電子回路Ⅰ 第3回(2007/10/29) 電界効果トランジスタの動作原理 トランジスタを用いた回路のバイアス 今日の内容 電界効果トランジスタ(FET)とは? FETの種類 接合型FETの構造 接合型FETの動作原理 MOSFETの構造 MOSFETの動作原理 バイアス回路 電界効果トランジスタとは? 電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor) 電界によってキャリア(電子、正孔)の流れる経 路を変化させて、電流量を制御する素子 原理的には電界(=電圧)のみ印加 バイポーラトランジスタでは、ベース電流によって コレクタ電流を制御 FETの種類 •接合型FET キャリアの移動する経路の幅を変化させて、電流を制御 •接合型FET キャリアの密度を変化させて、電流を制御 集積回路、メモリなどで頻繁に利用されている どちらのタイプでもエンハンスメント型とデプレーション型がある 接合型FETの構造(nチャネル) ゲート ソース ドレイン pn接合(前回の資料より) p 接合直前 n アクセプタイオン 接合後 ドナーイオン 空乏層 (空間電荷層) 電位 接合直後 拡散によりキャリアが移動する 位置 pn接合に逆バイアスを印加 p n 電位 空乏層 (空間電荷層) 位置 バイアスを印加 することにより、 キャリアの存在 できない領域を 制御できる 接合型FETの動作原理 ゲート電圧(VGS)によってチャネル幅を制御 VGSは逆バイアスなので、ゲート-ソース間に電流は流れない ゲート ドレイン ソース MOSFETの構造(nチャネル) MOS ・・・ Metal – Oxide - Semiconductor ゲート電圧とチャネル VTのTはthresholdの頭文字 VG<0 蓄積モード 0<VG<VT 空乏モード VG>VT 反転モード MOSFETの動作原理 ゲート電圧(VGS)によってキャリア密度を制御 酸化膜(絶縁)があるので、ゲート-ソース間に電流は流れない nチャネルとpチャネル キャリアは電子 キャリアは正孔 電流の担い手は電子または正孔 ・・・ ユニポーラトランジスタ エンハンスメント型とデプレーション型 VGS増加で ID増加 VGS増加で ID減少 nチャネル、pチャネル、エンハン スメント型、デプレーション型 VGSとIDの関係は 入力と出力の関係はどのように定義するか? 出力 IC バイポーラトランジスタでは I C IE IC IB ,:電流増幅率 入力 IB E VBE VCE RL IE FETでは I D gm VGS V DS C B gm :相互コンダクタンス 傾き=gm FETの回路記号 •教科書の記号は古い •現在は○なし •G2はSと同電位にする ことが多い FET バイポーラTr ゲート ベース ソース エミッタ ドレイン コレクタ FETの基本的なバイアス回路 •ゲートには逆バイアスを印加 •ゲート電流は流れない •ドレイン電流IDは次式で近似できる VGS I D I DSS 1 VP n IDSS:VGS=0におけるドレイン電流 VP:ピンチオフ電圧 n=1.5~2 バイアス回路 なぜバイアス回路が必要か? 微小信号iBを入力したとき、 VBEに重畳して増幅する RB IBは交流信号(であることが多い) トランジスタ、FETは負の電流 入力 iB は流せない 直流に交流を重畳して増幅 RC 出力 iCRC VCC VCE VBE 入力と出力の関係 (ダイオードの場合) 出力 入力 動作点の決め方 右の回路でどのようにR1を決めるか? 使用するトランジスタの特性表を参照 R1 VCE VBE 出力の仕様(電力)によって抵抗RCと電源でVCCが決まる I C 0のときVCE VCC VCE 0のときI C VCC /RC 負荷線の式 VCC I C RC VCE より 1 VCC VCE IC RC 使用したい中心のICの値を決める 動作点 I B R1 VBE VCCより R1 1 VCC VBE IB RC VCC FETのバイアス回路(2電源の場合) (nチャネル、デプレーション型) VDS VDD I D RDより 1 VDD VDS ID RD 負荷線 ゲート電流は流れない(IG=0)ので、 RGの値は任意 FETのバイアス回路(1電源の場合) (nチャネル、デプレーション型) ゲートバイアス用抵抗 VGS I D RS VDS VDD I D RD RS 一般的には RD RS より ID VDD VDS RD RS Q点を動作点に選ぶと、 VGS 0.16V RS 53 ID 3.0mA FETのバイアス回路 (nチャネル、エンハンスメント型) R1とR2の比でゲート電圧を決める VGS R2 VDD R1 R2 VDS VDD I D RD FETのバイアス回路 (デプレーション、エンハンスメント) RSを入れると VGS + R2 VDD I D RS R1 R2 + - RS、 R1、 R2の選び方によって、 VGSは+にもーにもできる - 例題 右図において、IDSS=10mA、VP=-0.80V、 n=2.0のJFETをID=2.0mA、VDS=5.0Vで 動作させたい。このときの回路定数(RD、 RS)を求めよ。但しVG=2.0Vとする。 RD VDS VG 12V VGS RS
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