取る面だとすると、(1/4, 1,1/2)の簡約化は(142)面
負の時は, (hkl ) のようにバーを付ける。
ある軸に平行な場合は、軸と交わらないので、s=∞、よって面指数には0を入れる。
問1
立方晶系を考える。(3つの基本ベクトルが垂直で長さが等しい)。
立方体をいくつか書き、それぞれに以下の面を図示せよ。
(100), (110) , (111) , (210)
問2
(hkl)面と、逆格子ベクトルG=hb1 + kb2 + lb3 は直交することを示せ。
問3 面(hkl)の間隔dが、d=2π/G であることを示せ。
但し前問同様、G=hb1 + kb2 + lb3 とする。
1
結晶面(hkl)の解答
問3
面(hkl)への間隔dが、d=2π/G であることを示せ。
但し前問同様、G=hb1 + kb2 + lb3 とする。
解答
面(hkl)と軸との交点は、例えば、n/h, n/k, n/lになる。
(nは整数)。最も原点に近いのは、(原点を通る面を除けば)、
1/h, 1/k, 1/lで軸に交わる。
ベクトル p  1 a とGの内積を考える。
1
h
p  G  pG cos  Gd
一方
G

p
1
p  G  a1  (hb1  kb 2  lb 3 )  2
h
よって、2
d
G
2
X線の散乱条件
問4
問3および、散乱条件 2k・G=G2 から、
ブラッグの散乱条件
2dsinθ=nλ
但しdは面間隔、λは波長、nは整数、
θは入射角。
を導け。但しGは、結晶面に対応する逆格子ベクトル。
入射X線 θ
反射X線
結晶面
d
3
結晶面と反射条件
前のページの問題より、
原点から面(hkl)への距離dは、d=2π/G
但しG=hb1 + kb2 + lb3
これはブラッグの条件の「面間隔」に相当する。
既に見たように、弾性散乱で、
2k・G=G2
2kGsinθ= G2
2ksinθ=G
上記の面間隔で表す.2ksinθ=2π/d。k=2π/λより、
2dsinθ= λ
ブラッグの条件
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これまでの授業でやったこと。
1) いろいろな結合
2) 自由電子の波動関数がexp(ikr)になること。
(井戸型の場合は、sin(kr).
周期境界だとexp(ikr))
3)結晶の扱い方。
周期ポテンシャルなので、フーリエ変換が離散的なkでのみ値を持つ。
逆格子ベクトルで展開できる。
散乱条件が逆格子ベクトルで書ける。
自由電子+結晶
-> どうなるかを、後でやる。
ブロッホ関数など。
その前に、結晶の性質をもう少しみておく。
格子振動を考える。
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逆格子ベクトルの意味
(1) 3次元周期関数のフーリエ変換は、逆格子点で値を持つ。
つまり、逆格子点を使った離散フーリエ変換になる。
n(r)   nG exp(iG  r)
G
(2) X線散乱の散乱条件が逆格子ベクトルの場所。
G=Δk=k’-k
特に、弾性散乱の場合、
2k・G=G2
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もうしばらく固体の結晶の話です。
格子振動の話
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波の復習
1次元の波
A sin(kx-ωt)
波数:k
波長λ=2π/k
複素数で書く時は、exp(i(kx-ωt))
振動数:ω
周期: T= 2π/ω、
λ
t=0
t=T/4
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波数ベクトルの説明
3次元の波
k
exp(i(k r  t ))
波数ベクトル
波が進む方向を表す
問題
2次元空間(x,y)において、
波
sin(k r  t ) の波数ベクトル

がx方向であるとする。
k
k  (k ,0)
この時の波を図示せよ。
ヒント:ある時間での波の形を、
いろいろな場所で図示してみるとよい。
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