9.FET (電界効果型トランジスタ) 接合形FETと絶縁ゲート形FET FETとは、電界効果型トランジスタの略。 電極は、ソース(S)、ドレイン(D)、ゲート(G)と呼ぶ。 記号の矢印はゲートからソース、ドレインを見た時のPN接合をダイオードと 見たて、その順方向に矢印を書く。 D D D MOSトランジスタという。 G P N P SiO2 S S G N G 金属 N D S P 半導体 G S いままでのトランジスタをバイポーラトランジスタという。 2 MOSトランジスタの種類 Nチャネル形 エンハンスメント形 デプレション形 N N N N P P N Pチャネル形 P P N P P N 不純物を拡散 P 3 MOSトランジスタの記号 エンハンスメント形 デプレション形 Nチャネル形 Pチャネル形 4 MOSFETの動作(1) ドレイン・ソース間に電圧を加える。 両電極が空乏層でおおわれ、電流は流れない。 ゲートにプラスの電圧 VGS を加える。 ゲート付近のP形半導体中の電子が引きつけられ、ソー スからドレインまで電子が存在することで、電流が流れる。 これを反転層と呼ぶ。 G VGS D S N N P 5 MOSFETの動作(2) ゲート電圧 VGS が大きくなるほど、多くの電子が引き寄せさ れ、反転層の幅が広がる。 ある程度以上、電圧VDS を大きくすると、電流が増加しなくな る(飽和状態)。 VGS ID G ID D S N N P VDS VDS 6 MOSFETの特性 が大きいほど、反転層の幅が広いので、飽和状態時の 電流値も大きくなる。 VGS VGS:大 ID ID VGS:小 VDS VGS 7 デプレッション形MOSFET(1) ゲート付近にN形の不純物が拡散されている。 VGS が0Vでも、ソースからドレインにN形不純物半導体がつながっている ので、電流 I D が流れる。 VDS が増加すると、電流も増える。 VDS がある程度以上になると、飽和状態になる。 VGS G ID D S N N P N VDS 8 デプレッション形MOSFET(2) VGS 0 でも I Dが流れているので、 I が減少する方向のゲート電圧を加 D えて使用する。 電圧 VGS が負方向に増加していくと、ゲート付近のN形不純物中の電子 がP形半導体中に追いやられ、その分だけキャリアが減少して、電流が流 れにくくなる。 ID VGS G D S N N N P VGS VDS 9 P型MOSFET これまでの説明は、N型MOSFET。 P型MOSFETは、極性が逆になるだけ。 10 ディジタル回路と MOSトランジスタ 論理演算 ディジタル回路における基本的な演算は論理 演算。 基本論理演算には、否定(NOT)、 論理積(AND)、論理和(OR)がある。 ほとんどの回路は、この3つの基本論理の 組み合わせで実現できる。 これらを論理ゲートという。 論理における真(TRUE)は論理値1、論理に おける偽(FALSE)は論理値0で表す。 12 論理否定 否定は、論理値の真(TRUE)を偽(FALSE)に、 論理値の偽(FALSE)を真(TRUE)に反転する。 入力論理の反転を実現する論理ゲートを インバータという。 論理式 Y A シンボル A Y A 0 1 Y 真理値表 13 論理積 論理積は、すべての入力論理がTRUEの時に出 力論理がTRUEになる。 一つでも入力論理にFALSEがあると、出力論理 はFALSEにある。 論理積を実現する論理ゲートをANDゲートという。 論理式 Y A B シンボル A B Y A 0 0 1 1 B 0 1 0 1 真理値表 Y 14 論理積否定 論理積否定は、論理積(AND)を否定(反転)しま す。 論理積否定を実現する論理ゲートを NANDゲートという。 論理式 Y A B シンボル A B Y A 0 0 1 1 B 0 1 0 1 真理値表 Y 15 論理和 論理和(OR)は、1つでも入力論理にTRUEがあ る時に出力論理がTRUEになる。 すべての入力論理にFALSEがあると、出力論理 はFALSEにある。 論理和を実現する論理ゲートをORゲートという。 論理式 Y A B シンボル A B Y A 0 0 1 1 B 0 1 0 1 真理値表 Y 16 論理和否定 論理和否定は、論理和の否定(反転)。 論理和否定を実現する論理ゲートをNORゲート という。 論理式 Y A B シンボル A B Y A 0 0 1 1 B 0 1 0 1 真理値表 Y 17 MOS電界効果トランジスタ (MOSFET) ・MOS・・・絶縁ゲート型 ・MOS構造の両側にキャリアを供給するソースと キャリアを取り出すドレインがあり、ゲート電圧で電流を制御。 ・N(P)チャネルMOSトランジスタ P(N)型半導体基板上にN(P)形のソースとドレインを形成 したトランジスタ。 N-MOSFETのゲートに正電圧を 印加していくと、p型Si表面には n 電子が誘起され、n型反転層が ソース 出来る。これをチャネルという。 この結果、ソースとドレインが接続 P型Si され、電流が流れる。 Si表面に反転層を形成するのに 必要なゲート電圧をしきい値電圧という。 ゲート チャネル ゲート酸化膜 ドレイン n 18 NMOSトランジスタの動作原理 Vdd Vdd Vss +++++ + + オン時 -- - -- - - - - - N型 N型 P型 オフ時 Vss Vss Vdd -- - -- - - - - - N型 + + ++ + + + N型 P型 19 CMOS論理ゲート NANDゲート PMOSトランジスタを並列に、 NMOSをトランジスタを直列 に接続。 20 CMOS論理ゲート NORゲート NANDゲートの逆 PMOSトランジスタ が直列に、NMOSト ランジスタが並列に 接続。 21 なぜLSIにCMOSが使われるか? CMOSトランジスタは、LSIの主流。 80年代はバイポーラトランジスタが使われていた。 MOSトランジスタは、バイポーラトランジスタに比べ、 スピードが遅い。 消費電力が少ない。 CMOSトランジスタは、片方のトランジスタが必ず OFFしており、さらに消費電力が少ない。 高集積化のためには、低消費電力が最も重要。 22
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